卓球技術・コツ 【初心者必見】ストップの対処と封じ方|卓球基本技術レッスン
2019.05.30
卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」
このシリーズでは初心者向けに卓球の基本的な技術についての説明と、そのやり方についてお話していく。実際のプレイヤーはもちろん、テレビなどで観戦される方にとっても、頻繁に出てくる用語が登場するので、知っているとより卓球の面白さが分かるだろう。ぜひ参考にしていただきたい。
(特に記述がない限り、右利きのシェークハンドの選手を想定している)
さて、今回取り上げるのは、「ストップ」への対策についてだ。
ストップの特徴ややり方などについては、以前に書いた記事をご覧頂きたい。
ストップの封じ方
まずそもそも、「私はストップの処理が苦手だ」という選手に関しては、相手にストップをさせないサーブを出せば良い。これに関しては至極簡単だ。ストップが最もしやすいのは、「短い下回転サーブ」である。なので、それ以外のサーブを出せば良いだろう。サーブの回転を横回転やナックル、さらに上回転にすれば、質の高いストップは返って来る可能性が低い。そして、スピードのあるロングサーブ。こちらに関してはストップは返ってくることはほとんどないだろう。
つまり、どうしてもストップされたくない、という場合はこれらのサーブのみを出せば良い。しかしそうは言いながらも、どうしても試合の中でストップされるという場面は出てくるだろう。次からはそんなストップの対処法についてだ。
>>【初心者必見】卓球の「ツッツキ」とは?打ち方と練習法|卓球基本技術レッスン
ストップへの対処方法3選
①「ツッツキ」
ストップに対してもっとも簡単な対処の仕方が、ツッツキで返すことだろう。この状況には、2通りの展開が考えられる。守りのツッツキと、攻めのツッツキだ。
まず状況として、低くて短い、質の高いストップをされて、こちらの反応が遅れてしまった、というケースが考えられる。そうなるとこちらとしては、おそらくツッツキでの返球をせざるを得ない展開になるだろう。これはいわば「守りのツッツキ」ということになる。
そのため、ストップへのこちらの反応が遅れた場合、相手はツッツキを待ち構え、次に強打をしようとしてくると考えられる。よって、ストップに対してなんとかツッツキで対処をした、という時は次球で強打が来ることを予想し、やや台と距離を取り、ブロックの姿勢でしっかりと備えることが必要となる。
一方でストップに対して、深くを狙った鋭いツッツキを送り、相手を詰まらせる、というパターンもある。
相手がストップをするということは、台の上に体がのしかかるくらい近くまで来ているので、エンドラインぎりぎりのところに下回転のツッツキを送り込めば、相手は詰まった状態になり、せいぜいゆるく持ち上げる程度の返球しか出来ない。これはいわば「攻めのツッツキ」の戦術である。
下回転への処理や、前後の動きを苦手としている相手に対してこの戦術は非常に有効だ。ストップをしやすい、順下回転のサーブをフォア前に出し、相手はストップで処理。それに対して、対角であるバック深くにガツンとツッツく。非常にシンプルだが、確実に有利な展開に持っていくことの出来る効果的な戦術だ。
この時仮に同じ展開で、ツッツキではなくフリックをしたとしよう。同じようにフォア前→バック深くという対角のコース取りであり、一見こちらの方が攻めているように感じられる。しかしフリックのような上回転のボールでは、相手がラケット角度さえうまく作れば、ラケットに当たるだけで上手に返球されてしまう。しかしツッツキであれば下回転なので、角度を合わせただけでは返球出来ない。止むを得ずツッツキをするか、持ち上げてしのぐくらいしか方法が無いので、より相手を苦しい状態に追い込むことができるのだ。
②「ストップ」
次にストップに対してストップをする、いわゆる「ダブルストップ」という対処について。これに関しては、ツッツキで対処するよりも難易度が格段に上がる。
まず、ストップはボールのバウンド直後を捉えてネット際に短く落とす技術だ。それを成功させるためには、出来るだけバウンドしてすぐの地点を打球する必要がある。つまり、相手のストップをさらにストップするためには、かなり素早い反応が必要になるのだ。
先ほどのケースのように、相手が質の高いストップをしてきて、こちらの反応が遅れてしまい、打球するタイミングがバウンドの頂点、あるいは下降時になってしまった場合は、もはやストップで処理するという選択肢はなくなる。高い確率で浮いてしまったり、台から1バウンドで出る長さになってしまうからだ。
稀にボールの下降時を捉えても綺麗にストップし返すことが出来る選手もいるが、初心者でそういうケースは少ないだろう。
また、ダブルストップをする際には、回転にも気を付ける必要がある。例えば、相手の下回転サーブをストップする際と、自分が下回転サーブを出し、相手がストップしたのをこちらがさらにストップする際とでは、回転量が違う。おそらく少し回転が弱まっているはずだ。そのため、基本的にはラケット角度に少し気を使ってやる必要が出てくる。
あるいはこちらが横回転サーブを出して、相手がストップをした際。そういった場合も回転が残っていたりするので、さらに注意が必要だ。
つまり、ストップに対してストップで処理することは、シビアな打球点で、より回転に注意を傾けなければならいので、非常に高度な技術が要求されると言えるだろう。
③「フリック・チキータ・流し」
最後にフリックやチキータといった攻撃系の処理について考えてみる。同様に質の高いストップに対して反応が遅れた際は、やはり攻撃系の処理は難しくなるだろう。それに、なんとかスピードのあるボールで返球出来たとしても、また次に返ってくるのはスピードのあるボールだ。台上で処理をした後すぐに、こちらの深いラインにスピードのあるボールが返ってくることになる。つまり、詰まらされる確率が高い。
もちろん、十分な威力で打ち抜くことが出来ればそれで良い。しかし、質の高いストップで先手を取られているのならば、そこでなんとか攻めたところで、返球されればこちらの体勢が整う時間的余裕が無い状態になるので、どうしても不利な展開になるだろう。
>>上回転サーブに効果的なレシーブとは?トップ選手に学ぶレシーブ講座
まとめ
以上のことから、ストップに対してはツッツキをする、というのが私の考える最も安全な選択肢である。不意にストップされて反応が遅れても、なるべく相手コート深くにツッツキを送って、時間的余裕を作りながら次の球に備える。それが一番技術的にミスする可能性も少なく、展開的にも不利になりにくい戦術だろう。
さらにもう少し高度なレベルになれば、「ストップをさせる」という展開をあえて作って、そこから攻撃的なツッツキで有利な状況を作り出すことも出来る。いずれも、初心者の方であっても十分に実行出来る技術だろう。
ストップへの処理に悩まされているあなたにとって、少しでも手助けになればこれ幸いである。