高2の高橋航太郎が25年ぶりにインハイ表彰台 "再び輝く名門校"実践学園卓球部に潜入 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:実践学園中高卓球部のメンバー/撮影:ラリーズ編集部

卓球インタビュー 高2の高橋航太郎が25年ぶりにインハイ表彰台 “再び輝く名門校”実践学園卓球部に潜入

2021.12.28

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Rallys編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

実践学園高校が、今、再び高校卓球界で輝きを放っている。

エースの高橋航太郎(実践学園高2年)が、全日本選手権ジュニアの部でベスト8、インターハイでは男子シングルス3位に入り、ジュニアナショナルチームにも選出された。

インターハイシングルス優勝者の木方慎之介氏を輩出した頃の勢いを取り戻しつつある実践学園。水谷聡監督に話を聞いた。


【実践学園高校卓球部】東京の卓球強豪校。2021年にはエースの高橋航太郎が全日本選手権ジュニアの部でランク入り、インターハイでは3位に入った。中学校も強く2021年の全国中学校卓球大会では男子団体3位に入賞。OBには実業団でも活躍した木方慎之介氏、並木佑介氏ら。

“復活してきた”実践学園高校卓球部


写真:実践学園高校の水谷聡監督 実践学園高校から明治大学を経て、卒業後すぐに卓球部のコーチとして母校に 約1年前に高校卓球部の監督に就任/撮影:ラリーズ編集部

――エースの高橋航太郎選手を中心に全国でも上位を狙えるチームだと感じますが、監督としてはどう感じていますか?
水谷監督:当時の選手も頑張ってくれてはいましたが、一時期全国大会に出場できない、出場しても勝ち進めない、と少し低迷していました。

高橋を筆頭に周囲の見る目を変えてくれて、「復活してきたね」とか「最近いいね」と言われることも多くなってきました。


高橋航太郎(実践学園高) これが噂の“実践サーブ”

――やはりエースの存在は大きいでしょうか?
水谷監督:高橋の個人戦での勝ち上がりや、団体戦での活躍は非常に大きいなと感じています。
――何がどう変わって再び強くなったのでしょうか?
水谷監督:学校の方針で一時期寮がなくなり、地方から選手を取れなくなっていました。

再び方針が変わり、高橋、剣持(将作)ら小学生時代にナショナルチームに入っていた選手が実践学園に来てくれて、チーム全体の意識を変えてくれたと感じています。


写真:剣持将作(実践学園高校3年)/撮影:ラリーズ編集部

実践学園25年ぶりの表彰台に登ったインターハイ


写真:栁澤幹太(実践学園高校2年)/撮影:ラリーズ編集部

――高3に剣持選手、原(悠)選手、高2に高橋選手、栁澤(幹太)選手と戦力も揃っていたタイミングでしたが、インターハイは第2シードの野田学園高と2回戦で対戦でした。

不完全燃焼だったのではないでしょうか?

水谷監督:元々ベスト4を目標にしていましたので、野田学園に勝負して勝てるチームじゃないと結局は目標には届かないとは思っていました。


写真:インターハイで野田学園と戦う高橋航太郎(実践学園)/撮影:ラリーズ編集部

水谷監督:そういった意味では、早い段階で野田学園と対戦できたのは非常に良かったですし、1-3負けでしたが高橋が勝利、栁澤もフルゲーム負けと健闘してくれたので、前向きな部分ともっと頑張らなきゃなという部分は両方感じたので、非常に有意義な大会でした。


写真:栁澤幹太(実践学園高2年)/撮影:ラリーズ編集部

――個人戦ではシングルスで高橋選手が3位入賞と好成績でした。
水谷監督:高橋は、力を出してくれればベスト8は狙えると大会前から思っていました。接戦が続く中で最後まで気持ちを切らさずに相手に向かって行ってくれたので、最後は技術というより気持ちで押し切れたのかなとは思っています。

インターハイの表彰台に登ったのも、実践学園としては木方(慎之介)さんが優勝された1996年以来25年ぶりなので、そういった意味でも大きいです。高橋を含めて、選手にはすごく感謝しています。


写真:インターハイで男子シングルスベスト4に入った高橋航太郎(実践学園高)/撮影:ラリーズ編集部

人間性の向上なしに競技力の向上はない


写真:実践学園高校卓球部の練習風景/撮影:ラリーズ編集部

――水谷監督も実践学園のOBとのことですが、卓球部の特徴としてはどういうところでしょうか?
水谷監督:私が高校生の時から同じで、人間性の向上なしに競技力の向上はないということで普段から指導はしています。

あくまで部活動は課外活動で、学校生活をきちんとした上で卓球があるということを中1の段階から伝えています。特に高校3年生は今4名いるんですけれども、高校卒業してすぐに社会に出しても恥じないぐらいの人間的に素晴らしい生徒になりました。


写真:水谷聡監督(実践学園高校)/撮影:ラリーズ編集部

――例えば、高3の剣持選手だと入学してからどう成長しましたか?
水谷監督:剣持は入った時から力のある選手でした。ただ、感情のコントロールですと少し幼い面がありました。

高校1年生と早い段階からキャプテンにして、リーダーシップをとって指示を出したり、自分から積極的に動いたり、礼儀や挨拶も申し分ないくらい素晴らしかったり、その辺は本当に成長したなと感じます。


写真:剣持将作(実践学園高校)/撮影:ラリーズ編集部

――全体として卓球面での特徴は何かありますか?
水谷監督:基本的に中高生の段階では、シンプルに下がらないで勝負をしようと前中陣でプレーする意識を植え付けています。

あとは積極的にサービスやレシーブから少しリスクを負ってでも強気でプレーをしていくことも意識していて、特にサービスの指導は個別に時間を割いて行うこともあります。

――“実践サービス”と呼ばれる逆足サービスも1つ特徴ですね。
水谷監督:相手が迷ったり、少し入りが鈍くなったりするところがちょっとでもあればいいなという意図で、慣れられてきた時に趣向を変えるときに使ったりしています。


写真:高橋航太郎(実践学園高)の逆足サービス/撮影:ラリーズ編集部

寮も建て替え、目指すは日本一


写真:実践学園高校卓球部の練習風景/撮影:ラリーズ編集部

――最近新しい寮が完成したとも伺いました。
水谷監督:元々寮はありましたが、建て直しをして9月末に完成しました。本当に学園のサポートに心から感謝していますし、だからこそより一層頑張らなければいけないと感じています。

生徒にも当たり前の環境ではないので、感謝の心を持って取り組むようにというのは常に伝えております。

――どう建て替わったんでしょうか?
水谷監督:以前は3階建てだったんですけれども、今は地下1階から地上6階まであります。2フロア卓球場があり、地下のスペースも使うと卓球台が8~9台置けるようになっています。

食堂、卓球場、居住スペースが1つになっており、いつでも練習できる環境ではあるので、本人がやる気を持って取り組むことができれば素晴らしい環境だと思います。


写真:水谷聡監督(実践学園高校)/撮影:ラリーズ編集部

――全国上位校も寮と練習場が繋がっているところが多いですし、卓球に専念できる環境ですね。

最後に今後どういうチームにしていきたいかをお伺いできればと思います。

水谷監督:チームとしては、夢レベルになってしまうんですが、全国優勝したいというものと、学校教育の現場からここを巣立っていって、日本代表になるような選手を輩出していければなと思っています。


写真:実践学園中高卓球部のメンバー/撮影:ラリーズ編集部

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