アウェーの洗礼、女子選手とルームシェア…過酷なスペイン卓球武者修行で北陸大2選手が得たこととは? | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:スペインリーグに参戦した工藤大全/提供:北陸大学卓球部

卓球×インタビュー アウェーの洗礼、女子選手とルームシェア…過酷なスペイン卓球武者修行で北陸大2選手が得たこととは?

2024.04.24

この記事を書いた人
Rallys編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

コロナも落ち着き、この春休み期間に海外卓球リーグでプレーする大学生選手が数多くいた。

“北信越の雄”北陸大学からも信田旺介(北陸大3年/北海道科学大学高出身)、工藤大全(北陸大2年/弘前実業高出身)の2選手がスペインリーグに参戦した。

昨年は金光将希(北陸大4年/関西高出身)が同じくスペインリーグに参戦し、飛躍の足掛かりとしたが、今回の2人にはどのような経験となったのだろうか。信田、工藤の2人にオンラインでインタビューした。

信田、工藤の2選手が北陸大からスペインリーグへ

――そもそも行くきっかけは何だったんでしょうか?
工藤大全:元々、北陸大学卓球部は、株式会社ラボライブの雪本修一社長がスペインリーグとのコネクションを持っていて、北陸大学の木村信太監督の尽力もあり、4年ほど前にOBの中陳(辰郎)さんがスペインリーグに参戦していました。

入学前からそのことは知っていて、海外リーグに行くことは1つのモチベーションになっていましたし、去年金光さんがプレーしていて、行ってみたい思いはありました。


写真:金光将希(北陸大4年・関西高校出身)/撮影:ラリーズ編集部

工藤大全:大会がある度に、木村信太監督から「結果を出せばスペインに行けるチャンスがある」とずっと言われてきましたし、それ以外の活動にも取り組んできたのが評価されて監督が選んでくださったのかなと思っています。


写真:工藤大全(北陸大2年)/提供:北陸大学卓球部

――去年は金光選手1人でしたが今年は2人が海外参戦となりました。
信田旺介:秋大会でシングルス優勝など結果を残せたので、木村監督が評価してくださったのかなと思います。


写真:2023年インカレではダブルスでレギュラーとして出場した信田旺介(北陸大3年・写真右 ペアは加藤遼)/撮影:ラリーズ編集部

――実際行けると言われたときはどういう気持ちでしたか?

不安もあったかと思いますが…。

信田旺介:正直、行く前は結構不安がありました。言語も通じないだろうし、食事も含めて生活も異なりますし。

でも結果的に行って良かったです。

女子トップ選手とも練習できる環境でプレーした工藤大全

――現地での卓球生活はどうでしたか?
工藤大全:僕はスペインのサバデルに滞在して、練習は基本サバデルのクラブでやっていました。

11時から13時半が午前の練習、午後は19時から20時半くらいと遅い時間帯でした。

午前はガッツリ自分の練習を監督と一緒にやって、午後は1時間くらい子供たちの相手をしてから自分の練習をするって感じでやってましたね。


写真:「子供たちを強くしたい」というチームの方針から下部組織の子供たちとも練習したという(工藤大全は写真右から2番目)/提供:北陸大学卓球部

――言葉の壁は大丈夫でしたか?
工藤大全:スペイン人は基本英語が話せて、僕も聞いて理解して簡単に返せるくらいは勉強していったので、大丈夫でした。
――試合は週末にあるんですか?
工藤大全:いつも週末にあって、それに向けて調整していましたね。

僕はバルセロナ付近にある女子のトレセンのようなところにも週2、3回行かせてもらっていました。

――スペイン代表レベルの選手と練習を?
工藤大全:世界選手権に参加してた選手や、元スペインチャンピオンの監督ら、すごい方々がいました。

日本人も中央大の川北帆香さん、香取位圭さん、神戸松蔭女子学院大の木塚陽菜さんらも練習していたので、強い日本女子選手とも仲良くなって帰ってきました(笑)。

スペイン3部の過酷な環境で戦った信田旺介

――信田選手は別のチームだったんですよね?
信田旺介:ヘレスというスペインの端っこに行っていました。環境は工藤とは全然違いましたね。
――どう違ったんですか?
信田旺介:工藤は2部で自分は3部のチームでした。

練習は夕方の5時から10時まででしたが、基本相手は小学生か大学生くらいの女子選手で、大人の男子選手と打てるのは2週間に1回ぐらいでした。

――もっとスペイン人のプロ選手とがっつりやる感じなのかと思っていました(笑)。
信田旺介:チームメートも普段は仕事をしていて、なかなか練習に来れないので仕方なかったです。

アウェーの洗礼を浴びた工藤、3部で全勝の信田

――試合の成績自体はどうだったんですか?
工藤大全:いやぁ~(笑)。
信田旺介:僕は3部で16勝0敗でした(笑)。
工藤大全:2部で8勝4敗です…。

ホーム戦では上手く戦えたんですけど、アウェーの試合では煽られたりブーイングされたりで結構メンタルを揺さぶられて、試合に上手く集中できず負けてしまいました。

――学生の大会ではそこまでの応援はないですもんね。

3部も一緒のような雰囲気ですか?

