文:ラリーズ編集部
今回は、若くして国内外で大活躍し、2022年には男子日本人選手の世界ランキング歴代最高位である2位を記録した張本智和について紹介していきます。プロフィールやプレースタイル、使用用具などの基本的な情報から、国内大会、Tリーグ、国際大会の成績についても触れていきます。
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このページの目次
張本智和とは?
張本智和は2018年のITTFワールドツアーグランドファイナルで世界最年少での優勝や全日本選手権男子シングルス・一般の部において史上最年少優勝記録で優勝するなど、国内外で活躍している選手です。
最近の卓球界では特に注目されている選手で、「チョレイ!」というフレーズでもおなじみです。
張本智和のプロフィール
張本智和(はりもとともかず)は2003年6月27日生まれの21歳(2024年11月時点)で、宮城県の仙台市出身です。
両親は中国の四川省出身で、父の張本宇は男子ジュニアの日本代表コーチ、母の張凌は世界選手権の元中国代表選手です。張本は2014年に父と妹の美和と共に日本国籍を取得して帰化し、性が張から張本になりました。
写真:張本智和/提供:新華社/アフロ
2歳からラケットを握った張本は、2歳でラリーが出来るようになりました。そして、2010年の小学1年生の時に、全日本選手権のバンビの部で優勝すると、そこから2015年までバンビ・カブ・ホープスと世代別で無敗の6連覇を成し遂げました。
2016年からは親元を離れ、トップアスリートとして必要な「競技力」「知的能力」「生活力」の向上を目的としたJOCエリートアカデミーに入学します。同年の世界ジュニア選手権では大会史上最年少の13歳でのシングルス優勝を果たしました。
2017年8月に開催されたITTFワールドツアーチェコオープンのシングルスで優勝。ワールドツアー世界史上最年少優勝記録を14歳61日と更新しました。
2018年の全日本選手権ではこの大会で過去9回優勝の実績を持っていた水谷隼に勝利し、全日本選手権男子シングルス・一般の部において史上最年少優勝記録を新しく更新し、14歳205日での優勝という記録を残しました。
写真:張本智和/提供:ittfworld
また、2018年5月には世界ランキングトップ10、同年12月にはトップ5と驚くべき早さで世界ランキングを上げています。同年12月に開催されたITTFワールドツアーグランドファイナルでは格上の選手に勝利し、大会史上最年少優勝記録を更新し、15歳172日での優勝を果たしました。
写真:木下マイスター東京時代の張本智和/撮影:ラリーズ編集部
2018年からは卓球国内リーグであるTリーグにも木下マイスター東京から参戦。2022年の5thシーズンに琉球アスティーダへ移籍するまで4シーズンに渡って主力として活躍し、3度の年間王者獲得に貢献しました。
2019年1月には世界ランキング3位になり、世界最年少でのトップ3を記録すると同時に、男子日本選手の過去最高位の世界ランキングも更新しました。
2020年には新型コロナウイルスの影響で東京五輪が延期となるも、ワールドカップ男子シングルス銅メダルを獲得。そして、2021年には満を持して東京五輪に参戦しました。
写真:張本智和、水谷隼、丹羽孝希/提供:ITTF
「五輪金メダル獲得が目標」と公言していた張本でしたが、男子シングルスでは4回戦でダルコ・ヨルジッチ(スロベニア)にフルゲームの末敗れ、ベスト16に終わります。それでも、男子団体では丹羽孝希、水谷隼と共に銅メダルを獲得しました。
写真:張本智和と早田ひな/撮影:ラリーズ編集部
同年11月には、世界選手権ヒューストン大会に男子シングルス、男子ダブルス、混合ダブルスの3種目で出場。男子シングルスは2回戦、男子ダブルスは3回戦で敗退するも、早田ひなとの混合ダブルスでは準優勝に輝き、自身初の世界選手権個人戦でのメダル獲得を果たしました。
2022年には、長年所属していた木下グループを離れ、新たにIMGに所属先を変更します。そして、3月に開催された第1回パリ五輪代表国内選考会(TOP32東京大会)で優勝を飾ると、8月のTリーグ個人戦も制覇。11月のTOP32船橋大会でも優勝し、2022年2月時点のパリ五輪国内選考ポイントランキングでは断トツの1位をキープしています。
写真:世界選手権成都大会男子日本代表/提供:WTT
さらに、同年10月に開催された世界選手権成都大会では、準決勝中国戦で王楚欽(ワンチューチン)と樊振東(ファンジェンドン)を下す偉業を達成。試合は惜しくも敗れて決勝には進めなかったものの、男子日本代表6年ぶりの世界選手権のメダル獲得に貢献しました。
なお、中国が世界選手権で2マッチを失うのは2001年大会準決勝韓国戦以来で、1人の選手が中国から2マッチを奪うのは2000年大会決勝戦スウェーデン戦のヨルゲン・パーソン以来の快挙です。
写真:2023年全日本選手権男子シングルス準優勝時の張本智和/撮影:ラリーズ編集部
2023年の全日本選手権では男子ダブルス、混合ダブルスで優勝を飾り、男子シングルスでも2018年大会以来の決勝進出を果たし、自身初の3冠獲得に王手をかけましたが、決勝で戸上隼輔に激戦の末敗れ、準優勝に終わります。そして、同年のTOP32平塚大会でも決勝で戸上に敗れ、2連敗を喫します。
写真:張本智和/提供:千葉格/アフロ
しかし、6月に開催されたNOJIMA CUPでは決勝で戸上を破り、リベンジを達成。NOJIMA CUPで2連覇を達成しました。
また、同年の世界選手権では、2021年大会に続き混合ダブルスで銀メダルを獲得し、男子シングルスでも2016年大会以来のベスト8進出を果たします。準々決勝では梁靖崑(リャンジンクン・中国)に敗れ、惜しくもメダル獲得とはなりませんでしたが、10代最後の世界選手権を充実の内容で締めました。
張本智和のSNS
X(旧Twitter)
今日で20歳になりました!
