3年ぶりインカレ王座奪還の早稲田女子 優勝候補連破で「文字通り学生日本一になれた」 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:インカレ優勝を果たした早稲田大学卓球部女子/撮影:ラリーズ編集部

卓球インタビュー 3年ぶりインカレ王座奪還の早稲田女子 優勝候補連破で「文字通り学生日本一になれた」

2021.09.07

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Rallys編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

全日本大学総合卓球選手権大会・団体の部(以下、インカレ)の記念すべき第90回大会、女子優勝を飾ったのが早稲田大学だ。阿部愛莉(デンソー)、德永美子(十六銀行)を擁し、3連覇を果たした2018年以来の王座奪還となった。

しかし、優勝への道のりは、険しいものだった。

2回戦で前回大会優勝の愛知工業大学、3回戦でインハイ複優勝選手が加入した同志社大学、準決勝で全日本ジュニア女王を擁する専修大学、決勝で日本リーグ1部昇格を果たした神戸松蔭女子学院大学と、常に優勝候補と対峙し、打ち破っての栄冠となった。


写真:インカレ優勝を果たした早稲田大学卓球部女子/撮影:ラリーズ編集部

今回は、早稲田大学の練習場を訪れ、川田雄二監督、主将の岩越帆香(いわこしほのか)、準決勝で木村香純(専修大学)から金星を挙げた黒野葵衣(くろのあおい)にそれぞれインカレ優勝を振り返ってもらった。


【早稲田大学卓球部女子】1950(昭和25)年誕生。2016年~2018年にはインカレ初優勝から3連覇、2018年には春季リーグ戦・インカレ・秋季リーグ戦と三大タイトルを獲得するグランドスラムを達成した。女子部は現在4学年10人と少数精鋭で活動しているが、一般入部することも可能。阿部愛莉(デンソー)、德永美子(十六銀行)ら実業団で活躍するOGも多い。

川田監督「文字通り学生日本一になった」


写真:川田雄二監督(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人

――インカレ優勝おめでとうございます。優勝の要因はどこでしょうか?
川田監督:4年生の2人、笹尾と岩越が2人でチームを引っ張ってくれたことですね。

彼女たちは1年生のときにインカレで優勝しています。コロナで2年ぶりの大会になりましたが、優勝経験が途絶えないように今年なんとかしてくれました。


写真:早稲田大学を支える主将の岩越帆香(写真左)と笹尾明日香/撮影:槌谷昭人

――コロナで多くの試合が中止となり難しかったのではないでしょうか。
川田監督:リーグ戦も3季なくなり、チームが成長できない部分がありました。みんな目的がばらばらになったり、団体戦ができなかったのは難しかったですね。

でもその中で、試合に出てるメンバーとサポートするメンバーが全員で、役割を分担して試合に臨めたのが良かったと思っています。

――試合だと愛工大や専修大と強豪との対戦が続きましたね。
川田監督:メンバーはほぼ変わってるけれども、愛工大は前回のチャンピオンで、1年生が強力だという情報もありました。関西では神戸松蔭女子学院大学、関東では専修大学が強いので、その3つのうちできたら1つだけとやりたいと思ったぐらいです(笑)。

でも、その3つに勝って優勝だったので、文字通り学生日本一になれたのかと思っています。


写真:インカレでの早稲田大学卓球部女子/撮影:ラリーズ編集部

主将・岩越帆香「後輩たちが頑張ってくれた」


写真:岩越帆香(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人

――主将として、インカレ優勝できた要因はどう考えていますか?
岩越帆香:シードではなかったので、どこの大学と当たるか分からない状況でした。決勝トーナメントに上がった時点ですぐに強い大学と当たることもあるので、いつ当たっても良いように細かく全ての大学を分析して準備していました。

サポートの部分でも大会前はチーム全員で考えて準備をし、大会期間中は試合に出場しない選手はチームのサポートを全力で取り組んでくれて、試合に出場する選手はサポートしてくれている選手の分まで全力で試合に取り組み、頑張ることができました。

一人一人がチームの優勝のために自分の役割を責任持って果たせたことが、優勝に繋がったと思います。

――2回戦では前回優勝の愛工大と対戦でした。
岩越帆香:今回のインカレでの1つの山場でした。5番までもつれる長期戦となりましたが、チーム全員が集中力を切らさずやれたことが勝因です。

