愛知みずほ大学 瑞穂高校(以下、愛み大瑞穂高校)卓球部は、笑顔で楽しそうにプレーする姿が印象に残るチームだ。
2021年インターハイ学校対抗ではノーシードながら、札幌大谷、正智深谷、希望が丘と強豪校を立て続けに破り、ベスト8まで駆け上がった。
写真:インターハイでの稲垣幸菜(愛み大瑞穂高1年)/撮影:ラリーズ編集部
近年では2017年、2018年とインターハイ学校対抗3位に入り、2018年に野村萌(現・デンソー)がインターハイ女子シングルス優勝、野村/大島奈々(現・専修大学)がダブルス3位に入賞を果たしている。
女子高校卓球界の中心で戦う常“笑”軍団、愛み大瑞穂高校卓球部の強さの秘密を探るべく、名古屋市の練習場を訪れた。
【愛知みずほ大学瑞穂高校卓球部】愛知県の卓球強豪校。2021年のインターハイでは、激戦区愛知県予選を1位通過し、学校対抗ベスト8、甲斐萌夏(3年)がシングルスベスト16とランク入りを果たした。インターハイ女子シングルス優勝の野村萌(現・デンソー)やシングルス3位の秋山星(現・青山学院大学)らを輩出している名門校。
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ノーシードから勝ち上がったインターハイは「楽しかった」
写真:愛み大瑞穂高校卓球部の神谷卓磨監督 愛工大名電高、愛知工業大学を経て大学卒業後に愛み大瑞穂高校に勤める/撮影:ラリーズ編集部
インターハイでの3年生の甲斐萌夏(写真左)と鶴岡美菜(愛み大瑞穂)
笑顔で戦うことは意識的に?
無観客開催のインターハイでは観客席から控えメンバーがプラカードでメッセージを送った
「ルールは決めない」選手たちにチーム作りを任せる指導方針
それに関連して「ルールをこちらが決めない」というのがチームの特徴です。挨拶の仕方、髪型など細かいルールは全くなく、全部選手たちが決めています。
自分たちでチームを作っていくことを大事にしていて、その結果、卒業生も含めてみんながこのチームを好きで大事に思ってくれています。
写真:インターハイで稲垣幸菜と笑顔で肘タッチをする神谷監督/撮影:ラリーズ編集部
選手たちと話している中で、「今日もみんなと一緒に練習するのが楽しい」とか「今日もみんなと一緒に頑張ろう」とか、チームのことを選手自身が好きという気持ちが大事だなと感じ、方針を変えました。
生徒たちが自らチーム作りをしていくところを指導の柱にしてやってます。
真剣な練習の合間には選手たちからは笑顔も見え、明るい雰囲気で練習が行われていた
「すべてが活きている」今枝先生と過ごした選手時代
写真:神谷監督(愛み大瑞穂高校)/撮影:ラリーズ編集部
今枝(一郎)先生(現・愛工大名電高校監督)が何かのインタビューで僕の話を出してくれたことがあって、逆に僕がインタビューで今枝先生の話ができるのは嬉しいです(笑)。
写真:インターハイでの今枝一郎監督(愛工大名電高・写真右から2人目)/撮影:ラリーズ編集部
愛工大名電高校でどのような経験をしたのでしょうか?
高校1年生のときからちょうど今枝先生がコーチとして名電に来て下さったんですけど、規定練習後の自主練の時間に今枝先生が毎日多球練習の球出しをしてくれて、毎日練習相手をしてくれました。
その結果、2年生の部内リーグで優勝できてレギュラーとして使ってもらえるようになったという経験があります。
選手たちの練習を見つめる神谷監督
練習に夜遅くまで付き合ってくれたり、一緒に寮に住んでいたので一緒にテレビゲームをやったり、一緒にお風呂に入ったり、一緒に当時の監督さんに謝ってくれたりもしました。
そうやって一緒になって頑張ってくれた。そういう姿から、僕もこういう指導者、先生になりたいなと思ったんですよね。
するとだんだんチームが「今枝先生のために勝ちたい」という雰囲気になっていきました。
そういうところから、“選手を強くする”のではなく、“選手が強くなる環境を作る”のが一番大事だと名電で感じました。
選手時代を振り返る神谷卓磨監督
ただ、それ以上に毎日の練習がすごい刺激的で、練習がつまらないと思う日が全然なかった。
選手一人一人のモチベーションが伸び率を決めるのかなと思って、そこは名電の指導を参考にしてやっています。
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強さの秘密は、選手自身が「強くなりたい」と思える環境
写真:愛み大瑞穂の練習風景 練習では台から距離を取り鋭いボールを各選手が放っていた/撮影:ラリーズ編集部
つまり、毎日の練習に対するモチベーションが高いことは、強くなりたいと思っている量が多いということです。そういう密度の濃い練習を半年間、1年間と積み重ねていくことで、選手たちに力がついていくのだと思います。
1年生の稲垣幸菜(愛み大瑞穂高)もインターハイでレギュラーとして活躍
キャプテンの深谷を中心にサポートする3年生も含めて本当に個性豊かで、みんなが一生懸命でいろんな逆境がたくさんあったんですよ。
レギュラーとして活躍した3年生の鶴岡美菜(愛み大瑞穂)
だからこそ、3年生の想いを後輩たちが引き継いで、今まで以上にいいチームを作っていって欲しいなと思います。
写真:愛み大瑞穂高校卓球部のメンバー/提供:愛み大瑞穂高校
チーム作りにおいて選手との対話も大事にしている神谷監督。今回の取材も快く受けて入れてくださり、物腰柔らかな対応で答えてくれた。
練習中、選手たちは高い質の打球を放っていたが、特別なことが行われているわけではなかった。
チームが好きだという気持ちと、「強くなりたい」という高いモチベーションを持ち、基本練習に臨んでいた。
“選手が強くなる環境”がそこにはあった。