今回は、2019年の世界選手権女王に輝き再び世界のトップに躍り出た高速卓球のパイオニア、劉詩雯(リュウスーウェン・中国)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
>>早田ひなを育てた石田卓球クラブ代表に聞く なぜ中国は卓球が強いのか?
劉詩雯とは?
劉詩雯は、2013年から女子ワールドカップを何度も制覇、2019年にはそれまでベスト4どまりだった世界選手権女子シングルスで初優勝を飾るなど、依然女子卓球界のトップを走る選手です。女子シングルス、女子ダブルスでの優勝はもちろんのこと、ダブルスの天才と言われる許昕(シュシン・中国)と組んだダブルスでも、国際大会や世界選手権で優勝を重ねています。
リオ五輪にも団体戦のメンバーとして出場し優勝を飾すなど、簡単には崩れない中国女子の牙城を支える主力選手の一人です。かつては、団体戦での惜敗を機に、厳しい状況に追い込まれましたがすぐにそこから脱し、今では中国の優勝を導く選手となっています。
プロフィール
劉詩雯は、1991年4月12日生まれの28歳(2020年4月初旬時点)です。中国出身で、現在は中国代表として国際大会に出れば上位進出は当然、と言われるほど次々にタイトルを獲得しています。
かつては、世界選手権で常にベスト4、最高でも準優勝と頂点になかなか君臨することはできていませんでしたが、2019年の世界選手権では決勝で陳夢(チェンムン・中国)を下し、世界選手権女子シングルス初優勝を果たしました。
プレースタイル
劉詩雯の戦型は右シェーク裏裏の攻撃型で、前中陣でのミスのない両ハンド攻撃が特徴です。前中陣であればどこからでも強打を打つことができるのが彼女の卓球です。
劉詩雯は“高速卓球のパイオニア”と呼ばれるほど前陣での球さばきが上手く、彼女に並ぶ者はいません。前中陣では巧みな球さばきと素早い反応によって、どんな球でも充分な力で打ち返すことができます。欠点となる技術もないため、相手からしてみれば無限にレシーブが返ってくる感覚に陥ります。
またフォアハンドの威力はとても高く、小柄な身長では不利とされる対カットマンにも強さを発揮することができます。近年では、後陣に下がってもドライブを放つことができるようになり、ますます隙の無い選手へ近づいています。
使用用具
劉詩雯の使用用具は、ラケットはBUTTERFLYの特注品で、ラバーはフォア面に紅双喜の「国チーム用キョウヒョウ3」のブルースポンジ、バック面はBUTTERFLYの「ディグニクス05」を使用しているそうです。
一時期はバック面も粘着性ラバーにしていたそうですが、「ディグニクス05」に変更したことで相手の球威に負けない卓球をするようになりました。
世界ランキング
劉詩雯の世界ランキングは5位(2020年3月時点)です。2012年から2017年までと、2019年は世界ランクトップ5に位置し続けるなど、右に出る者がいない選手と言えます。最高ランクは2013~2014年、2015~2016年の期間で1位に位置していたことがあります。
許昕と組んだ混合ダブルスも世界ランキング1位(2020年3月時点)と、どのランキングでも1位の経験を持っています。
直近の国際大会での主な成績
2016年 | アジアカップ | 女子シングルス優勝 |
世界選手権 | 女子団体優勝 | |
カタールオープン | 女子シングルス優勝 | |
ジャパンオープン | 女子シングルス優勝 | |
2017年 | 中国オープン | 女子シングルスベスト4、女子ダブルス優勝 |
世界選手権 | 女子ダブルス優勝 | |
2018年 | カタールオープン | 女子シングルス優勝 |
オーストラリアオープン | 女子シングルス優勝 | |
タイオープン | 女子シングルス優勝 | |
チームワールドカップ | 女子団体優勝 | |
世界選手権 | 女子団体優勝 | |
2019年 | 世界選手権 | 女子シングルス優勝、混合ダブルス優勝 |
女子ワールドカップ | 女子シングルス優勝 | |
チームワールドカップ | 女子団体優勝 | |
中国オープン | 女子ダブルス優勝 | |
ジャパンオープン | 女子ダブルス優勝 | |
カタールオープン | 混合ダブルス優勝 | |
ハンガリーオープン | 混合ダブルス優勝 | |
グランドファイナル | 混合ダブルス優勝 | |
アジア選手権 | 混合ダブルス優勝 | |
2020年 | ドイツオープン | 混合ダブルス優勝 |
まとめ
自身の努力によって世界のトップへ再び戻ってきた“高速卓球のパイオニア”が、国際大会で新たなタイトルを獲得するのか。今後の彼女の活躍に目が離せません。
>>劉詩雯の関連記事はこちら