ついに野田学園高校卓球部の練習に潜入取材した。
写真:野田学園高校卓球部練習の様子/撮影:ラリーズ編集部
野田学園高校卓球部は、言わずと知れた高校男子卓球界の名門校だ。
高校3年生で全日本選手権を制し、リオ五輪で銀メダルを獲得した吉村真晴(TEAM MAHARU)や、2022年の全日本選手権優勝の戸上隼輔(明治大学)ら日本卓球界のトップ選手を多数輩出している。
写真:戸上隼輔(明治大)/撮影:ラリーズ編集部
野田学園を率いるのが橋津文彦監督だ。
吉村、戸上だけでなく、現・T.T彩たま監督の岸川聖也(ファースト)、先日引退を発表した平野友樹(協和キリン)ら多くの教え子を卓球界に送り出し、仙台育英高校時代にはインターハイ優勝、野田学園も全国上位常連校に育て上げた名将だ。
今回は橋津監督にインタビューし、指導についてや今後思い描いている“野望”を語ってもらった。
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明治大学で選手に一区切りをつけ卒業後は指導者の道へ
写真:橋津文彦監督(野田学園)/撮影:ラリーズ編集部
選手としての未練はなかったのでしょうか?
その頃は、「全日本チャンピオンなりたいな」「オリンピック行きたいな」「インターハイ優勝したいな」と真剣に思っていました。
ただ、明治大学に入って、「これはちょっと自分の選手としての道はもう無理だな」と感じて、指導者の道を志しました。
卓球台が3台しかないので、毎日勝ち抜きのゲーム練習でした。
そこに同級生の田崎(俊雄)さん、今の明治大学監督の高山(幸信)さん、後輩にオリンピック行った遊澤(亮)さん、今木下グループの総監督をやってる倉嶋(洋介)さんとそうそうたるメンバーがいて、彼らが勝ち続けるわけですよ。
写真:田崎俊雄氏 五輪に3大会出場/提供:築田純/アフロスポーツ
そういう状況の学生生活を過ごしてたら、諦めはつきますよね。
大学2年生くらいから指導者になろうと思い始めて、慌てて教職の授業をそこから取って、大学卒業後は教員になりました。
練習の指示を出す橋津文彦監督(野田学園) 母校・明治大学に卒業生を多く送り込んでいる
ターニングポイントは「岸川聖也の監督になったこと」
写真:今も自ら多球練習では球出しをする橋津監督(野田学園)/撮影:ラリーズ編集部
その頃は自分の“勝ちたいという欲望”を実現させるために生徒を強くする、みたいな感覚で厳しく指導していました。
ただ、3年間で全国では1勝しかできませんでした。
写真:現在、T.T彩たまの監督を務める岸川聖也 橋津監督の教え子の1人/撮影:ラリーズ編集部
ただ聖也も、僕のことを監督として目線を下げてくれてた部分もたぶんあるし、同じ経験、同じ時間を共有していく中で、支配型の指導者から対話型の指導者になれたと感じています。
練習中にも選手と会話を交わす橋津監督 良い意味で距離感の近さがある
自分が聖也に卓球で教えられたことって少ないんですけど、スポーツマンとして人に憧れられるようなスーパースターにしないといけないと思って、その辺の指導はしっかりしようと心掛けていました。
「自主性を持てるように管理しないといけない」
写真:練習を見守る橋津文彦監督/撮影:ラリーズ編集部
何か指導で意識されている点はありますか?
あと、一つの柱になってるのが、「自主性を持てるように管理しないといけない」ということです。
写真:2019年インターハイでの戸上隼輔が男子シングルスを制した時の橋津文彦監督(野田学園)/撮影:ラリーズ編集部
聖也にしても真晴にしても隼輔にしても頑張りますからね。
頑張れる人間にしてあげることが、大人の指導者の役目かなとは思ってやっています。
「男子シングルス世界チャンピオンを育てたい」
写真:橋津文彦監督(野田学園高校)/撮影:ラリーズ編集部
「インターハイ優勝しよう」
「全日本チャンピオン育てよう」
「オリンピック選手育てよう」
で3つです。
実はこれ、自分の子供の頃の夢だったんですけど、本当にラッキーなことに今3つとも叶えることができました。
写真:教え子の吉村真晴は全日本選手権を制し、リオ五輪にも出場した/提供:築田純/アフロスポーツ
もう1つは、ここまで卓球に人生をかけた生活をしてきたら、たぶん死ぬまで僕はこれを続けると思うんです。
こうなったら男子シングルス世界チャンピオンを育てたいなと思っています。
思わない限り絶対無理じゃないですか。
だったらもう男子シングルス世界チャンピオン。ここを僕の人生の目標にしたいと思っています。
写真:野田学園中高卓球部/撮影:ラリーズ編集部
橋津監督と2022年の愛媛インターハイでお話させてもらい、「いつでも取材に来てくださいね」と快く取材を受け入れていただき、今回の取材が実現した。
取材のために山口県に前日入りしていたところ、橋津監督のご厚意もあり、急遽その日から2日間に渡り取材させてもらった。2日間を通して、厳しい練習の中でも卓球を心から楽しむ橋津監督と選手たちの姿が印象的だった。
長所を伸ばし、超攻撃型卓球で勝ち続ける野田学園高校卓球部の魅力は、動画でも存分にお伝えする。