全国高校選抜で2019年、2021年と2大会連続で女子学校対抗準優勝を果たしたのが桜丘高校だ。(2020年はコロナの影響で中止)
過去には世界チャンピオンやオリンピアンを輩出した桜丘高校ではあるが、2大会の間にメンバーも入れ替わり、なおかつ全国上位の選手が多数入ったわけでもない。
なぜ桜丘は強いのか。
その強さの源を確かめるべく、豊橋市にある桜丘高校卓球部の練習場に足を運び、野木森孝充監督や選手たちに話を聞いた。
【桜丘高校卓球部】愛知県の卓球強豪校。全国高校選抜では2019年、2021年大会と2大会連続で準優勝を果たした。世界チャンピオンの深津尚子さんや男子では五輪出場経験のある松下浩二氏、新井周氏らを卒業生として輩出している伝統校。
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桜丘高校が全国上位常連になれたワケ
写真:桜丘高校卓球部の野木森孝充監督 女子部の監督を務めて現在で12年目になる/撮影:ラリーズ編集部
ただ、6年前には恥ずかしながら県総体でもベスト8など、インターハイ出場もできないレベルになっていました。そこから1年半後の全国選抜でベスト8に入り、今のように全国で勝てる桜丘になりました。
2021年の全国高校選抜では団体準優勝を果たした桜丘高校
名門クラブ・ピンテックの村瀬勇吉さん 坂本竜介氏や阿部愛莉(デンソー)らを教えた
ですが、見ていると“村瀬さんに指導してもらうこと”が重要だと感じ、「コーチになってもらえませんか?」と村瀬先生に直談判して、そこからご縁があってコーチをしていただけるようになりました。
村瀬さんは身振り手振りを交えて細かな指導を行っていた
そこに加えてサービスやテクニックなどの指導も混ぜ合わせてもらい、全国でも上位に入れるようになったと思います。
ピンテック・村瀬コーチ就任の3つの条件
「勝てる意識」とは何か。村瀬さんにも話を聞いた。
写真:ピンテックの村瀬勇吉さん/撮影:ラリーズ編集部
1つ目は、殴るような指導はしないこと、選手を委縮させる意味はないからです。2つ目は、私がコーチになって3年以内に全国ベスト8に行くことです。
強くすることはできると思っていましたが、教え始めて1年半で桜丘は全国ベスト8を達成しました。そうして今も教え続けています。
お茶目な回答をくれた村瀬さん 指導では足の動かし方など細かな部分までをわかりやすく嚙み砕いて伝えていた
「細かい点をわかりやすく教えてくれる」村瀬さんの指導
村瀬さんの指導について、3年生で主将を務めた木田美佑里と次期主将の小林りんごの2選手に尋ねた。
写真:木田美佑里(桜丘高校3年)/撮影:ラリーズ編集部
下回転でもスマッシュできるよと教えてもらって、思い切ってスマッシュしてるんですが、それが桜丘の特徴にもなっています。
写真:小林りんご(桜丘高校2年)/撮影:ラリーズ編集部
また、サービスもわかりづらさを重視して教えてもらえました。切る切らないだけではなく、何を出してるかわからないようなフェイクモーションなどを教えてもらえたのでサービス力は向上したと思います。
「良いと思ったら取り入れる」柔軟な野木森監督
再び野木森監督に話を聞く。
写真:桜丘高校の練習風景/撮影:ラリーズ編集部
それは、素質のある選手を勧誘してくること、十分に整った練習環境を作ること、有能な指導者に教わることの3つです。
その3つを含めた環境作りに私自身が徹している形になります。
写真:桜丘高校卓球部の野木森孝充監督/撮影:ラリーズ編集部
練習環境は練習のマンネリ化を防ぐ意味でも、練習試合で実業団や大学に行かせてもらったり、大学生をトレーナーとして呼んだりして少しでもレベルの高い環境を整えることは心がけています。
写真:桜丘高校の練習風景/撮影:ラリーズ編集部
そのため、毎日のように国内外の試合を見て研究しています。良いと思う技術があれば、次の日から練習に取り入れてみるなど色々試しながら、自分が良い指導者になれるように毎日勉強しています。
写真:野木森監督(桜丘高校)/撮影:ラリーズ編集部
そして桜丘としては、ここまで来たら目標はもう全国優勝しかありません。
写真:桜丘高校卓球部メンバー/撮影:ラリーズ編集部
勝つために柔軟な姿勢を見せる野木森監督。「選抜の時から見返してみたら同じオーダーが一つもなかった」というエピソードからも柔軟な思考が伺える。そこにピンテックの村瀬さんというピースが合わさり、素直な選手たちが成長し、桜丘は全国表彰台に返り咲いた。次は表彰台の頂点で咲き誇る桜丘の姿を見られる日が楽しみだ。