常"笑"卓球・愛み大瑞穂 「名電の指導を参考に」"名電OB"指揮官の選手が強くなる環境作り | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:愛み大瑞穂卓球部メンバー/提供:愛み大瑞穂卓球部

卓球インタビュー 常“笑”卓球・愛み大瑞穂 「名電の指導を参考に」“名電OB”指揮官の選手が強くなる環境作り

2021.11.15 取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)

愛知みずほ大学 瑞穂高校(以下、愛み大瑞穂高校)卓球部は、笑顔で楽しそうにプレーする姿が印象に残るチームだ。

2021年インターハイ学校対抗ではノーシードながら、札幌大谷、正智深谷、希望が丘と強豪校を立て続けに破り、ベスト8まで駆け上がった。


写真:インターハイでの稲垣幸菜(愛み大瑞穂高1年)/撮影:ラリーズ編集部

近年では2017年、2018年とインターハイ学校対抗3位に入り、2018年に野村萌(現・デンソー)がインターハイ女子シングルス優勝、野村/大島奈々(現・専修大学)がダブルス3位に入賞を果たしている。

女子高校卓球界の中心で戦う常“笑”軍団、愛み大瑞穂高校卓球部の強さの秘密を探るべく、名古屋市の練習場を訪れた。


【愛知みずほ大学瑞穂高校卓球部】愛知県の卓球強豪校。2021年のインターハイでは、激戦区愛知県予選を1位通過し、学校対抗ベスト8、甲斐萌夏(3年)がシングルスベスト16とランク入りを果たした。インターハイ女子シングルス優勝の野村萌(現・デンソー)やシングルス3位の秋山星(現・青山学院大学)らを輩出している名門校。

ノーシードから勝ち上がったインターハイは「楽しかった」


写真:愛み大瑞穂高校卓球部の神谷卓磨監督 愛工大名電高、愛知工業大学を経て大学卒業後に愛み大瑞穂高校に勤める/撮影:ラリーズ編集部

――インターハイ学校対抗ではノーシードからベスト8に入りました。どう総括していますか?
神谷監督:一言で言うと楽しかったですね。インターハイに向けての準備期間も負けた悔しさも全部含めて、みんなでしっかり大会を味わって楽しめたと思います。


インターハイでの3年生の甲斐萌夏(写真左)と鶴岡美菜(愛み大瑞穂)

――確かにプレーする選手たちはみんな笑顔で、楽しんでいるように見えました。

笑顔で戦うことは意識的に?

神谷監督:外見は内面を変えていく一つの方法だと思っていて、緊張してたり苦しかったりしても笑顔を貫くことで気持ちも楽しくなったり前向きになったりできると思いやっていました。
――特にどういうところが楽しかったですか?
神谷監督:苦しい場面で観客席の選手がプラカードを挙げてくれたり、試合後の宿舎でのミーティングで言葉の節々に選手たちが成長してる実感があって、それが一番楽しかったですね。


無観客開催のインターハイでは観客席から控えメンバーがプラカードでメッセージを送った

「ルールは決めない」選手たちにチーム作りを任せる指導方針

――愛み大瑞穂はチームが一丸となっている印象ですが、神谷監督がチームをまとめるために意識している点はありますか?
神谷監督:選手を信じてあげることです。

それに関連して「ルールをこちらが決めない」というのがチームの特徴です。挨拶の仕方、髪型など細かいルールは全くなく、全部選手たちが決めています。

自分たちでチームを作っていくことを大事にしていて、その結果、卒業生も含めてみんながこのチームを好きで大事に思ってくれています。


写真:インターハイで稲垣幸菜と笑顔で肘タッチをする神谷監督/撮影:ラリーズ編集部

神谷監督:あとは意外とオフの場面でのコミュニケーションの方が良い信頼関係が築けるなと思い、週1回必ず休みを作ったり、月に1回日曜日をフリーにしたり、練習を詰め込みすぎないようにして、選手間のコミュニケーションを取る時間を作ることも大事にやってます
――自主性を重んじるチーム作りが神谷監督の指導方針ということでしょうか?
神谷監督:実は監督になったばかりは、練習量をガンガン増やして厳しくやっていました。ただ、どんどんチームが勝てなくなっていってしまった。

選手たちと話している中で、「今日もみんなと一緒に練習するのが楽しい」とか「今日もみんなと一緒に頑張ろう」とか、チームのことを選手自身が好きという気持ちが大事だなと感じ、方針を変えました。

生徒たちが自らチーム作りをしていくところを指導の柱にしてやってます。


真剣な練習の合間には選手たちからは笑顔も見え、明るい雰囲気で練習が行われていた

「すべてが活きている」今枝先生と過ごした選手時代


写真:神谷監督(愛み大瑞穂高校)/撮影:ラリーズ編集部

――神谷監督の指導の中で、愛工大名電高でプレーした現役時代の経験が活きている部分はありますか?
神谷監督:ここが一番喋りたかったんですよ(笑)。少し長くなっても良いですか?

