文:ラリーズ編集部
今回は、2023年に自身初の日本代表入りを果たした篠塚大登を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
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このページの目次
篠塚大登とは?
篠塚大登は、2020年の大阪オープンで準優勝、高校生の中でも抜きんでたボールタッチのセンスを持つ選手です。その繊細さと技術の多彩さから天才とも呼ばれている選手で、高校生ながら一般の大会でも結果を残し始めています。
両ハンドの安定感と高速卓球は日本のトップ選手に引けを取らず、どの技術もそつなくこなすことができる、類まれな才能を評価されてきています。
ジュニアの部では世界トップレベルの実力と称され、2019年のアジアジュニア&カデット選手権ではジュニアの部で3位とアジアでも指折りの選手と言えます。
篠塚大登のプロフィール
篠塚大登(しのづかひろと)は2003年12月23日生まれの20歳(2024年11月時点)で、愛知県東海市出身です。高校教師の父がたまたま卓球部の顧問になったことをきっかけに、5歳から近所の卓球クラブで卓球を始めました。その後、そのクラブの勧めで小学1年生で名門・卓伸クラブに入り、全日本ホカバに出場するなど、幼少期より全国レベルの選手として活躍します。
東京五輪日本代表の張本智和と同い年で、全日本ホカバでは2011年のバンビの部準々決勝、2013年のカブの部決勝、2015年のホープスの部準決勝と、幾度となく張本に行く手を阻まれてきました。
小学校卒業後は愛知工業大学附属中学校に進学しました。同年代には谷垣佑真と濵田一輝、1つ上には横谷晟(愛知工業大)と曽根翔と、実力者が集結していることもあり、入学当初は活躍できませんでしたが、2017年の全日本選手権カデットの部で優勝を果たすと、2018年の全中では男子団体のレギュラーメンバーとして優勝に貢献します。
写真:篠塚大登(写真左)と曽根翔/撮影:ラリーズ編集部
高校はそのまま、愛工大名電高校に進学し、再び厳しいレギュラー争いに身を投じます。それでも、1年時からインターハイに出場し、男子学校対抗優勝、男子シングルス準優勝と申し分のない結果を残し、一気にブレイクを果たしました。そして、2020年の大阪オープンでは、準々決勝で江藤慧との激闘を制し、決勝では高校の先輩である宮本春樹と熱戦を繰り広げ、準優勝に輝きました。
写真:篠塚大登(写真右)と谷垣佑真/撮影:ラリーズ編集部
このように、着実に実力を伸ばしていった篠塚ですが、2020年は新型コロナウイルスの影響で思うような活動が出来ず、シングルス優勝を狙っていたインターハイも中止になります。それでも、翌2021年のインターハイでは男子学校対抗と男子ダブルスの2冠を達成し、シングルスでもベスト4に輝き、高校3年生で有終の美を飾ります。
写真:篠塚大登(写真左)と曽根翔/提供:©T.LEAGUE
また、Tリーグには3rdシーズンの2020-2021シーズンから参戦し、T.T彩たまに所属します。初年度からレギュラーとして活躍し、2020-2021シーズンには曽根翔とのペアでベストペア賞を受賞します。そして、翌2021-2022シーズンもT.T彩たまでプレーし、プレーオフファイナルにも出場するなど、チームに欠かせない存在になりました。
そして、2022年4月に木下グループへの所属が発表され、木下マイスター東京へ移籍することとなります。6月にはポーランドスーパーリーグのダートムボゴリアと契約し、Tリーグとの掛け持ちで海外リーグ挑戦も発表しました。
写真:篠塚大登/提供:WTT
国際大会にはジュニア時代から参加していた篠塚ですが、大きな結果はなかなか残せていませんでした。しかし、2021年にアジア選手権に日本代表として出場し、男子シングルスベスト8、男子団体銅メダルに輝くと、同年の世界ユース選手権でも混合ダブルス優勝、男子団体3位と結果を残します。
写真:WTTコンテンダーノヴァゴリツァで優勝を飾った篠塚大登/提供:WTT
2022年には、篠塚は国際舞台で大きな飛躍を遂げます。5月のWTTフィーダーフリーモントで男子シングルス優勝を飾り、自身初のシニアでの国際大会優勝を達成すると、WTTフィーダーブダペストとWTTコンテンダーアルマトイではベスト4入賞。そして、11月のWTTコンテンダーノヴァゴリツァでは、東京五輪で張本智和を下したダルコ・ヨルジッチ(スロベニア)を決勝で破り、2度目のWTT優勝を達成したのです。
この活躍により、篠塚は世界ランキングを大幅に上げ、2022年シーズン終了時点で29位と、張本、宇田幸矢に次ぐ、日本勢3番手に躍り出ました。また、パリ五輪世代でもある篠塚は2022年11月に開催されたTOP32船橋大会でも躍進し、準決勝で張本に敗れたものの最終的に3位に輝き、選考ポイントランキングでも大きくランクアップを果たしました。
このように、2022年に大きく飛躍を遂げた篠塚は、2023年の全日本選手権でも自信最高成績となる3位入賞。さらに、同年4月には自身初のNT(ナショナルチーム)入りを果たしました。その後は国際大会で結果を残せない時期が続き、世界ランキングも低迷しますが、同年12月のWTTフィーダーデュッセルドルフⅢでシングルスベスト4入りを果たし、2024年の全日本選手権でもシングルス3位、混合ダブルス優勝と結果を残します。
