文:ラリーズ編集部
今回は、2013年の世界ジュニア男子シングルス優勝など、多くの大会で好成績を残している韓国代表の張禹珍(ジャンウジン)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れます。
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このページの目次
張禹珍とは?
張禹珍は2013年の世界ジュニア男子シングルスで梁靖崑、孔令軒、周凱と3人の中国選手を破っての優勝、ダブルス準優勝と衝撃的なデビューを果たします。その後、韓国代表に定着し2018年世界団体では、日本戦の3番での松平健太(当時世界ランク14位)を破り、チームの勝利に貢献しました。
ダブルスの強さにも定評があり、林鐘勲(イムジョンフン・韓国)と組んだ2018年グランドファイナルで優勝。また2020年のドイツオープンでも趙大成(チョデソン・韓国)と組み、馬龍(マロン)/林高遠(リンガオユエン・中国)ペアを下し、優勝しました。
張禹珍のプロフィール
張禹珍(ジャンウジン/Jang Woo-jin)は1995年9月10日生まれの28歳(2024年7月時点)で、韓国出身です。2010年に1年間、学校を休学してドイツに卓球留学し、2013年の世界ジュニア選手権では中国代表を3選手、第1シードの村松雄斗を倒してシングルス優勝を果たしました。
写真:張禹珍(ジャンウジン・韓国)/提供:ittfworld
2014年や2015年には数多くのワールドツアーU21の試合で優勝を果たし、韓国男子代表に定着するようになります。2018年世界選手権ハルムスタッド大会では、日本戦の3番で松平健太(当時世界ランク14位)を破り、銅メダル獲得に貢献しました。日本選手に対し相性も良く、国際大会では丹羽孝希や水谷隼らにも勝ち越しています。
張禹珍はシングルスだけでなくダブルスでも好成績を収めており、2018年の韓国オープンでは林鐘勲と組み男子ダブルス優勝、北朝鮮のチャ・ヒョシムと組んだ混合ダブルスでも優勝しています。2020年2月に行われたドイツオープンでも若手の趙大成(チョデソン・韓国)を引っ張り、男子ダブルスで優勝しました。
また、Tリーグにも2020-2021シーズンに木下マイスター東京から参戦しますが、新型コロナウイルスの影響で来日が叶わず、出場ゼロで退団となりました。
写真:張禹珍(ジャンウジン)と林鐘勲(イムジョンフン・韓国)/提供:WTT
そして、2021年に開催された東京五輪ではシングルスと団体ともにメダルを逃す結果となりましたが、同年の世界選手権では男子ダブルスで銀メダルを獲得。自身初の世界選手権個人戦メダル獲得となりました。
2022年には韓国の国内プロリーグ「KTTL」が開幕し、張禹珍も1部のミレー・アセット大宇に所属しています。
新型コロナウイルスの影響が少なくなり始めた2022年は、WTTコンテンダーマスカット男子シングルス優勝、WTTフィーダーオトーチェッツでは男子シングルスと男子ダブルスで優勝、と張禹珍は本領を発揮し始めます。2023年もWTTコンテンダードーハ男子シングルス準優勝、WTTスターコンテンダーゴア混合ダブルス優勝と、今後の活躍にも期待が集まります。
張禹珍のSNS
張禹珍のプレースタイル
張禹珍の戦型は、右シェーク裏裏ドライブ型です。台上での柔らかいボールタッチを持ち、シニアになって少なくはなりましたが中・後陣でのロビングやカットなど多彩な技を持っている選手です。クレバーな一面に加え、韓国らしいフットワークを生かしたフォアハンドも強力です。
写真:張禹珍(韓国)/提供:ittfworld
サーブはボールタッチのよさを生かし、同じモーションから横下、横上、YGなど多彩な回転のサービスを出し分けます。ロングサーブからフォアハンドで狙っていくプレーも多く見られます。レシーブではチキータを得意とし、ラリー戦に持ち込みます。
レシーブの多彩さとフットワークを生かし前陣から後陣まで幅広い領域でプレーできる点がダブルスの好成績につながっています。
張禹珍の使用用具
