"欧州のレジェンド"パーソン監督 節目の50年で語るスウェーデン卓球の現在地【後編】 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:ヨルゲン・パーソン監督(写真中央)とマティアス・ファルク(写真左)/提供:ittfworld

卓球インタビュー “欧州のレジェンド”パーソン監督 節目の50年で語るスウェーデン卓球の現在地【後編】

2021.05.25

この記事を書いた人
1979年生まれ。テレビ/映画業界を離れ2020年からRallys編集長/2023年から金沢ポート取締役兼任。
軽い小咄から深堀りインタビューまで、劇場体験のようなコンテンツを。
戦型:右シェーク裏裏

スウェーデン代表監督のヨルゲン・パーソン氏への独占インタビュー、後編である。

マティアス・ファルク選手はじめ、いま輝きを取り戻しつつあるスウェーデン卓球の現在地について、オンラインで話を聞いた。


写真:ヨルゲン・パーソン監督/提供:ラリーズ編集部

>>“元世界王者”パーソン氏が語る「強くなるために一番大切なこと」【前編】

「大事なことはその人自身のスタイルであること」

――スウェーデンの有力選手について、監督がどう見ているか教えて下さい。ファルク選手はどうですか?
マティアス・ファルク
写真:マティアス・ファルク(スウェーデン)/提供:ittfworld

パーソン監督:いいよね、他と違うスタイルで。今、ほとんどの選手は似ているから。

彼は、フォアに表ソフトを貼ってスマッシュする。多くの人は言うかもしれない、あれは時代遅れのスタイルだと。80〜90年代、いや60〜70年代のスタイルだと。

でも、彼は自分の試合にだけ集中し、そして強い。彼の卓球は、他と違うスタイルでも勝てるんだと教えてくれる。最も大事なことは、その人自身のスタイルであるということなんだ。

――そのとおりですね(おお、スウェーデン卓球の系譜…)。
パーソン監督:いま、私たちは同じ街に住んで、オリンピックやヨーロッパ選手権などの大きな大会に向けて準備している。

今後も良い結果を出すために彼は燃えているよ。

――アントン・ケルベリ選手はどうですか?


写真:アントン・ケルベリ(スウェーデン)/提供:ittfworld

パーソン監督:彼はこの一年、ブンデスリーガで最高のシーズンを過ごしたよね。ボルシア・デュッセルドルフで25勝2敗の好成績で、チームを優勝に導いた。大きな成長だね。

オリンピック代表に入る可能性があるうちの一人だ。
(※編集部注:言葉通り、その後ケルベリは団体・シングルスともに東京五輪スウェーデン代表に選出された)

――T.T彩たまにも所属する、トルルス・モーレゴード選手はどうでしょう?


写真:トルルス・モーレゴード(スウェーデン)/撮影:保田敬介

パーソン監督:彼も、とても良い選手だ。昨年は10月に膝の手術をして、少しアンラッキーな一年だったけど、いま復帰を目指して練習を再開している。

ただ、彼はまだ19歳。大事なことは彼の膝が100%の状態になることだから、あまり急がせないようにしている。これまでずっと、膝の痛みと共にプレーしていたから。

WTTについては「今後を注視する」


写真:WTTコンテンダードーハの模様/提供:新華社/アフロ

――WTTについては、どうお考えですか。日本ではWTTの開催方法については、反対意見も出ていますが。
パーソン監督:全く新しい試みで、まだ私たちもカタール大会を戦っただけなので、今のところはなんとも言えない。次があるかはわからないが、まだ始まったばかりだからね。

もちろん、君の言うように、私たちスウェーデンも多くの疑問は持っている。これまで以上に、大会に参加して世界ランキングを上げることに資金が必要になってしまうしね。

今回は少し急すぎて、2022年にスタートすべきだったかもしれないというのが、私の考えだ。

ただ、WTTのアイデアそのものは良いと思う。スポーツの賞金はもっと高くあるべきだから。


写真:WTTマカオの様子/提供:ittfworld

――日本の卓球協会は、若手選手が参加できないことも懸念しています。
パーソン監督:その通り。世界中のほとんどの国が心配している。若い世代にとって国際試合ができることはとても重要だ。私も、自国の若手選手たちから“近い将来、参加できるようになるんでしょうか”と聞かれている。

この後どうなるか、私たちは注視していかなければいけない。


写真:スウェーデン代表選手団公式ウエアを着たヨルゲン・パーソン監督/提供:SOC

ポジティブでいることの大切さ


写真:ヨルゲン・パーソン監督/撮影:ラリーズ編集部

――社会の状況もコロナで変化しました。ご自身では何が変わりましたか。
パーソン監督:約一年が経過して、確かに世界は変わったけど、私自身はいつもと同じように前向きでいるよ。

それは大事なことだと思う。世界中が、この災害に悩まされながらもなんとかチームワークを維持すること。私自身にとっては、ポジティブであり続けることが大切なんだ。

もちろん、先は読めないし、まだしばらく家の中で過ごす必要があるかもしれないけどね。

隔離期間中“”リフティング”にチャレンジするパーソン監督

――スウェーデン卓球のこの先が楽しみですね。
パーソン監督:今年は、ステラン・ベンクソンが1971年世界選手権名古屋大会で、スウェーデン人初の世界チャンピオンになって、50年目の記念の年なんだ。

もちろん、スウェーデンにもたくさんスポーツはあるけど、卓球は私たちにとって伝統があるスポーツ。もっと発展させていきたいと思っている。

――ありがとうございました!


写真:ヨルゲン・パーソン監督/提供:ラリーズ編集部

【動画コメント】スウェーデン代表ヨルゲン・パーソン監督インタビュー「期待していてください」


提供:SOC