2022年のインターハイで創部初のベスト4に入ったのが、島根県出雲市にある出雲北陵高校卓球部だ。出雲市駅から車で10分ほどの場所にある出雲北陵高校では、中高合わせて約20人の部員が汗を流す。
写真:出雲北陵卓球部の練習の様子/撮影:ラリーズ編集部
チームを率いるのは、島根県の出雲西高校卓球部でインターハイに出場するなど活躍し、明治大学を卒業後に指導者となった古瀬泰之監督だ。青森山田中学卓球部の監督に就任後、地元に戻り、出雲北陵高校卓球部を創部から19年間指揮を執っている。
写真:古瀬泰之監督/撮影:ラリーズ編集部
杉浦大和(出雲北陵高校3年)が主将の代では、全国選抜、インターハイ、国体とすべてベスト4に入る躍進を見せた出雲北陵高校。一年中雨の多い山陰地方で、決して恵まれているとは言えない環境で、選手たちはどのように過ごしているのだろうか。
出雲北陵高校卓球部の練習に潜入し、古瀬監督に話を聞いた。
写真:出雲北陵高校卓球部の練習場 黎明館/撮影:ラリーズ編集部
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指導のスタートはあの“青森山田”
写真:アドバイスを送る古瀬泰之監督/撮影:ラリーズ編集部
どういった経緯だったんでしょうか?
その関係で、年に3回ぐらい吉田安夫先生に島根県の方に来ていただいて、練習を見ていただいてました。
吉田先生が出雲に滞在されている間、私の実家で寝泊まりをされてまして、そういったこともあり、大学進学後も気にかけてくださっていて、大学卒業時に声をかけていただきました。
写真:古瀬監督の実家 現在、選手たちもここで下宿をしている/提供:古瀬監督
3年間居させてもらい、その間に全国優勝や福原愛さんの担任も務めるなど、本当に良い勉強させてもらいました。
すると、ちょうど青森に行った3年目に、出雲北陵の前理事長先生からご連絡いただいて、「地元に帰ってくる気があるんだったら卓球部創部するよ」と言っていただき、19年前に創部して現在に至るという流れです。
写真:古瀬泰之監督(出雲北陵高校)/撮影:ラリーズ編集部
青森山田での指導で感じた“基礎基本の徹底”の大事さ
写真:出雲北陵高校の練習風景/撮影:ラリーズ編集部
試合に臨むまでのスケジュールであったり、選手のコンディションを見ながらメニューを変えたり、そういうところは今も参考にしています。
杉浦大和(出雲北陵高3年) インターハイ団体3位の立役者の1人
普通皆さん、一番最初に乱打して大体10分ぐらいで別の練習に入ると思うんですけど、青森山田にいるときは乱打だけで1時間ぐらいしてました。
動いて打つというのが卓球の原点であり基礎基本なので、そこは一番大事にしてるポイントではあります。
練習の最後に、負荷の高い多球練習でフットワーク練習が組まれていた
コロナがきっかけでフィジカル強化に注力
写真:練習前にフィジカルトレーニングに取り組む出雲北陵卓球部/撮影:ラリーズ編集部
このままでは強くならないと感じ、子供達とも色々話をして、今まであまりメスを入れてこなかったフィジカルにフォーカスしていこうと、トレーニングをかなりやり込んだ時期がありました。
練習の最初には長い時間トレーニングが行われており、ボールを使ったトレーニングも
今は通常の練習時間に戻ってますけれども、コロナをきっかけにフィジカルにフォーカスして、練習の中身をシフトしてやっています。
その成果が夏の大会で出たと思いますし、フィジカルだけではなく、メンタル的にも粘り強くなってきたんじゃないかなとは感じました。
「試合で先生をまた熱い感情にしてあげたい」
ここで前主将の杉浦大和(3年)と現主将の佐藤卓斗(2年)に、古瀬監督の指導や印象について聞いた。
写真:2022年インターハイでの杉浦大和/佐藤卓斗(出雲北陵)ペア 愛工大名電戦のダブルス勝利の瞬間/撮影:ラリーズ編集部
まずは杉浦選手お願いします。
古瀬先生は、卓球に対する考え方などを教えてくださるので、自分がしっかり考えて卓球をするというのが身に着くと思います。
自分で答えが見つけられるように、ヒントを出してくれるようなそういう教え方です。
写真:杉浦大和(出雲北陵高)/撮影:ラリーズ編集部
支えてもらってる方への感謝の気持ちとか、周りの方々へしっかり挨拶をしようとか、そういう部分は言われることが多かったので、そこは6年間で成長できた部分かなと思います。
普段は冷静で、熱くなる先生ではないんですけど、そういう静かな先生だからこそ熱くなっている一面を見ると、もう1回そういう表情や感情にしてあげたいなとは思っています。
写真:現主将の佐藤卓斗(出雲北陵高2年)/撮影:ラリーズ編集部
卒業後も人間としても卓球選手としても躍動できるように
再び古瀬監督に話を聞く。
写真:中学卓球部を指導する相場翔太監督と話を交わす古瀬監督 相場監督は古瀬監督の出雲北陵での教え子/撮影:ラリーズ編集部
色々試行錯誤して、色んなことにチャレンジしても結果に結びつかず、そこが一番自分としては苦しかったですし、指導者に向いてないんじゃないかなとずっと思っていました。
写真:多球練習を見守る古瀬監督(出雲北陵高)/撮影:ラリーズ編集部
なので、なかなか県外の学校に遠征に行くのが難しい土地柄ではあったんですけども、自分でバスを運転して積極的に県外の学校に出向いて練習試合させてもらうようにしました。
すると、創部して9年目に初めて選抜やインターハイでランクに入れて、外に出て色んなものを吸収していくことが指導者も大事なんだなというのは、今でも感じています。
写真:期待の1年生・小野泰和(出雲北陵高)/撮影:ラリーズ編集部
あとは卒業後に日の丸を背負って世界で戦えるような選手を育てていきたいという思いもありますし、生徒たちが卒業後も人間としても卓球選手としても躍動できるような、そういう土壌になる学校環境でいたいなとは思ってます。
写真:出雲北陵の練習後の集合/撮影:ラリーズ編集部
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