全日本大学総合卓球選手権大会・団体の部(以下、インカレ)の記念すべき第90回大会、女子優勝を飾ったのが早稲田大学だ。阿部愛莉(デンソー)、德永美子(十六銀行)を擁し、3連覇を果たした2018年以来の王座奪還となった。
しかし、優勝への道のりは、険しいものだった。
2回戦で前回大会優勝の愛知工業大学、3回戦でインハイ複優勝選手が加入した同志社大学、準決勝で全日本ジュニア女王を擁する専修大学、決勝で日本リーグ1部昇格を果たした神戸松蔭女子学院大学と、常に優勝候補と対峙し、打ち破っての栄冠となった。
写真:インカレ優勝を果たした早稲田大学卓球部女子/撮影:ラリーズ編集部
今回は、早稲田大学の練習場を訪れ、川田雄二監督、主将の岩越帆香(いわこしほのか)、準決勝で木村香純(専修大学)から金星を挙げた黒野葵衣(くろのあおい)にそれぞれインカレ優勝を振り返ってもらった。
【早稲田大学卓球部女子】1950(昭和25)年誕生。2016年~2018年にはインカレ初優勝から3連覇、2018年には春季リーグ戦・インカレ・秋季リーグ戦と三大タイトルを獲得するグランドスラムを達成した。女子部は現在4学年10人と少数精鋭で活動しているが、一般入部することも可能。阿部愛莉(デンソー)、德永美子(十六銀行)ら実業団で活躍するOGも多い。
このページの目次
川田監督「文字通り学生日本一になった」
写真:川田雄二監督(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人
彼女たちは1年生のときにインカレで優勝しています。コロナで2年ぶりの大会になりましたが、優勝経験が途絶えないように今年なんとかしてくれました。
写真:早稲田大学を支える主将の岩越帆香(写真左)と笹尾明日香/撮影:槌谷昭人
でもその中で、試合に出てるメンバーとサポートするメンバーが全員で、役割を分担して試合に臨めたのが良かったと思っています。
でも、その3つに勝って優勝だったので、文字通り学生日本一になれたのかと思っています。
写真:インカレでの早稲田大学卓球部女子/撮影:ラリーズ編集部
主将・岩越帆香「後輩たちが頑張ってくれた」
写真:岩越帆香(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人
サポートの部分でも大会前はチーム全員で考えて準備をし、大会期間中は試合に出場しない選手はチームのサポートを全力で取り組んでくれて、試合に出場する選手はサポートしてくれている選手の分まで全力で試合に取り組み、頑張ることができました。
一人一人がチームの優勝のために自分の役割を責任持って果たせたことが、優勝に繋がったと思います。
自分は5番で出させていただいて、最後のインカレでプレッシャーもありました。試合中はチームのみんなだったり、ライブ配信で応援していただいてるOB、OGの方だったり、いろんな方に応援していただいて、勝つことができました。
終わった後、ホッとした気持ちや思うようなプレーができなかった申し訳なさもあり、自然と涙がこぼれました。
写真:愛工大戦のラストで勝利した岩越帆香(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部
その中で、4年生の自分と笹尾選手がシングルスで2点落としてしまって、申し訳ない気持ちでいっぱいだったんですけど、後輩たち(黒野、杉田)が頑張って勝ってくれました。頼もしく、とても心強かったです。
また試合に出場していないベンチで応援してくれたサポートメンバーも全試合全力でサポートしてくれて、その分決勝では自分たちが頑張って勝たなければいけないと思いました。
写真:専修大学戦は5番で大逆転負けを喫した岩越帆香/撮影:ラリーズ編集部
団体戦ではダブルスが重要だと思っていたので、試合前もかなり強化しましたし、細かく調整してきたのでそれが良かったのかなと思います。
インカレの試合でもダブルスを落としてしまったら、負けてしまう試合もたくさんあったと思います。団体戦でのダブルスの重要さを改めて感じることができました。
写真;笹尾明日香(写真左)・岩越帆香ペア(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部
金星を挙げた黒野葵衣
写真:黒野葵衣(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部
出てる4年生の2人(岩越、笹尾)や1年生の杉田含め、みなさんにすごいご迷惑をかけたので、日曜日の専大のときに土曜日の借りが返せたらいいなと思ってプレーしました。
写真:黒野葵衣(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人
ただ、「4番手が勝つか負けるかはチームにとってすごく大きい」というのを(出身の武蔵野)高校時代からずっと言われてきてたので、自分の立ち位置を理解して4番手としてやることができたのかなって思います。
最後ベンチが見える側のコートだったので、応援も見えて、ベンチにいる方も励ましてくださって、1点取られても「まだできる」と強気でいられたのが良かったのではと思います。
写真:ベンチでアドバイスを受ける黒野葵衣(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部
選抜の試合は8試合中5試合が3-2勝ちなので、次やったら勝つか分からないところはあります。ただ、苦手としてた人と多く当たる組み合わせでも勝ち切れたので、それまでは別世界と思っていた人たち相手でも、もしかしたら勝てるチャンスがあるんだなって思うようになりました。
写真:黒野葵衣(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人
早稲田は3年ぶりのインカレ優勝を選手それぞれの活躍によるチーム力で勝ち取った。誰が欠けても成し遂げられなかった価値ある日本一となった。
次回は4年生エースの笹尾明日香、次々回はスーパールーキー杉田陽南のそれぞれのインタビューをお届けする。
>>スポーツ推薦ではなく自己推薦で入学 早稲田大エース・笹尾明日香の卓球に懸ける決意