創部初の全国16強の裏に"幻の最強世代"の2人のエース 「多摩から全国へ」東海大菅生高卓球部 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:東海大菅生高校のメンバー/撮影:槌谷昭人

卓球インタビュー 創部初の全国16強の裏に“幻の最強世代”の2人のエース 「多摩から全国へ」東海大菅生高卓球部

2021.10.25 取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)

全国の舞台に立てなかった先輩たちの思いを受け継ぎ、東海大菅生高校卓球部は、創部以来最高となるインターハイ学校対抗ベスト16入りを果たした。

昨年は関東大会で優勝するなど、東海大菅生高校卓球部史上“最強”との呼び声も高かった。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大により、全国高校選抜、インターハイは中止となり、“史上最強”のチームの全国の舞台は幻と終わった。

その無念を晴らすべく、そして先輩たちに負けじと努力を重ね、過去最高の成績を叩き出した東海大菅生高校卓球部の練習にお邪魔した。


【東海大菅生高校卓球部】1983年に学校が開校されたときに創設された東京都あきる野市にある卓球強豪校。「多摩から全国へ」のスローガンを掲げ、2021年8月のインターハイでは学校対抗で創部初のベスト16入りを果たした。8決定戦でも、3位に入った静岡学園高校を相手に2-3と肉薄した。

初のインハイベスト16に裏には去年の両エースの存在


写真:後藤由一監督 東海大菅生高校から日本体育大学を経て菅生学園初等学校に勤務している/撮影:槌谷昭人

――8月のインターハイでは創部初の学校対抗ベスト16入り、おめでとうございます。
後藤監督:本当に選手がよく頑張ってくれた結果です。

まず昨年度がコロナでインターハイ予選すらも行われず、その手前の全国高校選抜も中止になってしまいました。直前の関東選抜で優勝して全国選抜のシードを獲っていて、周りの方々にも「昨年はチャンスだったね」とよく言われましたけど、正直自分もそう思ってます。

ただ、そのときの主力メンバーの髙橋天馬(現・法政大)、笠井智衆(現・専修大)。この2人の存在は非常に大きかったなと今でも思ってます。


写真:2020年9月の森薗政崇主催の高校生強化合宿でプレーする東海大菅生高時代の笠井智衆(写真左)・髙橋天馬/撮影:ラリーズ編集部

――髙橋選手、笠井選手、両エースの存在が今年のチームにも活きていたということでしょうか?
後藤監督:彼らが引っ張り上げてくれて東京都や関東で優勝できたので、今のメンバーに与えた影響は非常に大きかったです。だんだん勝てるチームになっている実感はありました

去年は残念な形でしたが、それに追いつけ追い越せと頑張ってきて今回インターハイでベスト16まで勝ち上がれた。先輩が流れを作ってくれた面は大いにあったと思います。

――今回のベスト16入りには、インターハイが無かった先輩の悔しい思いを引き継いでいたんですね…。
後藤監督:インターハイが終わった後に髙橋天馬がすぐに私に連絡をしてくれたんですよ。「菅生の活躍に感動しました」と。それだけでも嬉しかったんですけど、私が「去年君たちとやりたかったな」と言うと、彼はこう言ってくれました。

「今回の強い菅生を見られて僕は満足してます」と。

その言葉は心に残りましたね。去年出られなかった子たちが今回の活躍を喜んでくれたのは、とても嬉しく思いました。


「本当に嬉しかったですね…」

――コロナでインターハイに出られなかった卒業生のその言葉はジーンと来ますね…。

今回のインターハイでの生徒たちの頑張りを見て、特に印象に残っていることはありますか?

後藤監督:キャプテンの竹中の成長ですね。卓球だけじゃなく人間的に非常に成長が多く見られました。

チームの中でもキャプテンとして私と選手の間で、彼なりにいろいろと頑張ってくれて、良い方向に持っていってくれた。竹中の力が今回のベスト16入りに大きく貢献したと思っています。


写真:インターハイでの竹中流生(東海大菅生高)/撮影:ラリーズ編集部

後藤監督:3回戦の静岡学園戦でも竹中が1番シングルスで勝ってくれて、頑張ってきた竹中がインターハイの舞台で活躍できたのは最後に報われたというか、私としては印象に残りましたね。

竹中主将「精神的な部分で強くなれた」

後藤監督絶賛の3年生主将・竹中流生(東海大菅生高)に、東海大菅生高校で成長した部分を尋ねた。


写真:竹中流生(東海大菅生高校)/撮影:槌谷昭人

――後藤監督が「竹中選手の成長がインターハイでの好結果に繋がった」とおっしゃってました。

東海大菅生に入って、ご自身で成長したと感じている部分はどこですか?