今枝(一郎)先生(現・愛工大名電高校監督)が何かのインタビューで僕の話を出してくれたことがあって、逆に僕がインタビューで今枝先生の話ができるのは嬉しいです(笑)。


写真:インターハイでの今枝一郎監督(愛工大名電高・写真右から2人目)/撮影:ラリーズ編集部

――ぜひぜひ、お願いします!
神谷監督:高校時代の経験は、ほとんど全てが今の指導に活きていると思っています。
――おお、そこまで!

愛工大名電高校でどのような経験をしたのでしょうか?

神谷監督:僕は名電に高校から一般生で入って、最初は部内リーグも最下位でした。

高校1年生のときからちょうど今枝先生がコーチとして名電に来て下さったんですけど、規定練習後の自主練の時間に今枝先生が毎日多球練習の球出しをしてくれて、毎日練習相手をしてくれました

その結果、2年生の部内リーグで優勝できてレギュラーとして使ってもらえるようになったという経験があります。


選手たちの練習を見つめる神谷監督

神谷監督:今枝先生と過ごしてきて感じたのは、選手との接し方です。

練習に夜遅くまで付き合ってくれたり、一緒に寮に住んでいたので一緒にテレビゲームをやったり、一緒にお風呂に入ったり、一緒に当時の監督さんに謝ってくれたりもしました。

そうやって一緒になって頑張ってくれた。そういう姿から、僕もこういう指導者、先生になりたいなと思ったんですよね。

――今枝監督と過ごした実体験が、今の神谷監督の指導の礎となっているんですね。
神谷監督:当時、今枝先生はコーチだったので、団体戦の時は観覧席で応援でした。でも一本取ってガッツポーズして振り返ると、今枝先生が観覧席から落っこちそうになるくらい立ち上がってガッツポーズして応援してくれてました。

するとだんだんチームが「今枝先生のために勝ちたい」という雰囲気になっていきました。

そういうところから、“選手を強くする”のではなく、“選手が強くなる環境を作る”のが一番大事だと名電で感じました。


選手時代を振り返る神谷卓磨監督

――そういう選手が自ら頑張りたいと思う環境作りなどが、今の愛み大瑞穂のチーム作りに活きているんですね。
神谷監督:もちろん、ボールの捉え方や体の使い方など、技術の基本もしっかりと習ってきました。

ただ、それ以上に毎日の練習がすごい刺激的で、練習がつまらないと思う日が全然なかった。

選手一人一人のモチベーションが伸び率を決めるのかなと思って、そこは名電の指導を参考にしてやっています。


恩師・今枝一郎監督の愛娘、今枝愛美(愛み大瑞穂高1年)も今年入学 神谷監督「預けてもらえるくらい信頼してもらえたことが嬉しい」

強さの秘密は、選手自身が「強くなりたい」と思える環境


写真:愛み大瑞穂の練習風景 練習では台から距離を取り鋭いボールを各選手が放っていた/撮影:ラリーズ編集部

――インターハイで優勝した野村萌選手ら、愛み大瑞穂に入った選手が強くなる理由は、選手たちが自主性を持って練習に取り組める環境があるからなんですね。
神谷監督:選手が強くなるときというのは、選手自身が「強くなりたい」と思ったときです。

つまり、毎日の練習に対するモチベーションが高いことは、強くなりたいと思っている量が多いということです。そういう密度の濃い練習を半年間、1年間と積み重ねていくことで、選手たちに力がついていくのだと思います。


1年生の稲垣幸菜(愛み大瑞穂高)もインターハイでレギュラーとして活躍

――最後に今後の目標をお願いします。
神谷監督:自分で言うのも変ですけど、今年の3年生が本当に良くて。僕は記録よりも記憶に残る良いチームになったなと思っています。

キャプテンの深谷を中心にサポートする3年生も含めて本当に個性豊かで、みんなが一生懸命でいろんな逆境がたくさんあったんですよ。


レギュラーとして活躍した3年生の鶴岡美菜(愛み大瑞穂)

神谷監督:1年生のときにはインターハイの県予選で負けて、8年ぶりにインターハイ通過を逃し、2年生のときにはコロナでインターハイが中止。それでも前を向いて頑張ってくれた3年生の功績は本当に大きいです。

だからこそ、3年生の想いを後輩たちが引き継いで、今まで以上にいいチームを作っていって欲しいなと思います。


写真:愛み大瑞穂高校卓球部のメンバー/提供:愛み大瑞穂高校

チーム作りにおいて選手との対話も大事にしている神谷監督。今回の取材も快く受けて入れてくださり、物腰柔らかな対応で答えてくれた。

練習中、選手たちは高い質の打球を放っていたが、特別なことが行われているわけではなかった。

チームが好きだという気持ちと、「強くなりたい」という高いモチベーションを持ち、基本練習に臨んでいた。

“選手が強くなる環境”がそこにはあった。

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