VICTASの契約選手である張禹珍は、ラケットは紅双喜の『キョウヒョウ龍5』、ラバーはフォア面は紅双喜の『キョウヒョウ NEO 3』、バック面はVICTASの『V>15エキストラ』を使用しているようです。
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張禹珍の世界ランキング
張禹珍の世界ランキングは13位(2024年7月時点)で、最高ランキングは9位(2019年4月)です。
張禹珍は2013年12月に228位で、世界ジュニア選手権の活躍もあり2014年1月には142位と順位を上げ、7月に88位とトップ100入りを果たします。その後、2015年10月には24位と大きくジャンプアップをし、その後、ランキングを少し下げたものの2018年は安定した成績を残し、上位をキープします。
張禹珍の主な戦績
2013年 | 世界ジュニア選手権 | 男子シングルス:金メダル、男子ダブルス:銀メダル |
2016年 | 世界選手権クアラルンプール大会 | 男子団体:銅メダル |
世界選手権デュッセルドルフ大会 | 男子シングルス:ベスト8 | |
2018年 | ポーランドオープン | 男子シングルス:準優勝 |
韓国オープン | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝、混合ダブルス:優勝 | |
世界選手権ハルムスタッド大会 | 男子団体:銅メダル | |
グランドファイナル | 男子ダブルス:優勝 | |
2019年 | チームワールドカップ | 男子団体:準優勝 |
世界選手権ブダペスト大会 | 男子シングルス:ベスト8 | |
2020年 | ドイツオープン | 男子ダブルス:優勝 |
2021年 | 東京五輪 | 男子シングルス:ベスト16、男子団体:4位 |
世界選手権ヒューストン大会 | 男子ダブルス:銀メダル(ペア:林鐘勲) | |
2022年 | WTTフィーダーオトーチェッツ | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝 |
WTTコンテンダーマスカット | 男子シングルス:優勝 | |
2023年 | WTTコンテンダードーハ | 男子シングルス:準優勝、男子ダブルス:ベスト4(ペア:林鐘勲) |
WTTスターコンテンダーゴア | 男子ダブルス:ベスト4(ペア:林鐘勲)、混合ダブルス:優勝(ペア:田志希) | |
WTTシンガポールスマッシュ | 男子ダブルス:準優勝(ペア:林鐘勲) | |
WTTスターコンテンダーバンコク | 男子シングルス:準優勝、男子ダブルス:準優勝(ペア:林鐘勲) | |
世界選手権ダーバン大会 | 男子ダブルス:銀メダル(ペア:林鐘勲) | |
WTTコンテンダーラゴス | 男子ダブルス:優勝(ペア:林鐘勲)、混合ダブルス:準優勝(ペア:田志希) | |
WTTコンテンダーチュニス | 男子ダブルス:優勝(ペア:朴康賢) | |
WTTコンテンダーリオデジャネイロ | 男子シングルス:ベスト4、混合ダブルス:ベスト4(ペア:田志希) | |
アジア選手権 | 男子ダブルス:銅メダル(ペア:林鐘勲)、男子団体:銅メダル | |
杭州アジア競技大会 | 男子シングルス:銅メダル、男子ダブルス:銀メダル(ペア:林鐘勲)、混合ダブルス:銅メダル(ペア:田志希)、男子団体:銀メダル | |
混合ワールドカップ | 混合団体:準優勝 | |
2024年 | WTTコンテンダードーハ | 男子ダブルス:ベスト4(ペア:安宰賢) |
世界選手権釜山大会 | 男子団体:銅メダル | |
WTTシンガポールスマッシュ | 男子ダブルス:ベスト4(ペア:林鐘勲) | |
WTTサウジスマッシュ | 男子シングルス:ベスト4 | |
WTTスターコンテンダーバンコク | 男子ダブルス:ベスト4(ペア:趙大成) |
まとめ
2013年の世界ジュニア選手権で鮮烈なデビューを見せた張禹珍。団体戦で日本の前に立ちはだかり、東京五輪を含め、今後も協力なライバルとなるのは間違いない選手です。天性のボールタッチに加え、韓国らしいフォアハンド強打を持ち合わせる張禹珍のプレーに今後も注目が集まります。