まず、20年間育ててくれた両親にたくさんの感謝をしたいです。本当にありがとう。
自分の夢や目標を叶えられるような20代にしていきたいです!
ファンの皆様、たくさんの温かいメッセージをありがとうございます!とても幸せです!
これからもよろしくお願いします! pic.twitter.com/58wVJkXBfV— 張本智和 Harimoto Tomokazu (@haritomo0627) June 27, 2023
張本智和のプレースタイル
張本智和の戦型は右シェイク裏裏ドライブ型で、正確なバックハンドや生れながらの抜群のボールタッチから放たれるチキータを得意としています。レシーブから積極的にフリックやチキータで攻めていくスタイルのため、後陣に下がることは滅多にありません。
また、張本は点を決めた際に「チョレイ!」と雄叫びをあげ、自身を鼓舞する姿も特徴的です。
張本智和の使用用具
バタフライの契約選手である張本智和は、ラケットはバタフライの『張本智和インナーフォース ALC』、両面にバタフライの『ディグニクス05』を使用しているようです。
『張本智和インナーフォース ALC』は張本とバタフライが共同開発を行い、適度な弾みとボールをつかむ感覚を持つ「インナーフォース」をベースに、前衛での超攻撃的な両ハンドプレーが持ち味の張本に合わせ、ブレードサイズをわずかに大きくしたモデルです。
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張本智和の世界ランキング
張本智和の世界ランキングは8位(2024年11月時点)で、最高ランキングは2位(2022年12月)です。
2017年の6月から急激にランキングを上げ、1年後の7月には8位、2019年1月には当時自己最高位であった3位にまで上がりました。これはITTF(国際卓球連盟)によると、世界ランキング3位になった選手では史上最年少記録(当時15歳)だと言われています。
そして、以降はなかなか突き抜けた結果を残せなかった張本ですが、2022年に入って飛躍を遂げ、ついに男子日本人選手歴代最高位となる2位に世界ランキングを上げました。
張本智和の国内大会での主な戦績
2010年 | 全日本選手権(バンビの部) | 男子シングルス:優勝 |
2011年 | 全日本選手権(バンビの部) | 男子シングルス:優勝 |
2012年 | 全日本選手権(カブの部) | 男子シングルス:優勝 |
2013年 | 全日本選手権(カブの部) | 男子シングルス:優勝 |
2014年 | 全日本選手権(ホープスの部) | 男子シングルス:優勝 |
2015年 | 全日本選手権(ホープスの部) | 男子シングルス:優勝 |
2016年 | 全中 | 男子シングルス:優勝 |
2018年 | 全日本選手権 | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:3位(ペア:宇田幸矢)、ジュニア男子シングルス:優勝 |
2019年 | 全日本選手権 | 男子シングルス:3位、男子ダブルス:優勝(ペア:木造勇人)、混合ダブルス:準優勝(ペア:長﨑美柚) |
2020年 | 全日本選手権 | 男子シングルス:準優勝、混合ダブルス:準優勝(ペア:長﨑美柚) |
2021年 | 全日本選手権 | 男子シングルス:ベスト8 |
2022年 | 全日本選手権 | 男子シングルス:ベスト16、混合ダブルス:優勝(ペア;早田ひな) |
TOP32東京大会 | 男子シングルス:優勝 | |
NOJIMA CUP | 男子シングルス:優勝 | |
TOP32福岡大会 | 男子シングルス:準優勝 | |
TOP32船橋大会 | 男子シングルス:優勝 | |
2023年 | 全日本選手権 | 男子シングルス:準優勝、男子ダブルス:優勝(ペア:森薗政崇)、混合ダブルス:優勝(ペア;早田ひな) |
TOP32平塚大会 | 男子シングルス:準優勝 | |
NOJIMA CUP | 男子シングルス:優勝 | |
TOP32東京大会 | 男子シングルス:優勝 | |
TOP32大阪大会 | 男子シングルス:準優勝 | |
2024年 | 全日本選手権 | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:準優勝(ペア:森薗政崇) |
