写真:ITTFファイナルを制し雄叫びを上げる馬龍(マロン・中国)/提供:ittfworld
大会報道 “卓球の商業化”狙う変則ルールの新大会 男女16選手ずつが参戦<WTTマカオ見どころ>
2020.11.24
文:ラリーズ編集部
<卓球 WTTマカオ・11月25日~29日>
「#RESTART」シリーズと銘打たれた男女W杯、ITTFファイナルを終え、リスタートを切った卓球界。熱が冷めやらぬ中、25日よりWTTマカオという新大会が開催される。これは、2021年に本格始動する新大会WTTのプロモーションイベントに位置付けられており、男女16選手ずつが参加する。
日本選手はエントリーしていないが、WTT評議会のチェアマンに劉国梁氏(リュウグォリャン・中国卓球協会会長)が就任していることもあり、中国勢は多く参戦予定だ。特殊ルールも設定されているWTTマカオの見どころを紹介する。
そもそもWTT構想とは
3月3日のITTFの発表によると、現行のワールドツアーなどの個人戦大会は、2021年よりWTT構想のもと、新たな名称、新たな形式の大会に置き換えられる計画だという。
図:ITTF発表の新大会構想WTT/作成:ラリーズ編集部
まず、WTTのイベントは「グランドスマッシュ」と「WTTシリーズ」という2つに大きく分けられる。
「グランドスマッシュ」はプロ卓球の新しい頂点となる大会として、年間に最大4大会を実施。「WTTシリーズ」はチャンピオンズ(TIER1)、スターコンテンダーズ(TIER2)、コンテンダーズ(TIER3)の3ランクとその年間王者を決めるカップファイナルを合わせて、年間最大30大会が行われる計画だ。
「卓球の商業化」が念頭におかれ、上位大会(TIER1、TIER2、カップファイナル)の参加者を世界ランキング上位から選ぶことでスター選手を参加しやすくする。更にTIER1とカップファイナルの試合会場も劇場、バー、クラブ、小規模スタジアムなども選択肢に入れ、音楽やダンスも組み合わせた大会にしたいと発表しており、エンタメ性の向上を意識している。これらはスポンサーを集めやすくする方針と見て取れる。
試合のスケジュールと試合方式
今回、WTTのプロモーションイベントとし5日間に渡って行われるWTTマカオ。試合のスケジュールは以下の通りだ。
バトル1(25日)
バトル2(26日)
トップ4シードバトル(25、26日)
準々決勝(27日)
準決勝(28日)
決勝(29日)
最初の2日間では、出場選手16名がランキング順にわけられ、1-4位、5-16位でそれぞれ試合が行われる。1-4位はトップ4シードバトル、5-16位はバトル1、バトル2だ。
写真:陳夢(チェンムン・中国)/提供:ittfworld
まず、初日に予選バトル1としてランキング9-16位が抽選で対戦相手を決定し、勝利した4選手が2日目の予選バトル2に駒を進める。予選バトル2では、ランキング5-8位の選手と、予選バトル1で勝利した4選手が対戦し、勝った4人が準々決勝に進出する。
写真:林高遠(リンガオユエン・中国)/提供:ittfworld
また、初日、2日目の間で、ランキング1-4位の選手が準々決勝のシード決定戦「トップ4シードバトル」を行う。トップ4シードバトルは5ポイント先取の5ゲームマッチで争われる。
3日目以降は勝ち残った8選手で準々決勝以降が行われる。予選バトルと準々決勝は、5ゲームマッチの11ポイント制、準決勝は7ゲームマッチの11ポイント制、決勝は9ゲームマッチの11ポイント制でそれぞれ最終ゲームのみデュースありとなる。
写真:丁寧(ディンニン・中国)/提供:ittfworld
従来のワールドツアーなら終盤でしか実現しないトップ4シード同士の試合を序盤から実施するなど、商業化を念頭に置いていることがルールから垣間見える。これまでにない形式の大会となっており、どのような展開になるのか全く予測できない。
写真:馬龍(マロン・中国)/提供:ittfworld
出場予定となっている選手は以下の通り。
出場予定選手
男子
ロベルト・ガルドシュ(オーストリア)
ウーゴ・カルデラノ(ブラジル)
グスターボ・ツボイ(ブラジル)
方博(ファンボー・中国)
林高遠(リンガオユエン・中国)
馬龍(マロン・中国)
王楚欽(ワンチューキン・中国)
許昕(シュシン・中国)
趙子豪(ジャオズーホウ・中国)
アハメド・アリ・サレフ(エジプト)
リアム・ピッチフォード(イングランド)
黄鎮廷(ウォンチュンティン・中国香港)
張禹珍(チャンウジン・韓国)
鄭栄植(チョンヨンシク・韓国)
マティアス・ファルク(スウェーデン)
林昀儒(リンインジュ・チャイニーズタイペイ)
女子
陳夢(チェンムン・中国)
陳幸同(チェンシントン・中国)
丁寧(ディンニン・中国)
劉煒珊(リュウウェイシャン・中国)
孫穎莎(スンイーシャ・中国)
王曼昱(ワンマンユ・中国)
王藝迪(ワンイーディ・中国)
ペトリッサ・ゾルヤ(ドイツ)
杜凱琹(ドゥホイカン・中国香港)
田志希(ジョンジヒ・韓国)
徐孝元(ソヒョンウォン・韓国)
アドリアーナ・ディアス(プエルトリコ)
ベルナデッタ・スッチ(ルーマニア)
馮天薇(フォンティエンウェイ・シンガポール)
鄭怡静(チェンイーチン・チャイニーズタイペイ)
チャン・リリー(アメリカ)