世界選手権代表経験のある平亮太監督「できないことはできるまでやる」正智深谷高校卓球部に潜入 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:正智深谷高校卓球部/撮影:ラリーズ編集部

卓球インタビュー 世界選手権代表経験のある平亮太監督「できないことはできるまでやる」正智深谷高校卓球部に潜入

2022.12.27

この記事を書いた人
Rallys編集長。学生卓球を愛し、主にYouTubeでの企画を担当。京都大学卓球部OB。戦型:右シェーク裏裏

関東の女子を代表する卓球強豪校が埼玉県・正智深谷高校だ。

名門校・正智深谷高校の監督を務めるのが平亮太監督だ。選手時代には、故・吉田安夫氏の下でインターハイ優勝を果たし、世界選手権代表にもなった名選手でもある。


写真:平亮太監督(正智深谷高校)/撮影:ラリーズ編集部

正智深谷に入る選手たちは平監督の下で鍛えられ、高校時代に大きく成長し、高校卒業後も次のステージで活躍し続けている。

卒業生には、2015年のインターハイで女子シングルス優勝の田口瑛美子(昭和電工マテリアルズ)や、南波侑里香(トップおとめピンポンズ名古屋)、牛嶋星羅(昭和電工マテリアルズ/九州アスティーダ)、平真由香(昭和電工マテリアルズ)らTリーグ、実業団でプレーする選手を多数輩出している。


写真:田口瑛美子(筑波大学→昭和電工マテリアルズ)/撮影:ラリーズ編集部

どのようにして選手は正智深谷で強くなっていくのだろうか。その強さの源を探るべく、練習にお邪魔し、平監督に話を聞いた。


写真:練習場のある岡部駅から練習場までの一本道 都心から電車で約1時間半/撮影:ラリーズ編集部

世界選手権代表にもなった平亮太監督


写真:平亮太監督(正智深谷高校)/撮影:ラリーズ編集部

――どういう経緯で正智深谷高校卓球部の監督になられたのでしょうか?
平亮太監督:中学3年生のときに、吉田安夫先生に誘われて、高校は埼玉県立熊谷商業高校に入学しました。

高校2年生の時に、熊谷商業高校から当時の埼工大深谷高校に吉田先生が異動されました。自分も2年生のインターハイが終わった後に埼工大深谷高校に転校しました。

その埼工大深谷高校の校名が変わったのが、正智深谷高校なんです。


写真:平亮太監督(正智深谷高校)/撮影:ラリーズ編集部

平亮太監督:その後、私は、早稲田大学、実業団のびわこ銀行、健勝苑グループで行っていたプロトーナメントでプレーし、プロが終わるタイミングに合わせて、元々教員になりたかったこともあり、学校を探していたら母校から体育の教員として声がかかりました。

母校に戻ってきて2年目から卓球部を強化クラブにしていただいて、現在に至るまで活動してます。


写真:正智深谷高校卓球部の練習風景/撮影:ラリーズ編集部

――平監督は現役時代にインターハイ優勝や世界選手権代表にもなられています。実業団やプロでもプレーするなど、選手時代の経験が指導に活きていると感じる部分はありますか?
平亮太監督:現役として長くプレーしていたからこそ、“感性”が豊かになっているかなと感じますね。
――感性の豊かさとは…?
平亮太監督:指導者は「何をどう感じてどうやって伝えるのか」が必要になってきます。