張本智和の国際大会での主な戦績
2014年 | 香港ジュニア&カデットオープン | カデット男子団体:優勝 |
2015年 | チェコジュニア&カデットオープン | ジュニア男子団体:優勝 |
スロバキアジュニアオープン | 男子団体:準優勝 | |
ポーランドジュニアオープン | 男子シングルス:準優勝 | |
チャイニーズタイペイジュニア&カデットオープン | ジュニア男子シングルス:優勝、ジュニア男子団体:準優勝 | |
2016年 | ジャパンオープン | U21男子シングルス:優勝 |
世界ジュニア選手権 | 男子シングルス:金メダル、男子ダブルス:銀メダル、男子団体:金メダル | |
2017年 | ドイツオープン | U21男子ダブルス:準優勝 |
チェコオープン | 男子シングルス:優勝 | |
世界選手権デュッセルドルフ大会 | 男子シングルス:ベスト8 | |
アジア選手権 | 男子団体:銅メダル | |
中国オープン | 男子ダブルス:準優勝 | |
2018年 | ジャパンオープン | 男子シングルス:優勝 |
チームワールドカップ | 男子団体:準優勝 | |
世界選手権ハルムスタッド大会 | 男子団体:ベスト8 | |
グランドファイナル | 男子シングルス:優勝 | |
2019年 | ユースオリンピック | 男子シングルス:銀メダル |
ブルガリアオープン | 男子シングルス:優勝 | |
2020年 | ハンガリーオープン | 男子シングルス:優勝 |
ワールドカップ | 男子シングルス:3位 | |
2021年 | WTTコンテンダードーハ | 男子シングルス:ベスト4 |
WTTスターコンテンダードーハ | 男子シングルス:優勝 | |
東京五輪 | 男子シングルス:ベスト16、男子団体:銅メダル | |
世界選手権ヒューストン大会 | 混合ダブルス:銀メダル | |
WTTカップファイナルシンガポール | 男子シングルス:準優勝 | |
2022年 | WTTチャンピオンズブダペスト | 男子シングルス:優勝 |
世界選手権成都大会 | 男子団体:銅メダル | |
WTTカップファイナル新郷 | 男子シングルス:準優勝 | |
アジアカップ | 男子シングルス:優勝 | |
2023年 | WTTシンガポールスマッシュ | 混合ダブルス:準優勝 |
世界選手権ダーバン大会 | 男子シングルス:ベスト8、混合ダブルス:銀メダル | |
WTTスターコンテンダーゴア | 男子シングルス:ベスト4、混合ダブルス:ベスト4 | |
WTTチャンピオンズマカオ | 男子シングルス:ベスト4 | |
WTTスターコンテンダー蘭州 | 混合ダブルス:準優勝 | |
WTTコンテンダーアンタルヤ | 混合ダブルス:優勝 | |
混合ワールドカップ | 混合団体:3位 | |
2024年 | WTTスターコンテンダードーハ | 男子ダブルス:ベスト4(ペア:篠塚大登) |
WTTコンテンダードーハ | 男子シングルス:準優勝 | |
WTTシンガポールスマッシュ | 混合ダブルス:ベスト4 | |
ワールドカップ | 男子シングルス:ベスト4 | |
WTTサウジスマッシュ | 混合ダブルス:ベスト4 | |
WTTコンテンダーリオデジャネイロ | 混合ダブルス:準優勝 | |
WTTコンテンダーザグレブ | 男子シングルス:ベスト4、混合ダブルス:優勝 | |
WTTスターコンテンダーリュブリャナ | 男子シングルス:ベスト4、混合ダブルス:優勝 | |
WTTコンテンダーチュニス | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝、混合ダブルス:優勝 | |
WTTスターコンテンダーバンコク | 男子シングルス:優勝、男子ダブルス:優勝、混合ダブルス:優勝 | |
パリ五輪 | 男子シングルス:ベスト8、男子団体:4位 | |
アジア選手権 | 男子シングルス:金メダル | |
WTTチャンピオンズモンペリエ | 男子シングルス:準優勝 |
まとめ
国内だけにとどまらず、世界で活躍している張本智和。数々の大会で優勝していますが、まだ20歳とこれからの成長にも期待ができる選手です。いずれは、世界ランキング1位をとることを期待せずにはいられません。そんな張本智和の世界での活躍に注目です。