自分は5番で出させていただいて、最後のインカレでプレッシャーもありました。試合中はチームのみんなだったり、ライブ配信で応援していただいてるOB、OGの方だったり、いろんな方に応援していただいて、勝つことができました。

終わった後、ホッとした気持ちや思うようなプレーができなかった申し訳なさもあり、自然と涙がこぼれました


写真:愛工大戦のラストで勝利した岩越帆香(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――準決勝では優勝候補の専修大学との対戦となりました。
岩越帆香:2つ目の山場でした。専修大学は強い選手が揃っているので、厳しい戦いになると思っていました。

その中で、4年生の自分と笹尾選手がシングルスで2点落としてしまって、申し訳ない気持ちでいっぱいだったんですけど、後輩たち(黒野、杉田)が頑張って勝ってくれました。頼もしく、とても心強かったです。

また試合に出場していないベンチで応援してくれたサポートメンバーも全試合全力でサポートしてくれて、その分決勝では自分たちが頑張って勝たなければいけないと思いました。


写真:専修大学戦は5番で大逆転負けを喫した岩越帆香/撮影:ラリーズ編集部

――決勝も含めて岩越選手と笹尾選手のダブルスが全勝だったことも大きいと思います。
岩越帆香:ダブルスは笹尾選手と組んで4年目ということもありますし、経験もたくさん積んできました。

団体戦ではダブルスが重要だと思っていたので、試合前もかなり強化しましたし、細かく調整してきたのでそれが良かったのかなと思います。

インカレの試合でもダブルスを落としてしまったら、負けてしまう試合もたくさんあったと思います。団体戦でのダブルスの重要さを改めて感じることができました。


写真;笹尾明日香(写真左)・岩越帆香ペア(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

金星を挙げた黒野葵衣


写真:黒野葵衣(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――インカレを振り返るとどうでしたか?準決勝の専修大・木村選手とフルゲーム18-16の大激戦を制して、チームを決勝に導くという形でした。
黒野葵衣:準決勝の試合に、愛工大戦、同志社大戦があって、私は2試合とも負けていました。

出てる4年生の2人(岩越、笹尾)や1年生の杉田含め、みなさんにすごいご迷惑をかけたので、日曜日の専大のときに土曜日の借りが返せたらいいなと思ってプレーしました。


写真:黒野葵衣(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人

――試合中はどういう心境でしたか?
黒野葵衣:4年生お二人と杉田に安定感をすごく感じていたので、私は思い切ってやろうというのが1番にありました。

ただ、「4番手が勝つか負けるかはチームにとってすごく大きい」というのを(出身の武蔵野)高校時代からずっと言われてきてたので、自分の立ち位置を理解して4番手としてやることができたのかなって思います。

――フルゲームデュースになり、長いデュースを粘り切れた要因は何でしょうか?
黒野葵衣:相当緊張して、全然覚えてないです(笑)。

最後ベンチが見える側のコートだったので、応援も見えて、ベンチにいる方も励ましてくださって、1点取られても「まだできる」と強気でいられたのが良かったのではと思います。


写真:ベンチでアドバイスを受ける黒野葵衣(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――2020年11月末の全日学選抜で優勝されたときも木村選手に勝利しています。そこからご自身では何か変わりましたか?
黒野葵衣:それまで特に1学年上の選手は、レベルが1段階2段階上の方々ばかりだなと思ってましたた。でも、ちょっとのきっかけで戦えるんだなとはすごい思いました。

選抜の試合は8試合中5試合が3-2勝ちなので、次やったら勝つか分からないところはあります。ただ、苦手としてた人と多く当たる組み合わせでも勝ち切れたので、それまでは別世界と思っていた人たち相手でも、もしかしたら勝てるチャンスがあるんだなって思うようになりました。


写真:黒野葵衣(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人

――結果的にはそのまま優勝を勝ち取りました。
黒野葵衣:インカレは、はじめから優勝を狙いに行ってたので、優勝を獲れて嬉しいなと思ったのと、組み合わせ的に厳しい山を乗り越えて優勝できたのはキャプテンはじめ4年生の方が引っ張ってくださった結果かなと思います。

早稲田は3年ぶりのインカレ優勝を選手それぞれの活躍によるチーム力で勝ち取った。誰が欠けても成し遂げられなかった価値ある日本一となった。

次回は4年生エースの笹尾明日香、次々回はスーパールーキー杉田陽南のそれぞれのインタビューをお届けする。

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