文:石丸眼鏡
栄枯盛衰の激しいスポーツの世界において、勝ち続けることは極めて難しい。トップクラスの選手の実力は拮抗し、毎年のように新たなスター選手が現れる。同じ大会を連覇でもしようものなら拍手喝采ものだ。勝ち続けるとはそれだけ困難なことなのである。
日本のスポーツ史上では、プロ野球讀賣ジャイアンツのV9がよく知られている。球団史に残る黄金時代として現在まで語り草となっている。
写真:2018年スウェーデンOP優勝の伊藤美誠(スターツ)/提供:ittfworld
特に卓球のような個人戦だと怪我やコンディションなど不確定な要素が全て反映されるため強さを維持するのは至難の技となる。
10月6日に閉幕したスウェーデンオープンでは、大会連覇を狙う伊藤美誠が決勝戦で中国の陳夢(チェンムン)にゲームカウント3-1から逆転負けを喫し、あと一歩及ばず涙を飲んだ。同じく、ドイツオープンでも前年覇者の石川佳純が2回戦で苦杯を喫した。
今回は、卓球界において成し遂げられた偉大な連覇の歴史を紹介しよう。
>>【Tリーグ】邱監督「木下の連覇は確実」 “優勝宣言”の根拠
①水谷隼 全日本卓球選手権
水谷隼は、高校2年生で迎えた平成18年度大会で全日本選手権初優勝を飾る。当時の最年少記録である17歳7か月での栄冠だった。その後、水谷は国内で圧倒的な強さを誇り、史上初の大会5連覇という快挙を達成する。
6年連続6度目の優勝を狙った平成23年度大会で吉村真晴(野田学園高・当時)に敗れ、夢は絶たれた。翌年も丹羽孝希(青森山田高・当時)に敗北し、2年連続で優勝を逃すこととなった。しかし、平成25年度大会で3年ぶり6度目の優勝を果たすと、そこから怒涛の4連覇を果たす。
平成30年度大会でも優勝し、水谷は前人未到の10度目の王座を勝ち取った。丹羽孝希、張本智和ら日本卓球界の歴史に残る選手がひしめく時代の中でこれほどの優勝回数は偉業という他ないだろう。
②青森山田高校 インターハイ(学校対抗の部)
写真:2005年インターハイでの青森山田高校/提供:アフロスポーツ
高校卓球界を常にリードしてきた青森山田高校。インターハイ(学校対抗の部)で残してきた成績は圧巻である。
特に男子卓球部の優勝歴をみると、平成17年度から平成24年度まで8連覇を達成している。平成30年間のうち実に16大会で優勝と長きに渡って高校卓球界のトップをひた走ってきた。
卒業生には水谷隼、福原愛、丹羽孝希、松平健太など日本代表常連メンバーが揃う。日本を代表して活躍する選手たちがこぞって所属した、高校卓球界屈指の名門校。今もその記録は色あせない。
③卓球王国・中国 五輪
写真:リオ五輪男子シングルス表彰式。左から張継科(中国)、馬龍(中国)、水谷隼(日本)/提供:ロイター/アフロ
言わずと知れた卓球王国・中国、彼らの五輪での成績はまさに最強の名にふさわしいものとなっている。
1988年のソウル五輪から卓球競技が採用され、2008年からは個人戦に加え団体戦も実施されている。
五輪金メダルの歴史をみてみると、個人戦シングルスでは男女歴代16名の金メダリストのうち実に13選手が中国代表だ。女子に至ってはソウル五輪からリオ五輪まで全ての大会で中国選手が優勝、8連覇となっている。団体戦でも過去3大会男女ともに全て中国チームが金メダルを獲得、現在3連覇中という状況だ。
東京五輪で中国が記録をまた1つ伸ばすのか、はたまた近年躍進が著しい日本代表が待ったをかけるのか、注目が集まる。