文:ラリーズ編集部
今回は、北京五輪金メダリストで中国代表監督を務める馬琳(マリン・中国)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
馬琳とは?
馬琳は、アテネ五輪と北京五輪の金メダリストで、世界最強のペンホルダーの1人に挙げられる選手です。従来のペンホルダーの戦い方に裏面打法を本格的に取り込んだ選手でもあり、ペンホルダーの世界での戦い方を証明しました。
馬琳のプロフィール
馬琳(マリン/Ma Lin)は1980年2月19日生まれの45歳(2025年5月時点)で、中国の遼寧省出身です。
1990年代後半からプロツアーやアジアカップ等で優勝や上位入賞を果たし始めると、2000年代には毎年いくつもの国際大会で優勝を飾り続けてきました。2004年にはアテネ五輪に出場すると、男子ダブルスで優勝を飾り金メダリストとなりました。
馬琳が一躍有名となったのは2008年の北京五輪です。男子シングルスに出場した馬琳は、準々決勝で呉尚垠(オサンウン・韓国)に勝利、準決勝では王励勤(ワンリキン・中国)を破って決勝に進出。決勝では、王皓(ワンハオ・中国)とのペンホルダー対決が実現しますが、4-1で馬琳が勝利し、シングルス優勝。男子団体でも優勝し、アテネ五輪と合わせて男子の種目を制覇しました。
2014年に現役を引退し、以降は中国女子代表チームの監督として活躍されています。
馬琳のプレースタイル
馬琳の戦型は右ペン裏裏の攻撃型で、強烈なフォアハンドと、当時世界でも稀有であった裏面打法を本格的に使用し始めた選手でもあります。
馬琳が使用する中国式ペンホルダーは、両面にラバーを貼ることができるラケットです。それまでは日本式ペンホルダーのように片面のみに貼るスタイルであったため、小西海偉(Global Athlete Project)のようなバックハンドも表面のみを使用する形の攻撃が主流でした。
しかし、中国式ペンホルダーを使用することで、シェークハンドのように裏面を使用しての攻撃が容易となりました。これにより、ペンホルダーの選手でも弱点と呼ばれるバックハンドを補完できるようになりました。馬琳は裏面打法と表面でのブロックやプッシュを同じ割合で使用する器用な戦術を取っていました。
また、ペンホルダーの長所であるフォアハンドの威力の強さは健在で、中でも馬琳は豪快なスイングで相手コートを打ち抜く威力を持っていました。馬琳のプレースタイルはあくまでもフォア主戦型で、王皓(ワンハオ・中国)のような両ハンド型よりもペンホルダーらしさを発揮した形となっています。
馬琳の使用用具
馬琳はヤサカの契約選手で、ラケットには自信が監修した「馬林」シリーズ、ラバーのバック面には「ラクザ」シリーズを使用していたそうです。一方フォア面には、紅双喜の『天極NEO2』を使用していたそうです。かつてはバック面に高弾性ラバーの『マークV』を使用していたこともあります。
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馬琳の世界ランキング
2025年5月時点で、馬琳は世界ランキングを持っていません。2023年時点で現役は引退して、中国女子代表チームの監督を務めています。最高ランキングは1位(2002年10月)です。
馬琳の主な成績
| 2000年 | ジャパンオープン | 男子シングルス:準優勝 |
| ポーランドオープン | 男子ダブルス:優勝 | |
| スウェーデンオープン | 男子ダブルス:優勝 | |
| ワールドカップ | 男子シングルス:優勝 | |
| 2001年 | ジャパンオープン | 男子ダブルス:優勝 |
| デンマークオープン | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:準優勝 | |
| グランドファイナル | 男子シングルス:優勝 | |
| 2002年 | USオープン | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝(ペア:KONG Linghui) |
| ドイツオープン | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝(ペア:KONG Linghui) | |
| オランダオープン | 男子ダブルス:優勝(ペア:KONG Linghui) | |
| ポーランドオープン | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:準優勝(ペア:KONG Linghui) | |
| デンマークオープン | 男子シングルス:優勝 | |
| 釜山アジア競技大会 | 男子団体:金メダル | |
| グランドファイナル | 男子ダブルス:優勝(ペア:KONG Linghui) | |
| 2003年 | 韓国オープン | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝 |
| 中国オープン | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝(ペア:陳杞) | |
| ジャパンオープン | 男子ダブルス:優勝(ペア:陳杞) | |
| デンマークオープン | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝(ペア:王皓) | |
| スウェーデンオープン | 男子ダブルス:優勝(ペア:王皓) | |
| ワールドカップ | 男子シングルス:優勝 | |
| 世界選手権パリ大会 | 混合ダブルス:金メダル(ペア:李楠) | |
| グランドファイナル | 男子ダブルス:優勝(ペア:陳杞) | |
| 2004年 | ギリシャオープン | 男子シングルス:準優勝、男子ダブルス:優勝(ペア:陳杞) |
| シンガポールオープン | 男子シングルス:準優勝、男子ダブルス:優勝(ペア:陳杞) | |
| 中国オープン | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝(ペア:陳杞) | |
| アテネ五輪 | 男子ダブルス:金メダル(ペア:陳杞) | |
| ワールドカップ | 男子シングルス:優勝 | |
| グランドファイナル | 男子シングルス:準優勝、男子ダブルス:優勝(ペア:陳杞) | |
| 2005年 | ワールドカップ | 男子シングルス:3位 |
| 世界選手権上海大会 | 男子シングルス:銀メダル、男子ダブルス:銅メダル(ペア:陳杞) | |
| 2006年 | クウェートオープン | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝(ペア:陳杞) |
| 中国オープン | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:準優勝(ペア:郝帥) | |
| シンガポールオープン | 男子シングルス:優勝 | |
| 2007年 | カタールオープン | 男子シングルス:優勝 |
| 世界選手権ザグレブ大会 | 男子シングルス:銀メダル、男子ダブルス:金メダル(ペア:陳杞) | |
| フランスオープン | 男子シングルス:優勝 | |
| 中国オープン | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝(ペア:王励勤) | |
| グランドファイナル | 男子シングルス:優勝 | |
| 2008年 | 北京五輪 | 男子シングルス:金メダル |
| グランドファイナル | 男子シングルス:3位 | |
| 2010年 | アジアカップ | 男子シングルス:優勝 |
| 2011年 | グランドファイナル | 男子ダブルス:優勝(ペア:張継科) |
| 2013年 | 世界選手権パリ大会 | 男子ダブルス:金メダル(ペア:郝帥) |
まとめ
五輪金メダリストや世界ランク1位等、数々の称号をほしいままにしてきた彼が、中国卓球界にどのような影響を与えていくのか。今後の彼の動向に注目です。








