文:ラリーズ編集部
今回は、中国、日本と並ぶ卓球強豪国ドイツの代表選手として活躍し、ロンドン五輪ではシングルス銅メダルを獲得したドミトリ・オフチャロフについて紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れます。
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ドミトリ・オフチャロフとは?
ドミトリ・オフチャロフはジュニア時代からヨーロッパで活躍し、2008年の北京五輪出場などドイツの皇帝・ティモ・ボルとともにドイツを引っ張る存在になっていきます。
写真:ドミトリ・オフチャロフ/提供:ittfworld
2012年のロンドン五輪には団体の銅メダル獲得に貢献し、シングルスでもチャイニーズタイペイの荘智淵(チュアンチーユエン)に勝利し銅メダルを獲得しました。その後、ワールドカップ優勝やヨーロッパTOP12カップ優勝といった好成績を収め、世界トップレベルの選手まで上り詰めています。
日本の水谷隼とはロシアプレミアリーグのオレンブルクで共闘し、ヨーロッパチャンピオンズリーグで優勝した友人であり、国際大会で何度も対決しているライバルでもあります。
ドミトリ・オフチャロフのプロフィール
ドミトリ・オフチャロフは1988年9月2日生まれの35歳(2023年9月時点)で、ウクライナのキーウ出身のドイツ国籍です。父親も卓球選手で、ソビエト連邦のチャンピオンに輝き、ソ連代表として世界選手権に出場するほどの実力者でした。母親も卓球選手で、オフチャロフが卓球をはじめた5、6歳のころには、コーチをしてくれたそうです。
その後、オフチャロフが7、8歳のときに父親がコーチを引き継ぎ、学校から帰ってきて練習する日々を過ごすようになります。
写真:ドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)/提供:ittfworld
父の指導でメキメキと力をつけていったオフチャロフは、住んでいた町(テュンダーン)のクラブからブンデスリーガの4部に出場するようになります。そこから18歳まで同じクラブで過ごし、クラブは2005年にドイツブンデスリーガ1部に昇格。オフチャロフは10代の若さで、ティモ・ボル(ドイツ)やヨルグ・ロスコフ(ドイツ)らトップ選手と同じ舞台に立ちます。
2006年に自身初のナショナルチーム入りを果たすと、2007年にはドイツブンデスリーガ1部のボルシア・デュッセルドルフに移籍。そして、翌2008年には弱冠20歳で北京五輪に出場し、男子団体で銀メダルを獲得しました。
2010年にはロシアリーグのオレンブルクに移籍し、12シーズンに渡ってプレーすることになります。オレンブルク在籍時には、水谷隼さんとともにヨーロッパチャンピオンズリーグで優勝に輝くなど、輝かしい成績を残しました。
2012年にはロンドン五輪に出場。男子シングルスの銅メダル決定戦で荘智淵(チュアンチーユアン・チャイニーズタイペイ)に勝利し、自身初の五輪個人戦での銅メダル獲得を達成しました。
その後も、オフチャロフは世界トップレベルで活躍し続け、2013、2015年にはヨーロッパ選手権シングルス優勝、2017年にはワールドカップ男子シングルス優勝などの成績を残してきました。なお、世界ランキングが新制度となった2018年1月のランキングでは、自己最高位となる1位を獲得しました。
そんなオフチャロフの実力は、30歳を超えても衰えることはありません。33歳で臨んだ東京五輪では、準々決勝でウーゴ・カルデラノ(ブラジル)をゲームカウント0-2から逆転で下すと、準決勝ではリオ五輪王者の馬龍(マロン・中国)に敗れたものの、ゲームオール9-11まで追い詰める熱戦を繰り広げました。そして、その勢いのまま銅メダル決定戦で林昀儒(リンユンジュ・チャイニーズタイペイ)を下し、見事自身2度目となる五輪でのシングルス銅メダルを獲得したのです。
さらに、2023年の世界選手権ダーバン大会では、パトリック・フランチスカ(ドイツ)とのダブルスで銅メダルを獲得。このメダルは、オフチャロフにとって世界選手権個人戦での初のメダルとなりました。
ドミトリ・オフチャロフのプレースタイル
