文:ラリーズ編集部
今回は、リオデジャネイロ五輪、東京五輪で金メダルを獲得し、五輪、世界選手権、ワールドカップを制する「大満貫」を達成した馬龍(マロン・中国)を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、数多くのメダルを獲得している国際大会での戦績についても触れます。
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馬龍とは?
馬龍は2015年の世界選手権と同年のワールドカップで優勝を果たし、さらに2016年のリオデジャネイロ五輪でも金メダルを獲得したことにより、五輪・世界選手権・ワールドカップを制覇することで得られる大満貫の称号を獲得しました。2017年、2019年の世界選手権も制し、3連覇を達成。
2018年は膝のケガで半年以上実戦から遠ざかっていましたが、復活を果たし32歳となった2021年でも世界トップレベルの実力を維持しています。
馬龍のプロフィール
馬龍(マロン/Ma Long)は1988年10月20日生まれの35歳(2024年6月時点)で、中国の遼寧省出身です。5歳で卓球をはじめ、遼寧省体育学校に入学しました。
13歳で関華安コーチに連れられ北京西城体育学校に転校した後、15歳で国家チームの1軍に昇格し、2004年の世界ジュニア選手権で優勝しました。
その後、2006年には若干18歳で世界選手権ブレーメン大会中国代表に選出され、団体メンバーとして金メダルを獲得。主要国際大会で初のタイトルを獲得し、以降はシニアでも成績を残し始めました。
写真:馬龍(マロン)/提供:ittfworld
その後もアジア選手権やグランドファイナル等で数多くのタイトルを獲得していくものの、世界選手権個人戦では3大会連続3位に終わるなど同世代の張継科(チャンジーカ・中国)の後塵を拝する時期がありました。
しかしながら2015年の世界選手権蘇州大会で悲願のシングルス金メダルを獲得すると、2016年のリオデジャネイロ五輪も制し、中国で4人目となる「大満貫(五輪、世界選手権、ワールドカップを制すること)」を達成しました。
写真:馬龍(マロン)/提供:ittfworld
また、その後も馬龍の勢いは止まらず、五輪、ワールドカップ、世界選手権に加えグランドファイナル、アジア競技大会、アジア選手権、アジアカップ、中華人民共和国全国運動会、全中国卓球選手権という中国国内・アジア・世界の各所で催された主要大会全てで優勝。史上初の「全満貫」を成し遂げ、2023年1月現在でも「全満貫」を達成した唯一の選手として歴史に名を刻んでいます。
しかし、2018年に膝をケガすると、そこから半年間大会への出場を見送ります。一時は引退説も囁かれていましたが、復帰戦となった2019年カタールオープンで優勝を果たすと、2019年の世界選手権ブダペスト大会でシングルスを制し、世界選手権3連覇を達成しました。
写真:左から樊振東(ファンジェンドン)、馬龍(マロン)、ドミトリ・オフチャロフ/提供:ITTF
そして、2021年には東京五輪に出場。自身3度目となる五輪では、男子団体で金メダルを獲得すると、男子シングルスでも決勝に進出。決勝では、中国代表の次期エースとも呼ばれている樊振東(ファンジェンドン)との激戦を制し、金メダルを獲得。88年ソウル五輪で卓球が種目として採用されてから史上初となる、五輪シングルス連覇を果たしました。
写真:中国男子代表/提供:WTT
2022年は34歳とベテランの年齢になるもその実力は衰えず、世界選手権成都大会で中国代表の金メダル獲得に貢献しました。
馬龍のプレースタイル
馬龍の戦型は、右シェーク裏裏ドライブ型です。豪快なスイングから放たれる威力十分のフォアドライブが一番の武器の選手です。フィジカルが強く、中陣のラリーやカウンターなどどこからでも攻めることができ、相手には少しでも甘くなったら得点できないというプレッシャーがかかります。
バック面に中国ラバーを貼る選手は相当なスイングスピード、技量が必要なため中国選手でも少ないですが、馬龍は中国ラバーを生かした重い球質で勝負するのも特徴です。
写真:馬龍(中国)/提供:ittfworld
サーブはフォアサーブだけでなく、トスの高い投げ上げサーブやバックサーブを使います。回転は横下回転や下回転などシンプルな組み立てではありますが、回転量が豊富でサービスエースをねらうよりも3球目に繋げやすいサーブを選択しているように思えます。
