文:ラリーズ編集部
今回は、22歳にして世界ランキング1位に君臨する孫穎莎(スンイーシャ・中国)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、世界ランキングを上げる要因となっている国際大会での戦績についても触れます。
>>伊藤美誠、孫穎莎らがITTFスターアワード賞にノミネート
孫穎莎とは?
孫穎莎は中国の選手で、卓球黄金世代と呼ばれる日本の伊藤美誠や平野美宇、早田ひなと同世代の選手です。2017年に行われた世界ジュニア選手権では、女子シングルスと女子団体で優勝を飾り、2冠を達成しています。また、一般の部では2017年のジャパンオープンでITTFワールドツアー初優勝を果たすと、徐々に頭角を表しました。
孫頴莎のプロフィール
孫穎莎(スンイーシャ/Sun Yingsha)は2000年11月4日生まれの23歳(2024年6月時点)で、中国の河北省石家庄市の出身です。
5歳のときから卓球を始め、10歳で河北省チームで練習するようになります。2015年に全中国少年選手権で優勝すると国家2軍チームに加入し、2017年に行われた入れ替えリーグ戦を勝ち抜き、1軍チームにまで登りつめました。
写真:孫穎莎(スンイーシャ・中国)/提供:ittfworld
2019年には世界選手権女子ダブルスで金メダル獲得、ワールドツアーで3度優勝を果たすなど、世界トップというに相応しい活躍を見せました。
写真:左から孫穎莎、陳夢、伊藤美誠/提供:ITTF
2020年は新型コロナウイルスの影響で活動は制限されましたが、翌2021年には自身初の五輪となる東京五輪に参加。女子シングルスでは決勝で陳夢(チェンムン・中国)に敗れ銀メダルに終わりますが、女子団体では決勝で日本を下し、金メダルを獲得しましました。
写真:写真:世界選手権ヒューストン大会混合ダブルス金メダルを獲得した王楚欽/孫穎莎ペア/撮影:ラリーズ編集部
初の五輪金メダルを獲得した孫頴莎は数か月後の世界選手権でも躍動し、女子ダブルス、混合ダブルスで金メダル、女子シングルスでは銀メダルを獲得し、出場全種目でメダルを獲得しました。
このように活躍を続けていた孫頴莎は2022年1月、21歳という若さで自身初の世界ランキング1位を掴みました。3月に一度陳夢に1位の座を明け渡しますが、7月に1位に返り咲いて以降は、半年以上1位をキープしています。
そして、孫頴莎は2022年も勝ち続けます。WTTチャンピオンズマカオ、WTTカップファイナルとメジャー大会を制し、9月に開催された世界選手権成都大会では、自身初の世界選手権団体戦金メダル獲得を実現しました。
さらに、2023年の世界選手権ダーバン大会では、悲願の女子シングルス金メダルを獲得しました。
孫頴莎のプレースタイル
孫穎莎の戦型は、右シェーク裏裏ドライブ型です。軽快なフットワークから繰り出される両ハンドの攻撃には目を見張るものがあります。また、早い打球点で攻撃できるため、相手がボールに反応できずにノータッチでラリーが終わる場面がよく見られます。
写真:孫穎莎(スンイーシャ・中国)/提供:ittfworld
精神的にも強いと言えるでしょう。韓国オープン準々決勝で石川佳純にマッチポイントを握られた場面で、孫穎莎は臆することなく石川の3球目攻撃をストレートにカウンターして得点しました。また、チームワールドカップ決勝で伊藤美誠にマッチポイントを握られている場面でも、思い切ってフォア側に回り込んでストレートに強烈なレシーブをするなど、追い込まれた場面でも要所で強気のプレーができるところも孫穎莎の強みであるといえるでしょう。
孫頴莎の使用用具
孫穎莎は、ラケットはSTIGAの『カーボネード45』、ラバーはフォア面に紅双喜の『キョウヒョウ3(ブルースポンジ)』、バック面に紅双喜の『キョウヒョウ3』を使用しているそうです。
