文:ラリーズ編集部
12月12日から12月15日にかけて、ITTFワールドツアーグランドファイナルが開催され、男女シングルス・男女ダブルス・混合ダブルスの5種目が行われた。
中国の鄭州で行われた今大会、アウェーな環境の中で木原美悠(JOCエリートアカデミー)/長﨑美柚(JOCエリートアカデミー/大原学園)が女子ダブルスで優勝したが、他の4種目では中国が圧倒的な強さを見せて優勝した。
また、激戦となった東京五輪シングルス出場権をめぐる戦いも幕を下ろした。男子シングルスでは水谷隼(木下グループ)が1回戦で敗れたことで、丹羽孝希(スヴェンソン)が代表権を獲得。一方で女子では、石川佳純(全農)、平野美宇(日本生命)がともに1回戦で敗れ、ノースアメリカンOP終了時点で一歩リードした石川が逃げ切る形で代表権を獲得した。
>>天才サウスポー・丹羽孝希、東京五輪出場確実に 水谷隼との熾烈な争いに終止符
男子シングルス 試合結果
写真:水谷隼(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部
男子シングルスではベスト4を中国選手が独占した中、優勝を手にしたのは樊振東(ファンジェンドン・中国)。膝の怪我で久しく成績が奮わなかった馬龍(マロン・中国)は決勝では敗れたが、梁靖崑(リャンジンクン・中国)戦では勝負強さを見せて勝ち上がり、準決勝では許昕(シュシン・中国)を破って準優勝となった。
写真:張本智和(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部
日本からは張本智和(木下グループ)と水谷隼(木下グループ)が出場した。張本は初戦でドイツの成長株であるパトリック・フランチスカをストレートで圧倒すると、準々決勝で5連敗中の許昕と対戦。試合はフルゲームまでもつれ、張本が先にマッチポイントを握るもあと1本が遠く、逆転負けを喫した。
また水谷は、ブラジルのウーゴ・カルデラノと対戦。カルデラノのハイトスサーブと威力抜群の両ハンドドライブに苦しみ続け、終始主導権を握れないままの敗戦となった。
>>水谷隼「このままでは終わりたくない」 東京五輪シングルス出場逃すも前を向く
女子シングルス 試合結果
写真:陳夢(中国)/撮影:ラリーズ編集部
女子シングルスの優勝は、世界ランキング1位の陳夢(チェンムン・中国)で2017年から3大会連続での優勝を果たした。陳夢は準々決勝で、世界選手権で敗れた劉詩雯(リュウスーウェン・中国)をフルゲームで下すと、準決勝では伊藤美誠(スターツ)を圧倒し、勢いそのままに決勝でも勝利した。
準優勝は王曼昱(ワンマンユ・中国)となった。ワールドツアーでは安定して上位まで勝ち進むもなかなか決勝まで進めなかった王。5月の中国オープンぶりに決勝まで進むことができたが、優勝にはあと一歩届かなかった。
写真:伊藤美誠(スターツ)/撮影:ラリーズ編集部
日本からは伊藤、石川、平野、佐藤瞳(ミキハウス)が出場した。
第2シードの伊藤は初戦で鄭怡静(チェンイーチン・チャイニーズタイペイ)にフルゲームで辛くも勝利すると、佐藤瞳を下して陳夢と対戦。しっかりと対策をされ、思うようなプレーができずに苦杯をなめたが、日本勢では最高のベスト4となった。
平野はドイツオープンぶりに王藝迪(ワンイーディ・中国)と対戦。試合前は以前の対戦を振り返って、やりづらくはないと話していた平野だが、試合になると代表選考レースを意識してか普段通りのプレーをできずに敗れる結果となった。
写真:石川佳純(全農)/撮影:ラリーズ編集部
石川は、世界選手権女王の劉詩雯と対戦。2ゲーム目をデュースまで持ち込んだが、世界チャンピオンから1ゲームを奪うことはやはり容易なことではなかった。2ゲーム目を制しきれなかった石川はそのまま劉に振り切られ、ストレートで敗戦を喫した。
今大会唯一のカットマンである佐藤は丁寧(ディンニン・中国)と対戦。6月のジャパンオープンでは佐藤の地元である北海道で劇的な勝利を収めたが、今回は丁寧の地元・中国で再び丁寧を下し、ベスト8入りを果たした。
>>3度目五輪へ石川佳純「最高のプレーをしたい」 ロンドン、リオではメダル獲得
男子ダブルス 試合結果
写真:許昕(中国・写真左)と樊振東(中国・写真右)/撮影:ラリーズ編集部
男子ダブルスの優勝は樊振東/許昕(中国)で、準優勝はチャイニーズタイペイの廖振珽(リャオチェンティン)/林昀儒(リンインジュ)となった。
樊/許ペアは、準決勝で同じく中国の梁靖崑/林高遠(リンガオユエン)と対戦。9月のアジア選手権では樊/許ペアが敗れているが、今回はストレートで圧勝。リベンジを果たした。
一方、チャイニーズタイペイの廖/林ペアは、韓国の鄭栄植(チョンヨンシク)/李尚洙(イサンス)ペアとパトリック・フランチスカ/ティモ・ボルペアを連破し、堂々の準優勝だ。
>>【特集】トップ選手の世界ランクは2年でどう変わった!? T2優勝・林昀儒は大幅アップ
女子ダブルス 試合結果
写真:長﨑美柚(JOCエリートアカデミー/大原学園・写真左)と木原美悠(JOCエリートアカデミー・写真右)/撮影:ラリーズ編集部
女子ダブルスの優勝は、木原美悠/長﨑美柚ペアとなった。11月の世界ジュニアでも優勝したこのペアは今大会、準決勝で世界選手権チャンピオンの孫穎莎(スンインシャ)/王曼昱(中国)ペアから金星を挙げると、決勝では韓国の梁夏銀(ヤンハウン)/田志希(チョンジヒ)を下し、ジュニアながらシニアでも世界の頂点に立つ快挙を遂げた。
また平野美宇/芝田沙季(ミキハウス)は準々決勝で、チャイニーズタイペイの陳思羽(チェンズーユ)/鄭先知(ジェンシェンチー)に敗れて、ベスト8となった。
>>“ダブルみゆう”長﨑/木原、圧巻Vも「少しでも知ってもらえたら」<卓球・グランドファイナル>
混合ダブルス 試合結果
写真:水谷隼(木下グループ・写真左)と伊藤美誠(スターツ・写真右)/撮影:ラリーズ編集部
混合ダブルスの優勝は許昕/劉詩雯となった。許/劉ペアは準々決勝で、チェコオープン覇者の趙大成(チョデソン)/申裕斌(シェンユビン)を圧倒すると、準決勝では林昀儒/鄭怡静もストレートで破る。決勝では一転して2ゲームを先取される苦しい展開から、3ゲームを連取し、中国卓球の底力を見せつけた。
写真:許昕・劉詩雯/撮影:ラリーズ編集部
水谷/伊藤ペアは準々決勝でフランスペアを下すと、準決勝では中国香港の黄鎮廷(ウォンチュンティン)/杜凱琹(ドゥホイカン)ペアと対戦。T2ダイヤモンドで捻挫をした黄が本調子ではなく、水谷/伊藤があぶなげなく勝利。決勝では中国ペアに2ゲームを先取し、そのまま優勝なるかと思われたが、3ゲームを連取され惜敗。しかしながら水谷の故障が多く、十分な練習時間が取れない中での、価値ある準優勝となった。