例えば、選手の練習、試合を見て、どこがおかしいのか、なぜ点数が取れないのか、どこで失点してるのか、という部分の感じ方です。

ある程度卓球を経験していれば、感じることはできるんですが、それを「どうやって練習メニューに反映していくか」が指導者だと思うんですよね。

そこは現役として各カテゴリでプレーしてた時に、自分でも実際にやっていたという経験が活かされていると思います。


写真:鋭い眼光で練習を見つめる平亮太監督(正智深谷高校)/撮影:ラリーズ編集部

できないことをできないままにしない。できるまでやる

――正智深谷高校の選手たちは、高校でグッと伸びている印象があります。

どういう風に伸ばしているのかをお伺いできればなと思います。

平亮太監督:特別なことは何もなく、本当に普通のチームです。

ただ、私がこだわっているのは、凡事徹底。できないことをできないままにしない。できるまでやる。

特別なことをやって強くなる方法があるんだったら逆に教えていただきたいぐらいで、基本的なことを徹底的に行っています。


写真:平亮太監督(正智深谷高)/撮影:ラリーズ編集部

平亮太監督:よくうちの練習は練習時間が長いと言われるんですが、できないことをできるまでやろうと思うと時間はどうしてもかかってしまいますよね。

正智深谷に入ってくる選手のレベルを考えると、全国上位レベルの選手とは技術的なレベルの差がどうしてもあります。

その差を詰めて追い越していこうと思うと、自分が選手時代に経験してきたことを伝えながらも、やっぱり時間をかけてできるまでやるので、時間はかかりますね。


写真:妻の平令子さん(旧姓:樋浦)もコーチとして指導にあたる/撮影:ラリーズ編集部

――トレーニングも重視していると伺いました。
平亮太監督:アスリートにとって強い体は必要になってきます。

もちろん高校3年間で勝たせたいという目標もあるんですが、やっぱり卒業後も卓球を続けて、活躍して欲しいということを考えると、怪我をしてしまうともうどうしようもない。そのために、まずは怪我をしない体作りを大事にしています。

なので、卒業後も継続的にトレーニングを続けていって欲しいんですけど…続けてないですよね(笑)。それは卒業生に催促しないといけないんですけど(笑)。


写真:鍛えられた足腰で鋭いボールを放つ選手たち/撮影:ラリーズ編集部

トレーニングは「めっちゃキツい」

ここで2年生主将で2022年のインターハイ女子シングルスランカーの坂﨑愛華(正智深谷高)にもトレーニングについて話を聞いた。


写真:坂﨑愛華(正智深谷高)/撮影:ラリーズ編集部

――練習ではトレーニングがキツいと伺ったのですが、実際どんな感じですか?
坂﨑愛華:めっちゃキツいです(笑)
――どんな感じのトレーニングなんですか?
坂﨑愛華:走る系など体力的にキツいトレーニングもたくさんやります。

筋力的に負荷の大きいトレーニングもやるので、次の日絶対筋肉痛です(笑)。

――筋力がついた実感はありますか?
坂﨑愛華:毎日自分の身長と体重と骨格筋量、体脂肪率などを測るんですけど、入学してきた時よりも骨格筋量が増えていたり、足や腕が太くなったり、周りからも言われたりするので、すごい分かります。


写真:坂﨑愛華(正智深谷高)/撮影:ラリーズ編集部

平監督「私が正智深谷高校の卓球部の一番のファンに」

最後に再び平監督に話を聞いた。


写真:平亮太監督(正智深谷高校)/撮影:ラリーズ編集部

――平監督が、監督をしていて嬉しい瞬間はどういうときですか?
平亮太監督:現役の選手がどんな大会でも勝ってくれることは私の励みにもなります。

加えて、卒業生がよく顔出してくれるのが、私の中ではすごく励みになっていて、「この子達に高校3年間指導してきたことは間違いじゃなかったんだな」って感じ取ることができる瞬間なんですよね。


写真:卒業生の名が刻まれた防球フェンス/撮影:ラリーズ編集部

平亮太監督:私は指導していく中で、「高校を出てからが一番の勝負、出た時にここで学んだことをできるかどうか」というところで指導していることもあり、卒業生の活躍もそうですし、卓球しててもしていなくても、練習場に足を運んでくれる卒業生がいるのは一番の嬉しいところです。

現役の子達を強くするために頑張ろうってより思えますね。


写真:これまでの数々の実績/撮影:ラリーズ編集部

――今後、正智深谷をどういうチームにしていきたいかを最後に教えてください。
平亮太監督:あまり監督や指導者が前面に立ってやるというよりも、「今いる子達の世代でチーム作りをしていって、それを後ろから応援したい」ってスタイルです。

伝統を受け継いでいくチームでも構わないですし、新しいことをやりたいというチームでも良くて、そういった子達を応援していきたい。


写真:平亮太監督(正智深谷高校)/撮影:ラリーズ編集部

平亮太監督:そのためには私が正智深谷高校の卓球部の一番のファンにならなければいけない、というのは私の中であります。

その中でやりたいことをより良く導いて後ろから支えていくスタイルにしたいと思っています。

>>強くなる選手に共通するのは用具への“細かな”こだわり だから正智深谷高校卓球部はXIOM用具を使う

取材動画はこちら

動画では、奄美大島で育ったという平監督の特殊な経歴にも迫りながら、各選手のプレーも掲載しています。ぜひご覧ください。

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