45年前、卓球インターハイ男子学校対抗を制したのが湘南工科大学附属高等学校(以下、湘南工科大附高)だ。“神奈川の王者”として2015年まで50大会連続でインターハイ学校対抗に出場してきた。2016年にはまさかのインターハイ出場を逃すも、2017年から今年まで4大会連続で出場を決めている。
今季のチームは、実力のある選手が揃っていながらもなかなか勝ち切れない試合が続いていた。そこで掴み取った全国通過は、偶然にも45年前に優勝した地でもある富山県開催のインターハイだった。
JR辻堂駅から歩いて15分程のところにある湘南工科大附高を訪れ、卓球部を率いる武田和也監督、菊池玲亮主将に話を聞いた。
【湘南工科大附卓球部】神奈川県の卓球強豪校。過去には50年連続インターハイ団体戦出場し、2021年のインターハイにも4大会連続54回目の出場を決めている。45年前には(当時・相模工科大学附属高校)インターハイ学校対抗で初優勝を飾っている。インターハイ学校対抗優勝の長谷部攝氏が部長、愛工大名電高から日本体育大学卒業の武田和也氏が監督を務める。学校は人気バスケットボール漫画「スラムダンク」の海南大付属高校のモデル校。
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苦しいチーム状況を変えたミーティング
写真:練習を見守る武田和也監督(湘南工科大附)/撮影:槌谷昭人
「僕らから見ても先輩たちはそれぞれ強いと思います。絶対勝つ力はあるけど勝ち切れなかった。これは一人ひとり別々の方向を向いてるからだと思ってます」と。きっと客観的に見てくれてたんでしょうね。
写真:武田和也監督(湘南工科大附)/撮影:ラリーズ編集部
それ以降、3年生も練習への取り組み方や意識が変わってきて、それが今回の結果に繋がったんじゃないかと思います。
写真:湘南工科大附高の練習風景/撮影:槌谷昭人
卓球に直結するかわからないんですけど、基本的なところをしっかり見直しました。そうすれば良い雰囲気で良い練習ができて、試合に向けても良い準備できるよねと。
「俺勝ちます」チームを引き締めた3年生の一言
写真:武田和也監督(湘南工科大附)/撮影:槌谷昭人
実際、去年の新人戦、関東選抜、全国選抜は5シングルスで小野寺が2本出て2本とも落としてるんですよ。彼も責任をすごく感じてたのか「インターハイ予選は絶対勝ちます。僕が勝ったらチームは勝つ」と。
そういうことを言うタイプではなかった小野寺の発言で、チームがキュっと引き締まりました。その一言はチームにも大きかったです。
写真:右ペンドライブ型の小野寺幹(湘南工科大附)/撮影:槌谷昭人
写真:練習中に武田監督とコミュニケーションを取る小野寺/撮影:槌谷昭人
背中で示した主将の菊池
ここで湘南工科大附高の卓球部主将である菊池玲亮にもこの1年について聞いた。
写真:主将の菊池玲亮(湘南工科大附高)/撮影:ラリーズ編集部
新人戦と関東大会予選で負けてしまいましたが、インターハイ予選前は「ここだけは勝とう」とみんなで練習に取り組みました。
写真:菊池玲亮(湘南工科大附高)/撮影:槌谷昭人
写真:菊池玲亮(湘南工科大附高)/撮影:槌谷昭人
写真:湘南工科大附高の練習風景/撮影:槌谷昭人
人間力を大事にする指導方針
再び武田監督に話を聞く。チームの特徴や指導方針で大事にしていることは何なのだろうか。
写真:武田和也監督(湘南工科大附)/撮影:ラリーズ編集部
OBを見てても粘り強い卓球やサービスに長けていたという特徴があったので、良さを引き継いで今までの湘南工科大附をさらに強くして行けたらいいなと思ってます。
写真:粘り強いラリーを見せる島村怜和(湘南工科大附)/撮影:槌谷昭人
写真:鋭いサービスを放つ佐藤海翔(湘南工科大附)/撮影:槌谷昭人
特に挨拶や行動の早さ、返事や話を聞く姿勢など基本的な部分です。
生徒に伝えつつ自分自身も生徒と一緒に成長して、自分自身も磨いていかなければチームも強くなっていかない。生徒に伝えるだけじゃなくて私自身もともに人間力高めていかなければという思いで活動し伝えています。
写真:武田和也監督(湘南工科大附)/撮影:槌谷昭人
団体戦の酸いも甘いも知る湘南工科大附
また、新入生でも天野宏哉(現・法政大学)が関東3位で、個人の結果だけ見れば十分力はあったので、51回連続のインターハイ出場も行けると思っていました。
写真:湘南工科大附高の練習風景/撮影:槌谷昭人
予選の桐蔭学園戦で2-2になって、5番で石槫が負けてしまいました。関東チャンピオンで自信も勢いもあり、絶対負けないと思っていたんですけど、「もうわからない、もうわからない」という感じで、ゲーム間に震えて戻ってきたんですよ。
やっぱり団体と個人は全然違うんだなと感じました。その後、三浦学苑戦も負けて結果4位でインターハイ出場を逃しました。油断してたわけではないんですけど、最後まで団体戦はわからないなというのは改めて感じた1試合でした。
写真:主将の菊池玲亮(湘南工科大附高)/撮影:槌谷昭人
向こうも自信があったでしょうし、逆にこちらは捨て身で行くぞという気持ちだけでした。それが良かったのかなと思います。
写真:湘南工科大附高の練習風景/撮影:槌谷昭人
今回苦しい結果が続いてた中で、このインターハイ予選だけ勝つことができた。やはりここには意味があると思うし、伝統の力やサポートしてくれた人たちの力、想いもきっとあると思うので、結果で良い報告をして恩返ししたいと思っています。
湘南工科大附高は、初優勝の地、富山県開催のインターハイ出場権を苦しみながらも勝ち取った。
団体戦の酸いも甘いも知る“神奈川の王者”は、勢いそのままに、本戦でも旋風を巻き起こせるか。インターハイでの戦いぶりに注目だ。
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