文:ラリーズ編集部
今回は、2017年アジアカップ、2019年香港オープンを制した林高遠(リンガオユエン・中国)について紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても紹介します。
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林高遠とは?
2010年から2012年まで3年連続で世界ジュニア選手権で銀メダルに終わり、その後しばらくシニアの大会でも目立った成績を残せませんでした。
しかし、2017年の世界選手権デュッセルドルフ大会の中国国内選考会である「直通デュッセルドルフ」で、代表入りが確実視されていた樊振東(ファンジェンドン・中国)と許昕(シュシン・中国)を破る大金星を挙げて中国代表の座を勝ち取りました。
その後は2017年のアジアカップ優勝や、2019年香港オープン優勝など輝かしい実績を残して世界のトップ選手として活躍しています。
林高遠のプロフィール
林高遠(リンガオユエン/Lin Gaoyuan)は1995年3月19日生まれの29歳(2024年6月現在)で、中国の広東省深圳市出身です。卓球場を経営していた父の影響で卓球を始めました。
14歳のころに国家チームの2軍に入りましたが、これは同年代の選手の中では比較的遅い方で、その後も林高遠はトップ選手の中では比較的遅咲きと言われるように、ゆっくりと実績を積み上げていきます。
2010年から2012年まで3年連続で世界ジュニア選手権の決勝の舞台に立った林高遠は、十分なテクニックとフィジカルを兼ね備えていながらあと一歩のところで優勝を阻まれ、3年連続での銀メダルに終わります。その後しばらくはシニアの大会でも目立った成績を残すことができず年月が過ぎていきました。
しかし、2017年の世界選手権デュッセルドルフ大会の中国国内選考会「直通デュッセルドルフ」で、当時代表入り確実と言われていた樊振東(ファンジェンドン・中国)と許昕(シュシン・中国)を破る大金星を挙げると、一気にブレイク。同年のアジアカップでも優勝するなど、その才能を開花させます。
写真:林高遠(リンガオユエン・中国)/提供:ittfworld
勢いそのままに2019年5月には世界ランキングも自己最高の2位にアップさせ、同年のハンガリーオープン、香港オープンでも優勝するなど世界のトップ選手の仲間入りを果たしました。
このまま東京五輪代表も視野に入れていた林高遠でしたが、2020年に新型コロナウイルスの流行により戦いの場を失うと、それまでの勢いに陰りが見え、東京五輪代表の座も逃してしまいます。
本格的に国際大会が再開した2022年も、WTTコンテンダーマスカット、WTTチャンピオンズブダペストで準優勝を果たしますが、馬龍(マロン・中国)や樊振東らのトップ選手ほどの活躍はできておらず、以前のような爆発は見られていません。それでも、2022年には世界選手権成都大会の中国代表に選出されるなど、2024年のパリ五輪出場には十分な可能性を残しています。
しかし、2023年はWTTスターコンテンダーバンコクで男子シングルスと男子ダブルスの2冠を達成すると、WTTコンテンダーザグレブでは宿敵の樊振東を破って優勝を飾るなど、爆発の兆しを見せています。
林高遠のプレースタイル
林高遠の戦型は左シェーク裏裏ドライブ型です。その長身と長い手足から繰り出される両ハンドドライブは強力で、特にしなりのあるバックハンドは林高遠の最大の武器となっています。
長身と腕のしなりを生かして広角に打ち分けられるバックドライブは林高遠の最大の武器となっています。台に張り付いて前陣から早い打点で打ち出される林高遠のバックドライブは威力抜群でノータッチで相手を打ち抜くことも多く見られます。また、彼のバックハンドは非常に広角に打ち分けられており、台のサイドを切る打球も頻繁にみられます。
もう一つの林高遠の武器として曲がりの大きいチキータが挙げられます。林高遠のチキータは長い腕を生かして強い横回転がかかっており非常に大きく曲がります。また、その横回転のおかげで林高遠のバックに球が集まりやすく、彼の得意なバックハンドの展開に持ち込みやすいのも彼のチキータの特徴です。
