文:ラリーズ編集部
長きに渡って香港の卓球界を支えてきたペンホルダーの黄鎮廷。今回はそんな黄鎮廷のプロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても詳しく紹介します。
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黄鎮廷とは
黄鎮廷は、香港の中心選手として活躍する中国式ペンホルダーの選手です。シングルスだけでなく、男子ダブルスや混合ダブルスでも好成績を残している万能型の選手です。
黄鎮廷のプロフィール
黄鎮廷(ウォンチュンティン)は1991年9月7日生まれの31歳(2023年4月時点)です。香港出身で、9歳で本格的に卓球を始め、2010年に香港ナショナルチームに選ばれます。そこで、当時香港の絶対的エースだった唐鵬と出会い、技術面だけでなく精神的な面でもアドバイスを受けながら練習に励んでいました。
その後、2014年の2月のカタールオープンやクウェートオープンでの活躍もあって世界ランキングを112位から42位まで上げ一気に注目を集めます。その後は、2016年のワールドカップでシングルス3位や2018年のグランドファイナルで優勝するなど様々な種目で結果を残してきています。
また、世界選手権でも2015年、2017年大会で混合ダブルス銅メダルを獲得しています。
写真:黄鎮廷(ウォンチュンティン・中国香港)/撮影:ラリーズ編集部
黄鎮廷は、TリーグにはT.T彩たまから1stシーズンと2ndシーズンの2シーズンに渡って参戦し、通算でシングルス10勝、ダブルス13勝の成績を残しています。また、2022-2023シーズンからはドイツブンデスリーガ1部のフルダ・マーバーツェルへの加入が決まっています。
黄鎮廷のプレースタイル
黄鎮廷は中国式ペンを使うドライブ主戦型の右利きの選手です。しかし、他のペンホルダーの選手とは異なって、バック側にきたボールはあまり回り込んで攻めずに裏面打法で対応するなど特徴のあるプレーをしています。
プレースタイルとしては基本的にフォアハンドを中心にするのではなく両ハンドで戦術を組み立てている印象があります。
右利きの選手との対戦では基本的にバック対バックのラリーになることが多く、裏面で返球する際、ラケットのヘッドを下げる事でボールの上側ではなく横側をとらえやすいため、上回転ではなく横回転がかかりやすいため相手のミスを誘うことができます。裏面打法だけでなく、時にはフットワーク生かしたフォアハンドで攻め込む場面もあり、戦術の幅が広い選手といえるでしょう。
レシーブではストップやチキータなど様々なレシーブを得意としています。チキータではボールの横側をとらえることで横回転や横下回転をかける事でミスを誘い、次の攻撃に繋げています。
また、フォア側のレシーブでは、ストップだけなく回り込んでチキータで積極的に攻めるなど思い切りの良さも見られます。そして、相手のストップに対しては回転をあまりかけずに押し込む事でナックル気味のフリックをすることが多いです。このようにレシーブや台上技術が多彩であることがシングルスだけでなくダブルスでも結果を残している要因の一つになっています。
黄鎮廷の使用用具
黄鎮廷の使用ラケットはバタフライの特注ラケットで、ラバーはフォア面に「テナジー05ハード」、バック面に「テナジー05ハード」を使用しているようです。
黄鎮廷の世界ランキング
黄鎮廷の世界ランキングは29位(2023年4月時点)で、最高ランキングは6位(2018年3月時点)です。
黄鎮廷の世界ランキングの推移は2014年2月までは100位台でしたが翌月には世界ランキングを一気に68位上げ44位となり、その後は50位以上をキープしています。
黄鎮廷の主な戦績
2015年 | 世界選手権蘇州大会 | 混合ダブルス:銅メダル |
2016年 | アジアカップ | 男子シングルス:ベスト4 |
リオ五輪 | 男子シングルス:ベスト16 | |
ワールドカップ | 男子シングルス:ベスト4 | |
2017年 | 世界選手権デュッセルドルフ大会 | 混合ダブルス:銅メダル |
グランドファイナル | 男子ダブルス:準優勝 | |
2018年 | グランドファイナル | 男子ダブルス:準優勝、混合ダブルス:優勝 |
グランドファイナル | 男子ダブルス:準優勝 | |
2019年 | 韓国オープン | 混合ダブルス:優勝 |
オーストラリアオープン | 混合ダブルス:優勝 | |
2021年 | 東京五輪 | 男子シングルス:ベスト32、混合ダブルス:ベスト8 |
世界選手権ヒューストン大会 | 男子シングルス:ベスト16 |
まとめ
数少ないペンホルダーの使い手として世界で闘う黄鎮廷。裏面打法を生かした戦術と多彩な技術で多くの選手の前に立ちはだかっています。様々な種目で結果を残している黄鎮廷の今後の活躍にも注目が集まります。
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