そして、2月に開かれたパリ五輪日本代表発表記者会見でパリ五輪代表入りが内定し、初の五輪代表の座を掴み取りました。
篠塚大登のSNS
篠塚大登のプレースタイル
篠塚大登の戦型は左シェーク裏裏の攻撃型で、どの技術もそつなくこなすことができるオールラウンダーです。特に、台上技術では、東京五輪日本代表候補にも挙がっている水谷隼氏や丹羽孝希と同等かそれ以上のセンスを持ち合わせており、天才肌の選手とも言われています。
主なプレーとしては、台上から先手を取って高速のフォアハンドで打ち抜いたり、あえて長めのレシーブを送って相手に打たせてからカウンターで圧倒したりするのが多いです。
他にも、自らの3球目攻撃を優位にするサーブ技術の高さや、両ハンドのラリー能力の高さなど、まさに非の打ち所がない選手と言えます。プレーの大半は前中陣で行うことが多いため、同校の先輩であり、全日学卓球大会男子シングルス準優勝、全日本選手権男子シングルスベスト4にも輝いた木造勇人とプレースタイルが似ていることが多いです。
篠塚大登の使用用具
篠塚大登はバタフライの契約選手で、ラケットはバタフライの『ティモボル ALC』、ラバーは両面にバタフライの『ディグニクス09C』を使用しているようです。
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篠塚大登の世界ランキング
篠塚大登の世界ランキングは33位(2024年11月時点)で、最高ランキングは26位(2023年7月)です。
篠塚大登の国内大会での主な成績
2013年 | 全日本選手権(カブの部) | 男子シングルス:準優勝 |
2015年 | 全日本選手権(ホープスの部) | 男子シングルス:3位 |
2017年 | 全日本選手権(カデットの部) | 14歳以下男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝 |
全中 | 男子シングルス:ベスト16、男子団体:優勝 | |
2019年 | インターハイ | 男子シングルス:準優勝、男子学校対抗:優勝 |
2020年 | 大阪国際招待選手権 | 男子シングルス:準優勝 |
2021年 | インターハイ | 男子シングルス:3位、男子ダブルス:優勝(ペア:谷垣佑真)、男子学校対抗:優勝 |
2022年 | インカレ | 男子団体:準優勝 |
TOP32福岡大会 | 男子シングルス:3位 | |
TOP32船橋大会 | 男子シングルス:3位 | |
2023年 | 全日本選手権 | 男子シングルス:3位 |
インカレ | 男子団体:優勝 | |
TOP32東京大会 | 男子シングルス:4位 | |
TOP32大阪大会 | 男子シングルス:3位 | |
2024年 | 全日本選手権 | 男子シングルス:3位、混合ダブルス:優勝(ペア:木原美悠) |
篠塚大登の国際大会での主な成績
2017年 | チェコジュニア&カデットオープン | U15男子シングルス:優勝 |
2018年 | スウェーデンジュニア&カデットオープン | U18男子シングルス:準優勝 |
中国ジュニア&カデットオープン | U15男子シングルス:優勝 | |
香港ジュニア&カデットオープン | U15男子シングルス:準優勝 | |
2019年 | ベラルーシオープン | 男子ダブルス:準優勝 |
アジアジュニア&カデット選手権 | U18男子シングルス:3位 | |
フランスジュニア&カデットオープン | U18男子シングルス:ベスト4 | |
中国ジュニア&カデットオープン | U18男子シングルス:準優勝 | |
2021年 | アジア選手権 | 男子シングルス:ベスト8、男子団体:銅メダル |
世界ユース選手権 | U19混合ダブルス:金メダル(ペア:木原美悠)、U19男子団体:銅メダル | |
2022年 | WTTフィーダーフリーモント | 男子シングルス:優勝 |
WTTフィーダーブダペスト | 男子シングルス:ベスト4 | |
WTTコンテンダーアルマトイ | 男子シングルス:ベスト4 | |
WTTコンテンダーノヴァゴリツァ | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝(ペア:戸上隼輔) | |
2023年 | WTTフィーダーデュッセルドルフⅢ | 男子シングルス:ベスト4 |
2024年 | WTTスターコンテンダードーハ | 男子ダブルス:ベスト4(ペア:張本智和) |
WTTサウジスマッシュ | 男子ダブルス:準優勝(ペア:戸上隼輔) | |
WTTフィーダーカッパドキア | 男子シングルス:ベスト4 | |
WTTコンテンダーチュニス | 男子シングルス:ベスト4 | |
パリ五輪 | 男子団体:4位 | |
アジア選手権 | 男子シングルス:銅メダル、男子ダブルス:銅メダル(ペア:戸上隼輔) |
まとめ
常勝校の伝統を受け継ぐサウスポーの天才が国内で頂点に立てるか、国際大会でその稀有な才能を発揮することができるのか。今後の彼の活躍に注目です。