そして、林高遠のプレーの中でもう一つ特徴的なのはカーブドライブです。林高遠は腕を巻き込むようにして打つ曲がるフォアドライブ、通称カーブドライブを多用します。大きなラリーになったときや、チャンスボールを強打するときなどに林高遠はカーブドライブを使用し、一発で抜き去ったり、ラリーの主導権を握ったりします。
林高遠の使用用具
林高遠は、ラケットはバタフライの『ビスカリア』、ラバーはバック面にバタフライの『ディグニクス05』を使用しているようです。
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林高遠の世界ランキング
林高遠の世界ランキングは8位(2024年6月時点)で、最高ランキングは2位(2019年5月)です。
2017年にトップ10入りをすると、それ以来2019年11月現在までトップ5をキープしています。2019年5月には自身最高位となる世界ランキング2位に上昇しています。
林高遠の主な戦績
2017年 | アジアカップ | 男子シングルス:優勝 |
アジア選手権 | 男子ダブルス:金メダル | |
2018年 | ワールドカップ | 男子シングルス:ベスト4 |
チームワールドカップ | 男子団体:優勝 | |
世界選手権ハルムスタッド大会 | 男子団体:金メダル | |
2019年 | ハンガリーオープン | シングルス優勝 |
世界選手権ブダペスト大会 | 男子ダブルス:銅メダル | |
香港オープン | 男子シングルス:優勝 | |
2021年 | 世界選手権ヒューストン大会 | 男子ダブルス:銅メダル(ペア:梁靖崑)、混合ダブルス:銅メダル(ペア:チャン・リリー) |
WTTコンテンダーラシュコ | 男子ダブルス:優勝(ペア:趙子豪) | |
WTTコンテンダーノヴォ・メスト | 男子シングルス:ベスト4、男子ダブルス:優勝(ペア:周启豪) | |
2022年 | WTTコンテンダーマスカット | 男子シングルス:準優勝 |
WTTチャンピオンズブダペスト | 男子シングルス:準優勝 | |
世界選手権成都大会 | 男子団体:金メダル | |
2023年 | WTTスターコンテンダーバンコク | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝(ペア:林詩棟)、混合ダブルス:優勝(ペア:陳幸同) |
WTTコンテンダーザグレブ | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:準優勝(ペア:梁靖崑) | |
WTTスターコンテンダーリュブリャナ | 混合ダブルス:ベスト4(ペア:王藝迪) | |
アジア選手権 | 男子ダブルス:金メダル(ペア:樊振東)、混合ダブルス:金メダル(ペア:王藝迪)、男子団体:金メダル | |
杭州アジア競技大会 | 混合ダブルス:銀メダル(ペア:王藝迪)、男子団体:金メダル | |
WTTコンテンダー太原 | 男子シングルス:ベスト4、男子ダブルス:優勝(ペア:林詩棟)、混合ダブルス:ベスト4(ペア:王曼昱) | |
ITTF混合ワールドカップ | 混合団体:優勝 | |
2024年 | WTTファイナルズドーハ | 男子シングルス:ベスト4、男子ダブルス:準優勝(ペア:林詩棟) |
WTTスターコンテンダードーハ | 男子シングルス:ベスト4 | |
WTTコンテンダードーハ | 混合ダブルス:ベスト4(ペア:王曼昱) | |
世界選手権釜山大会 | 男子団体:金メダル | |
WTTシンガポールスマッシュ | 男子ダブルス:優勝(ペア:馬龍) | |
ITTFワールドカップ | 男子シングルス:準優勝 | |
WTTコンテンダー太原 | 男子ダブルス:優勝(ペア:馬龍)、混合ダブルス:準優勝(ペア:王藝迪) |
まとめ
中国代表選手としては珍しく遅咲きの林高遠。現在では世界のトップ選手として活躍しながらもまだ大きなタイトルの獲得には至っていません。代表争いの激しい中国において来年に控えた東京オリンピックの代表に入れるかどうかがビッグタイトル獲得への第一歩となってきます。今後も林高遠の活躍から目が離せません。