信田旺介:ブーイングはなかったですね。

7割くらいがホーム戦で、3部だったのでお客さんも6、7人とかでした(笑)。

――海外リーグは移動も大変と聞きますが。
信田旺介:監督が運転する車で2~3時間かけて会場に行ってましたね。

ちなみに会場も基本全部雨漏りしていました。なかなか過酷な環境でした。


写真:現地のトーナメントで優勝した信田旺介/提供:北陸大学卓球部

信田旺介:現地で出た個人戦の大会でも体育館が小さく光が差し込んでいて、日本とは違った環境でした。

スペインの大会で優勝して名を残す事を目標にし、環境を言い訳にすることなく集中して試合ができ、無事そちらでも優勝することができました。

食事に苦しむも観光は満喫

――2か月程度過ごすとなると、卓球以外の時間も多くあったと思います。どう過ごしてましたか?
工藤大全:クラブのマネージャーの友達の家にホームステイをしてました。

その人が 元々テコンドーのオリンピックで2位になった人らしくて、メダリストでした。

最初に行ったとき「そのだらしない体では卓球はできない」と言われて、かなり食事制限されました(笑)。朝は基本フルーツ、昼夜はチキンと炭水化物でした。

――それはそれできついですね。
工藤大全:その人の作るご飯があんまり僕の口に合わなくて。 日本帰ってきたら5キロくらい痩せてました(笑)。

家以外のレストランの食事はすごく美味しかったんですが…(笑)。


写真:レストランのおいしそうな食事/提供:北陸大学卓球部

――外食も少しは行けたようで良かったです(笑)。
工藤大全:外食や観光もよく行きました。

中央大に入った髙橋慶太(育英高出身)が同じくスペインリーグに参戦していて、3日くらい僕のホームステイ先に泊まりに来て、一緒にサクラダファミリア観に行ったり、日本食一緒に食べに行ったりしました。


写真:サクラダファミリアも観光/撮影:工藤大全

――家の食事以外は満喫された感じですね。
工藤大全:そうですね、満足でした。


写真:サッカーのバルセロナ戦もクラブメンバーで観戦したとのこと/提供:北陸大学卓球部

女子選手2人とルームシェア

――信田選手はどうだったんですか?
信田旺介:まず家は19歳の女性のスペイン選手と17歳の女性のカザフスタン選手と3人でルームシェアしてました。


写真:奥2人が同居人とのこと/提供:北陸大学卓球部

――さっきから環境が全然工藤選手と違いますね(笑)。
信田旺介:正直めちゃくちゃ暮らしにくかったです。

1人1部屋はあったんですけど、リビングやキッチンだけではなく、お風呂も共用なので時間を決めてきちんと管理してました。

――どういう風に普段過ごすんですか?
信田旺介:基本英語で会話して、3人で交代で自炊したり、リビングで映画見ながらご飯食べたりしてました。

ご飯のときは「この次どうなると思う?」など映画の感想を話して、普通の友達と過ごすような感じでしたね。


写真:持ち前のコミュニケーション力でしっかり馴染んだようです/提供:北陸大学卓球部

海外で得た物怖じしない心と挑戦するマインド

――お二人は様々な経験をして、多少のことでは物怖じしなくなってそうですね。
工藤大全:まず卓球は、海外のボールの質やスピード、変化などを経験して対応力が上がったと思います。

最初は「日本でも無名の自分が…」と少し弱気で4敗してしまったので、練習もめちゃくちゃ多球練習しましたし、最後の方は自信を持って戦えました。

――自信を得られたのは大きいですね。

信田選手はどうですか?

信田旺介:メンタルが鍛えられたとは思います。

海外は何もわからないことだらけで、自分から行動を起こさないといけない。何かに挑戦するっていうマインドは、日本に帰ってきても身についたなと感じてます。

――スペインではどういう行動を起こしたんですか?
信田旺介:チームから「日本人の練習はどんな感じなの?」という話がよく出てました。

そこでコーチや監督に「明日、ストレッチ、練習メニュー、卓球の技術、考え方など日本のことをすべて伝えるから1日コーチやらせてくれ」と言って、1日練習仕切りましたね。

スペイン語と英語で指示出して。

――指導者みたいになったんですね(笑)。
信田旺介:一応試合全勝だったので、「教えてくれ、教えてくれ」と途中から崇められてました(笑)。
――さすがです(笑)。

この経験を糧に今後の抱負もお願いします。

工藤大全:スペインでの2か月の生活や外国語でのコミュニケーションの経験は、今後も活きてくると思いますし、卓球としても幅が広がりました。

僕はまだ北信越で個人タイトルとってないので、そこを目指して、全日学にも出場して、全国の名の売れている選手に勝って名前を売っていきたいです。

信田旺介:チームとしてはインカレ8を目指しています。自分から行動するという意識で日本でも成長できると思うので、コツコツ努力していきます。

個人としては、全国で3回は勝ちたいです。マグレじゃなくて実力がないといけないと思うので。そうすれば今までやってきたことは間違ってなかったんだと自信を持てると思います。

【動画】潜入!北陸大学卓球部