竹中流生:技術的な部分はもちろん、精神的な部分で大きく成長できて、プレッシャーにも結構強くなったと感じています。

そこに関しては一個上の先輩方、特に(髙橋)天馬さんや(笠井)智衆さんに練習相手を良くしてもらっていたので、本当に感謝しています。


写真:竹中流生(東海大菅生高校)/撮影:槌谷昭人

――やはり先輩方の存在は大きいんですね。

後藤監督の指導についてはどうですか?

竹中流生:後藤先生はすごく自由に練習をやらせてくださり、とても感謝しています。

精神的な面でも、選手である前に人としてどうあるべきかをよく言われています。

自分の中で一番記憶に残っているのは「卓球以外が疎かになるなら卓球も疎かになってしまう」ということです。それを考えてから自分も変われたと思います。


写真:竹中流生(東海大菅生高校)/撮影:槌谷昭人

スローガンは“多摩から全国へ”

再び後藤監督。チームの特徴や今後の目標について伺った。


写真:アドバイスを送る後藤由一監督(東海大菅生高)/撮影:槌谷昭人

――東海大菅生高校卓球部の特徴はどういうところでしょうか?
後藤監督:卓球部は寮もなく、通いの生徒だけです。しかも東京のかなり西側にある学校ですので、他県や23区内の生徒が通うのは難しく、通学できる子たちも限られています。

多摩地区中心に23区以外の市町村から来てもらっているところがまず一つの特徴ですね。


野球部の室内練習場の一角で練習している東海大菅生高卓球部

――確かに都心からは離れていて、学校に来るまでの道のりも東京とは思えないほどの自然の豊かさでした…(笑)。
後藤監督:今日は「駅に鹿が出た」とニュースになってましたからね(笑)。

ただ、創設当初から「多摩から全国へ」という言葉を掲げてずっとやってきて、中学時代に全国大会に出たことがないような選手が入学して頑張って東京都代表になるケースが非常に多いです。


写真:後藤由一監督(東海大菅生高)/撮影:槌谷昭人

後藤監督:例えば、3年生の水藤光希は、今年インターハイシングルス東京都代表選手として出場したんですが、個人戦では初めての全国出場でした。

そういう形で頑張ってくれた卒業生が非常に多く、そんなチームの姿勢や雰囲気を見て、全中出場経験のある笠井兄弟(智衆・埜衣)は菅生で頑張りたいという決心をしてくれて入学してくれました。


写真:インターハイでの水藤光希(東海大菅生高)/撮影:ラリーズ編集部

――歴代の先輩が積み重ねてきた物は大きいですね。
後藤監督:チーム全体での仲間内の良さ、先輩後輩の関係が菅生の一番の特徴で、今回のインターハイの結果にも結び付いたのかなと感じています。

例えば、2年生の村野(舜太)はインターハイ団体戦でダブルスで起用し、静岡学園戦でも勝つなど非常に頑張ってくれました。彼の活躍は3年生の前原(椿樹)の存在が大きかったと思っています。


写真:笠井埜衣(写真左)・村野舜太(東海大菅生高校)/撮影:槌谷昭人

後藤監督:彼らは同じクラブチームの先輩・後輩です。前原は全国大会常連選手で経験も豊富で、彼が村野を練習相手に良く指名して、技術を教えることも多く、村野の成長に大きな影響を与えてくれたと思っています。


写真:前原椿樹(東海大菅生高)/撮影:ラリーズ編集部

――先輩から後輩に着実に受け継がれていっていますね。

良い成績を残した今年のチームを受け継ぎ、新チームではどういう目標でやっていきますか?

後藤監督:3年生が抜けて戦力的に厳しくなるのはもちろんありますが、「先輩が残してきたものに追いつけ追い越せ」ということは昔から続けてきたことです。

次、まずは全国選抜出場を目指して、全国選抜で1回2回と勝って、またベスト8に挑戦できる状態を作りたいというのは選手も私も思っているところですね。


写真:東海大菅生高校卓球部の練習/撮影:槌谷昭人

先輩たちが築き上げてきたものは、目に見えなくとも着実に受け継がれていく。それが部活動の良さでもある。東海大菅生高校卓球部の今回の躍進は、部活動の醍醐味が詰まったものだった。

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