「代打オレあるよ!」日本リーグのMVP男 張一博が選んだ次なるキャリアとは〈琉球アスティーダ特集#7〉 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

卓球×インタビュー 「代打オレあるよ!」日本リーグのMVP男 張一博が選んだ次なるキャリアとは〈琉球アスティーダ特集#7〉

2018.10.28

(取材・文:川嶋弘文 ラリーズ編集部)

卓球選手、張一博(ちゃんかずひろ)。

上海出身の張は、2002年当時国内最強の青森山田高校に卓球留学生として来日し、主力として活躍。系列の青森大学(短大)では全日本学生選抜2連覇を果たす。

その実績を買われ、実業団の東京アートの優勝請負人として、日本実業団リーグで最高殊勲選手賞を10回も受賞している。

2008年に日本に帰化してからは2009年国内選考会で世界選手権日本代表の切符を掴んで以降、2016年までナショナルチーム候補選手に名を連ね、日の丸をつけて戦っていた。

そんな張の東京アート退社が発表されたのが今年7月。年齢的にも選手引退と思っていた卓球ファンも多いに違いない。

だが開口一番、張は陽気にこう言い放った。

ちゃんと書いてね〜!選手引退ではないよ〜〜!

33歳のベテラン、張一博が選んだ実業団卒業後のキャリアに迫った。

日本リーグMVP男の選んだ道

ーー7月に日本リーグの公式サイトで張選手が東京アートを退社したとのニュースが流れました。どんな経緯があったのですか?

張:今年は東京アート入社から12年目のシーズンに入っていました。これまでチームとして日本リーグで沢山優勝もしたし、他のチームは主力選手が入れ替わっていく中、僕は単複に出続けてMVPも10回獲った。

そんな環境でやらせて頂いた東京アートへの感謝の気持ちが本当に大きい。三木社長、卓球部の佐々木部長、そして大森監督が送別会を開いてくれて、快く送り出していただいた。

名門実業団・東京アートのエースとして長年活躍した張一博
写真:YUTAKA/アフロスポーツ

ナショナルチームのメンバーから外れたのが約2年前。ずっと日の丸にこだわってプレーしてきたから、モチベーション的にきつかった。山田の先輩の田勢さん(邦史、ジュニアナショナルチーム監督)にも何度も相談に乗って貰った。最終的にはこれまで支えてくれた東京アートのためと思って頑張ることにした。そして恩返しが出来たという実感もあり、退社を決めた。

ーー今後も現役続行されるのでしょうか?
張:
僕には卓球しかない。もちろん今後も続けます。来年の全日本選手権にも出ますよ。ミックス(混合ダブルス)は推薦だし、シングルスとダブルスは兵庫県から予選に出ます。ダブルスのペアは同じ小学校の先輩の柳さんとのオジさんペアです笑

※取材後の全日本選手権兵庫県予選(男子ダブルス)に出場し予選を通過

ただ、これまでとは違った選手生活になります。

神戸に卓球場を創ったので、普段はそこで子供たちを教えながら毎日ピンポン球に触る生活ですね。自分の練習は近くにある強豪高校で自したり、琉球アスティーダが試合前にチーム練習を行う時には合流したいと思ってます。もちろん奥さんの許可を取れたらね(笑)

ーーTリーグへの参戦を決めた理由は?
張:
Tリーグ開幕が迫ってきて、血が騒いだからの一言に尽きます。これまでより練習量は落ちていますが、こんなに高いレベルのリーグが日本に出来るのであれば選手としてチャレンジしたくなるのは当たり前でしょ。

実は9月に入って急ピッチに話が進みました。

球団のプロモーションについてのミーティングにも積極参加する張一博、右は早川周作琉球アスティーダ球団社長

初めはコーチや台湾選手の通訳といったサポートスタッフを中心としたオファーでしたが、早川社長や球団スタッフたちとの話し合いを通じて、日の丸をつけて戦っていた経験や、世界ランク(最高位27位)、中国卓球を熟知していることなどを総合的に評価して貰い、選手兼コーチになりました。早川社長は柔軟でスピード感のある意思決定ができる方なので、今後も色んなアイデアをぶつけてチームを良くしたいと思っています。

(松平)賢二とか村松とかがだらしない試合をしたら「代打オレ」本当にあるからね(笑)。これマジですよ〜。

ーー代打オレって、若手選手の気が引き締まりますね(笑)、日本リーグでの通算成績はシングルス97勝20敗、ダブルス77勝34敗。本当に凄い実績です。なぜここまで長く結果を残し続けられるんですか?やはりそのブロックが固い安定したプレースタイルですかね?

張:気持ちです。もう一回言いますよ。(心臓のあたりを拳で叩きながら)キモチ、ハート!!

粘り強く、泥臭く、最後まで諦めない。これしかないですよ。

僕はセンスが無いから努力しかない。ナショナルチームでは自分よりもセンスがある人がほとんど。そこに勝つには努力しかない。気持ち、努力。そして勝つための相手研究。

今はアグレッシブなプレーの方が中国に勝ちやすいし、チキータやバックハンドが上手い選手の方が有利。自分のプレースタイルは最先端の超攻撃型でもないし、長年染み付いたプレースタイルはそう簡単に変えられない。

でもそんな逆境の中でも気持ちと努力と工夫次第で勝てるチャンスがあるのが卓球です。

ーーTリーグでのご活躍、本当に楽しみになってきました。
張:
楽しみにしてて下さいね〜!ラリーズ読者の皆さん、まだまだ頑張るので応援よろしくお願いします。

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