文:ラリーズ編集部
今回は、ハンガリーオープンで伊藤美誠(スターツ)と対戦し話題に、今もヨーロッパで活躍する大ベテランの倪夏蓮(ニーシャーリエン・ルクセンブルク)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
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倪夏蓮とは?
倪夏蓮は、1983年に中国代表として世界選手権東京大会で女子団体と混合ダブルスの2種目で優勝、ルクセンブルクに移り2000年のシドニー五輪から4大会連続で五輪本戦に出場、2020の東京五輪の本戦出場も決定したためこれで5大会連続という快挙を達成している卓球界のレジェンドの一人です。
50歳を超えた今でもヨーロッパを中心に国際大会にも出場し、2018年のクロアチアオープン女子シングルスでベスト4と未だ衰えない実力をいかんなく発揮しています。
プロフィール
倪夏蓮は、1963年7月4日生まれの56歳(2020年3月時点)と、世界ランキング100位以内の選手の中では最年長です。中国の上海出身で、10代のうちは中国代表チームとして練習をしたり世界選手権に出場してました。1986年に中国を離れルクセンブルクに移り住み、ルクセンブルク代表として五輪や世界選手権に出場してきました。
私生活では、自身のコーチをしている夫と二人の子供、そして自身の母親と共同生活をしています。卓球選手だけでなく様々な顔を持ち合わせています。
プレースタイル
倪夏蓮の戦型は左ペン裏粒の前陣攻守型で、粒高ラバーでの攻撃とブロックのコース取りの厳しさが特徴です。
ペンホルダーの世界ランキング上位者は少なく、男子では世界ランキング1位(2020年3月時点)の許昕(シュシン・中国)や黄鎮廷(ウォンチュンティン・中国香港)、女子では片面表ソフトでプレーするSHAN^Xiaona(ドイツ)や同じくベテラン格のレイ・ジェンファン(オーストラリア)といったところです。
シェークハンドが普及したことで、ペンホルダーのトップ選手が少なくなっていますが、逆に言えばペンホルダーの選手が少なくなったことでペンホルダーの選手への対策が脆くなり勝ちやすくなっていると捉えることもできます。
ましてや倪夏蓮のようなペンの裏粒の戦型はトップ選手の中ではとても珍しく、対策の取りづらい戦型と言えます。倪夏蓮はその優位性をうまく利用しながら世界のトップを維持し続けています。
倪夏蓮の使う粒高ラバーは相手のレシーブの回転を逆にして返すことができるラバーで、上回転の強いドライブが来た時には鋭く切れた下回転にしてレシーブすることができます。
また、その変化量を自分でコントロールすることも可能で無回転にしたり強烈に回転をかけたりすることが可能です。この粒高ラバーは、カットマンに好まれます。また、粒高での攻撃は表面の粒が倒れることで回転量の予想がつかず相手からしてみればとても返しづらい球が飛んできます。
倪夏蓮はこの特性を熟知し、自らも粒高ラバーで攻撃をすることで相手を混乱させ自分の得意な展開に持っていく事に長けています。
使用用具
倪夏蓮の使用用具はラケットがDONICの「パーソンパワースピード」(廃盤商品)で、フォア面にBUTTERFLYの粒高ラバー「フェイントロング2」、バック面にDONICの裏ソフトラバー「アクーダS1」を使用しているそうです。また、ラケットが同じで粒高ラバーの「カールP-1」、裏ソフトラバーの「トラクションMSプロ」を使用している場合もあるそうです。
世界ランキング
倪夏蓮の世界ランキングは43位(2020年3月時点)です。2001年にシニアで世界ランキング登録されてから20年近く経った今も尚、2桁ランク上位をキープし続けています。
最高ランクは2002年4月の8位です。一旦2桁後半に落ち込むこともありましたが、ここ数年で再び上昇し2018年から現在の順位に落ち着いてきてます。また、2000年以前には世界ランキングが4位にもなったことがあります。
国際大会での主な成績
1986年 | 世界選手権 | 女子団体優勝、混合ダブルス優勝 |
2018年 | スペインオープン | 女子ダブルス準優勝 |
ベルギーオープン | 女子ダブルス準優勝 | |
クロアチアオープン | 女子シングルスベスト4 | |
ヨーロッパ選手権 | 女子ダブルスベスト4 | |
2019年 | ヨーロッパ競技大会 | 女子シングルスベスト4 |
まとめ
“最強のペン粒”と称される大ベテランが国際大会で快挙を成し遂げていくのか。今後の彼女の活躍に目が離せません。
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