ドミトリ・オフチャロフの戦型は、右シェーク裏裏ドライブ型です。長身を生かした力強い両ハンドドライブを中心に試合を組み立てるヨーロッパ選手らしいプレースタイルで、中国選手にも打ち勝てるパワーを持っています。中陣や後陣でのプレーが多く、バックハンドでもフォアハンドと同程度の威力があり、後陣からの反撃も得意です。
一番の特徴は独特のモーションから繰り出されるバックサーブとしゃがみ込みサーブです。バックサーブはサーブの戻りがフォアサーブより早くなるというメリットを生かし、3球目攻撃につなげていきます。オフチャロフのバックサーブは回転量も豊富で、コースの打ち分けが多彩なのも特徴です。
写真:ドミトリ・オフチャロフ(ドイツ)/提供:ittfworld
レシーブはフォア前が苦手とされていましたが、チキータや台上ドライブの習得によりレシーブから攻めていくことで点数を重ねることができるようになりました。また、下回転の強いバックツッツキを使いラリー戦に持ち込む場面も見られます。
ドミトリ・オフチャロフの使用用具
ドミトリ・オフチャロフはバタフライの契約選手で、ラケットはバタフライの『オフチャロフインナーフォースALC』、ラバーはフォア面はバタフライの『ディグニクス 09C』、バック面はバタフライの『ディグニクス05』を使用しているようです。
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ドミトリ・オフチャロフの世界ランキング
ドミトリ・オフチャロフの世界ランキングは14位(2023年9月時点)で、最高ランキングは1位(2018年2月)です。
2016年12月の世界ジュニアでベスト4に入ったのち、2017年1月時点で世界ランキングは85位でした。2017年で世界ランキングを50位ほど上げ20位近くまでジャンプアップします。
その後、10位台をキープし2012年8月には9位に輝き、初のトップ10入りを果たします。世界ランキングが新方式になった2018年1月には世界ランキングが3位から1位に上昇し、自身初の世界ランキング1位に輝きます。近年は10位前後を常にキープしています。
ドミトリ・オフチャロフの主な戦績
2006年 | 世界ジュニア選手権 | 男子シングルス:銅メダル |
2008年 | 北京五輪 | 男子団体:銀メダル |
2010年 | 世界選手権モスクワ大会 | 男子団体:銀メダル |
2012年 | ロンドン五輪 | 男子シングルス:銅メダル、男子団体:銅メダル |
世界選手権ドルトムント大会 | 男子団体:銀メダル | |
2013年 | ヨーロッパ選手権 | 男子シングルス:金メダル |
2014年 | 世界選手権東京ド大会 | 男子団体:銀メダル |
2015年 | ヨーロッパ選手権 | 男子シングルス:金メダル |
2016年 | リオデジャネイロ五輪 | 男子団体:銅メダル |
2017年 | ワールドカップ | 男子シングルス:優勝 |
2018年 | 世界選手権ハルムスタッド大会 | 男子団体:銀メダル |
2019年 | ヨーロッパTOP16 | 男子シングルス:優勝 |
チェコオープン | 男子シングルス:準優勝 | |
2021年 | 東京五輪 | 男子シングルス:銅メダル、男子団体:銀メダル |
WTTスターコンテンダードーハ | 男子シングルス:ベスト4 | |
ヨーロッパ選手権 | 男子シングルス:銀メダル | |
WTTコンテンダードーハ | 男子シングルス:優勝 | |
2022年 | WTTコンテンダーリマ | 男子シングルス:準優勝 |
WTTフィーダーデュッセルドルフⅢ | 男子シングルス:優勝 | |
WTTカップファイナル新郷 | 男子シングルス:ベスト4 | |
2023年 | WTTコンテンダーアンマン | 男子シングルス:準優勝 |
ヨーロッパTOP16 | 男子シングルス:ベスト4 | |
世界選手権ダーバン大会 | 男子ダブルス:銅メダル | |
ヨーロッパ競技大会 | 男子団体:金メダル | |
WTTコンテンダーラゴス | 男子シングルス:準優勝 |
まとめ
ロンドン五輪銅メダルなどの実績を持ち、世界ランキング1位も経験しているドミトリ・オフチャロフ。日本の長年のライバル・ドイツの主力メンバーとして東京五輪でも日本の前に立ちはだかる壁となるは間違いないでしょう。30代となり、ベテラン選手となってきていますがまだまだ実力は衰えません。今後の活躍にも注目が集まります。