>>カーボネード45は「弾み」に強みのあるスティガのカーボンラケット
>>【卓球】キョウヒョウ3 国狂ブルーの特徴を徹底レビュー 中国トップ選手愛用ラバーが日本上陸
孫頴莎の世界ランキング
孫穎莎の世界ランキングは1位(2024年6月時点)で、最高ランキングは1位(2024年6月)です。
2017年1月時点では82位でその後は一時世界ランキングから外れるも、同年7月発表の世界ランキングで10位にランクインしました。2018年には、52位まで世界ランキングが下がりますが、2019年から一気にランキングを上げ、2022年にはついに念願の世界ランキング1位となりました。
孫頴莎の主な戦績
2017年 | ジャパンオープン | 女子シングルス:優勝 |
世界ジュニア選手権 | 女子シングルス:金メダル | |
2019年 | 世界選手権ブダペスト大会 | 女子ダブルス:金メダル |
ジャパンオープン | 女子シングルス:優勝 | |
アジア選手権 | 女子シングルス:金メダル | |
ドイツオープン | 女子シングルス:優勝 | |
チームワールドカップ | 女子団体:優勝 | |
2021年 | 東京五輪 | 女子シングルス:銀メダル、女子団体:金メダル |
世界選手権ヒューストン大会 | 女子シングルス:銀メダル、女子ダブルス:金メダル(ペア:王曼昱)、混合ダブルス:金メダル(ペア:王楚欽) | |
WTTカップファイナルシンガポール | 女子シングルス:優勝 | |
2022年 | WTTシンガポールスマッシュ | 女子シングルス:ベスト4 |
WTTチャンピオンズマカオ | 女子シングルス:優勝 | |
世界選手権成都大会 | 女子団体:金メダル | |
WTTカップファイナル | 女子シングルス:優勝 | |
2023年 | WTTシンガポールスマッシュ | 女子シングルス:優勝、女子ダブルス:優勝(ペア:王曼昱)、混合ダブルス:優勝(ペア:王楚欽) |
WTTチャンピオンズ新郷 | 女子シングルス:優勝 | |
世界選手権ダーバン大会 | 女子シングルス:金メダル、女子ダブルス:銅メダル(ペア:王曼昱)、混合ダブルス:金メダル(ペア:王楚欽) | |
WTTスターコンテンダーリュブリャナ | 女子シングルス:優勝、混合ダブルス:優勝(ペア:王楚欽) | |
アジア選手権 | 女子シングルス:銀メダル、女子ダブルス:銀メダル(ペア:王藝迪)、女子団体:金メダル | |
杭州アジア競技大会 | 女子シングルス:金メダル、混合ダブルス:金メダル(ペア:王楚欽)、女子団体:金メダル | |
WTTスターコンテンダー蘭州 | 女子シングルス:優勝 | |
ITTF混合ワールドカップ | 混合団体:優勝 | |
WTTファイナルズ名古屋 | 女子シングルス:優勝、女子ダブルス:優勝(ペア:王曼昱) | |
2024年 | WTTスターコンテンダードーハ | 女子シングルス:優勝、混合ダブルス:優勝(ペア:王楚欽) |
世界選手権釜山大会 | 女子団体:金メダル | |
WTTシンガポールスマッシュ | 混合ダブルス:優勝(ペア:王楚欽) | |
WTTチャンピオンズ仁川 | 女子シングルス:優勝 | |
WTTサウジスマッシュ | 女子シングルス:準優勝、混合ダブルス:優勝(ペア:王楚欽) | |
WTTチャンピオンズ重慶 | 女子シングルス:優勝 |
まとめ
23歳ながら、すでに中国の絶対エースとして君臨する孫穎莎。日本の伊藤美誠や平野美宇、早田ひなと同じ世代でありこれからも日本の前に立ちはだかるライバルになることが予想されます。東京五輪のシングルス代表にも選ばれた彼女が今後どのような活躍を見せてくれるのか、期待が高まります。