レシーブではチキータなども使いますが、ストップの質が高くどんなサーブでも低く短く止めることができます。相手に3球目を打たせず4球目を狙ったり、十分な体勢で打たせずカウンターで狙うなど後の先戦術も豊富です。
世界選手権で3連続準決勝で敗れていた頃は、メンタル面の弱さや戦術の柔軟性、情況判断力が問題視されていましたが、タイトル獲得の自信から克服し、戦術的引き出しも増え他を圧倒する強さを誇っています。
馬龍の使用用具
馬龍は、ラケットは紅双喜の「キョウヒョウ 龍5」、ラバーはフォア面に紅双喜の「キョウヒョウ3国狂ブルー」、バック面に紅双喜の「キョウヒョウ NEO 3」を使用しているようです。
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馬龍の世界ランキング
馬龍の世界ランキングは2位(2024年6月時点)で、最高ランキングは1位(2017年1月)です。
馬龍の主な成績
2004年 | 世界ジュニア選手権 | 男子シングルス:金メダル |
2006年 | 世界選手権ブレーメン大会 | 男子団体:金メダル |
2008年 | グランドファイナル | 男子シングルス:優勝 |
世界選手権広州大会 | 男子団体:金メダル | |
2009年 | アジア選手権 | 男子シングルス:金メダル、男子ダブルス:金メダル |
世界選手権横浜大会 | 男子シングルス:銅メダル、男子ダブルス:銀メダル | |
グランドファイナル | 男子シングルス:優勝 | |
2010年 | 広州アジア競技大会 | 男子シングルス:金メダル |
世界選手権モスクワ大会 | 男子団体:金メダル | |
2011年 | 全中国選手権 | 男子シングルス:優勝 |
世界選手権ロッテルダム大会 | 男子シングルス:銅メダル、男子ダブルス:金メダル | |
グランドファイナル | 男子シングルス:優勝 | |
2012年 | ワールドカップ | 男子シングルス:優勝 |
ロンドン五輪 | 男子団体:金メダル | |
世界選手権ドルトムント大会 | 男子団体:金メダル | |
2013年 | 中華人民共和国全国運動会 | 男子シングルス:優勝 |
世界選手権パリ大会 | 男子シングルス:銅メダル | |
2014年 | アジアカップ | 男子シングルス:優勝 |
世界選手権東京大会 | 男子団体:金メダル | |
2015年 | 世界選手権蘇州大会 | 男子シングルス:金メダル |
グランドファイナル | 男子シングルス:優勝 | |
2016年 | リオデジャネイロ五輪 | 男子シングルス:金メダル、男子団体:金メダル |
世界選手権クアラルンプール大会 | 男子団体:金メダル | |
グランドファイナル | 男子シングルス:優勝 | |
2017年 | 世界選手権デュッセルドルフ大会 | 男子シングルス:金メダル |
2018年 | 世界選手権ハルムスタッド大会 | 男子団体:金メダル |
世界選手権ブダペスト大会 | 男子シングルス:金メダル、男子ダブルス:金メダル | |
2020年 | グランドファイナル | 男子シングルス:優勝 |
2021年 | 東京五輪 | 男子シングルス:金メダル、男子団体:金メダル |
2022年 | 世界選手権成都大会 | 男子団体:金メダル |
2023年 | WTTシンガポールスマッシュ | 男子シングルス:準優勝 |
WTTチャンピオンズマカオ | 男子シングルス:準優勝 | |
世界選手権ダーバン大会 | 男子シングルス:銅メダル | |
アジア選手権 | 男子シングルス:金メダル、男子ダブルス:銀メダル(ペア:王楚欽)、男子団体:金メダル | |
杭州アジア競技大会 | 男子団体:金メダル | |
WTTチャンピオンズフランクフルト | 男子シングルス:準優勝 | |
ITTF混合ワールドカップ | 混合団体:優勝 | |
2024年 | WTTシンガポールスマッシュ | 男子ダブルス:優勝(ペア:林高遠) |
世界選手権釜山大会 | 男子団体:金メダル | |
ITTFワールドカップ | 男子シングルス:優勝 | |
WTTサウジスマッシュ | 男子ダブルス:優勝(ペア:王楚欽) |
まとめ
世界選手権3連覇、全満貫達成など卓球界を代表する名選手である馬龍。30歳を超えた今でも世界トップの実力を見せつけており、東京五輪では日本最大のライバルになるのは間違いないでしょう。威力あるフォアドライブを打ちたい選手は、ぜひ馬龍の動画をみて研究することをお勧めします。