学生スポーツはいつも予想できないドラマが起こる。だから面白い。
2016年、当時京都府で65回連続インターハイ出場中だった“絶対王者”東山高校卓球部を相手に、ミラクルを起こしたのが龍谷大平安高校男子卓球部だ。インターハイ予選の東山戦、前半0-2のビハインドから大逆転勝利を決め、たった1枠しかない学校対抗出場枠を勝ち取った。その勢いのまま臨んだインターハイ本戦でも快進撃を見せ、学校対抗第5位という記録を残した。
写真:2016年のインターハイ学校対抗第5位に入賞した龍谷大平安高/提供:龍谷大平安高校卓球部
時は流れ2021年、次は龍谷大平安高校女子卓球部が輝きを放った。創部10年目で2度目の出場となったインターハイ学校対抗で初勝利をあげると、主将・大村風葉がシングルス2、3、4回戦をフルゲームで勝利し、ベスト16とランク入りを果たした。
今回は、龍谷大平安高校の男女卓球部に潜入し、それぞれの監督、主将に話を聞いた。
【龍谷大学付属平安高校卓球部】京都府の卓球強豪校。男女卓球部があり、女子は創部10年目の2021年インターハイ学校対抗で初勝利、主将の大村風葉がシングルスベスト16とランク入りを果たした。男子はインターハイ学校対抗1枠を争い、毎年東山高校に挑み続けている。元・クローバー歯科カスピッズの加藤駿や関西学生ランカーの山下海大(近畿大)らを卒業生として輩出。
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目標は「打倒・東山高校」
写真:島田英明監督(龍谷大平安高)1998年から監督に就任し、監督生活23年目 自身も龍谷大平安高のOB/撮影:ラリーズ編集部
京都には東山高校がありますので、ここを倒さないと全国に行けません。東山高校の伝統をなんとか打ち崩したいと思ってやってきました。
目的は人間形成、目標が打倒・東山高校、そして全国で常勝できるチーム作りとしています。
写真:練習中に指導する島田監督(龍谷大平安高)/撮影:ラリーズ編集部
なので放課後の練習が4時から実質2時間半くらいしかできない中で、いかに質を高めていくかということを日々考えて取り組んでいます。
また、練習が7時に終わった後、近くのクラブチームに練習場を求めて行ったり、自分たちが育ってきたクラブチームに戻って練習したりと、規定練習以外の時間を上手に使っているところが一つ大きな点と思っています。
写真:龍谷大平安高校の練習風景/撮影:ラリーズ編集部
約2年半という時間の中で東山高校をやっつけなければいけない。壁としては分厚いし、山としても高い。だからこそ頑張らないといけないし負けてられないと思いながら練習に励んでいます。
「誰かのために努力する」 平安での卓球生活
3年生主将の矢野にも、挑み続けた東山の存在について聞いた。
写真:矢野駿太(龍谷大平安高)/撮影:ラリーズ編集部
そういう気持ちをみんなで共有して、彼らを越えて、さらに高みを目指す気持ちを大事にして、自信を失うんじゃなくワクワクして頑張ろうという風にチームには言っていました。
ただ、大学で超えられるように、大学受験が終わってからまた卓球を頑張りたいと思っています。
写真:矢野駿太(龍谷大平安高)/撮影:ラリーズ編集部
後輩たちにはそういう気持ちも忘れずに、昨日の自分よりも絶対強くなると思って、最終的には東山を超えて全国でも上位に登りつめて欲しいと思います。
東山を超えた伝説の2016年
東山を下した2016年のチームについて、島田監督に聞いた。
写真:島田英明監督(龍谷大平安高)/撮影:ラリーズ編集部
特に主力の3年生だった今田祐樹、足立原陸は、中学生の時は近畿大会にすら出ていない。京都でだいたいベスト32、16くらいの力しかなかった子達です。
この子達が約2年半という時間の中で東山高校を超えたというのは、すごい努力したと思います。
写真:インターハイでの足立原陸(写真左)・今田祐樹/提供:龍谷大平安高校卓球部
写真:インターハイでの今田祐樹/提供:龍谷大平安高校卓球部
これがチームの練習場の雰囲気をガラッと変えていったんですね。
写真:インターハイでの馬場子龍/提供:龍谷大平安高校卓球部
結果的には0-2からの3、4、5番で勝てて、46年ぶりの平安高校の勝利に繋がり、その時は嬉しかったです。
写真:殊勲の勝利をあげた南崎裕人/提供:龍谷大平安高校卓球部
勝った瞬間は頭の中が一瞬真っ白になって、血が逆流するというか、そういう感触は今でも覚えています。
すごいことをやったんだなと、観客席の方を見つめながら来てくださっている OB、保護者の方とガッツポーズしたのを覚えています。
写真:訪れていた龍谷大平安高の大応援団/提供:龍谷大平安高校卓球部
創部10年目でインターハイランカー誕生
続いては今年のインターハイで学校対抗初勝利をあげ、インターハイランカーを輩出した女子部の徳田直喜監督に話を聞いた。
写真:徳田直喜監督(龍谷大平安高)/撮影:ラリーズ編集部
写真:崎山雪音(龍谷大平安高)/撮影:ラリーズ編集部
写真:ランク入りを果たした大村風葉(龍谷大平安高)/撮影:ラリーズ編集部
「全国でもっと活躍できる選手に」
大村にもインターハイを振り返ってもらった。
写真:大村風葉(龍谷大平安高)/撮影:ラリーズ編集部
逆にシングルスでは勝たないとっていうプレッシャーがなかったので、思い切って自分から攻めることができました。
写真:大村風葉(龍谷大平安高)/撮影:ラリーズ編集部
大学では、全国でもっと活躍できる選手になって、インカレなどでチームに貢献できるように頑張りたいです。
写真:龍谷大平安高校女子卓球部のメンバー/撮影:ラリーズ編集部
平安高校卓球部として全国に名を轟かせていけたら
最後に男女両監督に今後についてを伺った。
まずは女子部の徳田監督からお願いします。
これから女子もさらに全国で活躍していってくれると信じていますし、男子も女子もお互いに競争し合いながら、男子部女子部ではなく平安高校卓球部として全国に名を轟かせていけたらなと思っています。
写真:龍谷大平安高男女卓球部メンバー/撮影:ラリーズ編集部