文:ラリーズ編集部
今回は、2021年の全日本選手権王者・及川瑞基を紹介します。数々の大会でトップレベルの選手を倒して活躍をしており、水谷隼世代に次ぐ新世代の選手として期待される及川瑞基のプロフィール、使用道具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績にも触れていきます。
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このページの目次
及川瑞基とは?
写真:及川瑞基(木下マイスター東京)/提供:©T.LEAGUE
及川瑞基は、青森山田中高・専修大学の出身で、現在はプロ卓球選手として活躍しています。
ドイツの卓球プロリーグであるブンデスリーガ18、19シーズン第22節に出場した際、王者であるボルシア・デュッセルドルフのエースであるティモ・ボルに金星をあげるとダブルスでクリスチャン・カールソンにも勝利し、チームの勝利に貢献するなど、世界のトップ選手にも引けを取らない実力の持ち主です。
Tリーグにも木下マイスター東京の一員として参戦しており、4thシーズンの年間最優秀選手賞を受賞するなど、チームに欠かせないプレーヤーとなっています。
及川瑞基のプロフィール
及川瑞基(おいかわみずき)は1997年6月26日生まれの27歳(2024年11月時点)で、宮城県黒川郡大和町出身です。
父は柔道をやっていましたが、母が卓球経験者で、2人の姉が卓球を習っていたことをきっかけに、5歳のころに卓球を始めました。しかし、当時は「サッカーの方が好きだった」そうです。
写真:及川瑞基/撮影:ラリーズ編集部
卓球を始めた5歳の頃は日韓ワールドカップイヤーであり、日本全国でサッカー熱が最高潮に高まっていた時期でした。さらに、及川は野球にも興味を持ち、卓球の練習は夜に少し行う程度でした。及川は、張本智和の両親が経営する卓球練習場に通っており、とにかく褒めてくれる指導により楽しそうに練習をしていたと語っています。
しかし、ある時大会で期待されていた中あっさり負けてしまい張本の両親に怒られたことで、負けて悔しいという思いが芽生え、練習にのめり込むようになりました。そして小学校を卒業すると青森山田中学へ進学し、中学3年生時にはドイツに渡り、ブンデスリーガに挑戦しました。
写真:及川瑞基/撮影:伊藤圭
当時の卓球界ではブンデスリーガは登竜門となっており、及川はそこでレベルの高い選手と戦い、思考する卓球を身につけました。高校では、青森山田高等学校の卓球部に所属していましたが、インターハイでまさかの連覇を逃してしまいました。及川はその時のことを「ここまでこれたと満足してしまい勝ちに行ってなかった」と振り返っています。
写真:三部航平と及川瑞基/撮影:ラリーズ編集部
そして、海外への挑戦を条件としてくれる専修大学へ進学し、ドイツでの挑戦を続けました。2020年の全日本選手権では、中高大とともに過ごしてきた盟友・三部航平と組んだダブルスで初優勝を飾りました。さらに、2021年の全日本選手権では青森山田の先輩である森薗政崇との大接戦を制し、シングルス優勝を飾りました。
写真:及川瑞基/撮影:ラリーズ編集部
専修大学卒業後は、プロ卓球選手として活動しており、Tリーグ木下マイスター東京でプレーしています。2020-2021シーズンの戦績は19勝5敗という素晴らしい成績で、年間最優秀選手賞に選ばれました。
写真:及川瑞基/提供:WTT
そして、2022年3月に開催された第1回パリ五輪代表選考会「LION CUP TOP32 東京大会」で準優勝を飾り、同年の世界選手権日本代表に選出。本大会でも張本智和、戸上隼輔に次ぐ3番手のポジションとして、日本の銅メダル獲得に大きく貢献しました。
及川瑞基のSNS
及川瑞基のプレースタイル
及川のプレースタイルは、右シェーク攻撃型であり、前陣で繰り出す両ハンドの連続攻撃を武器としています。
写真:及川瑞基/撮影:ラリーズ編集部
また「堅実に相手をみながら戦術を考え的確に対処する」プレースタイルであり、中学時代から参戦していたブンデスリーガで身につけた思考する卓球を磨き上げ、相手の得意な攻撃や苦手な部分を分析して弱点を突く立ち回りを得意としています。常に一打一打考えながら打つ及川は、あまり大声で感情を出すことはありません。
また、及川は試合前日、いつも同じのサンダルを常備してアイマスクをしてリラックスをし、無駄を削ぎ落とすことをルーティンとしています。
及川瑞基の使用用具
バタフライの契約選手である及川瑞基は、ラケットがバタフライの特注ラケット(スーパーアリレート カーボンシェーク)で、ラバーはフォア面にバタフライの『ディグニクス09C』、バック面にバタフライの『ディグニクス05』を使用しているようです。
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及川瑞基の世界ランキング
及川瑞基の世界ランキングは95位(2024年11月時点)で、最高ランキングは47位(2023年9月)です。
及川瑞基の国内大会での戦績
2009年 | 全日本選手権(ホープスの部) | 男子シングルス:準優勝 |
2010年 | 全日本選手権(カデットの部) | 13歳以下男子シングルス:優勝 |
2012年 | 全中 | 男子シングルス:準優勝、男子団体:優勝 |
2013年 | インターハイ | 男子シングルス:準優勝、男子学校対抗:準優勝 |
2014年 | 全日本選手権 | ジュニア男子シングルス:優勝 |
インターハイ | 男子シングルス:3位、男子学校対抗:優勝 | |
2015年 | インターハイ | 男子シングルス:3位 |
2018年 | 全日学 | 男子シングルス:優勝 |
インカレ | 男子団体:優勝 | |
2020年 | 全日本選手権 | 男子ダブルス:優勝(ペア:三部航平) |
2021年 | 全日本選手権 | 男子シングルス:優勝 |
2022年 | TOP32東京大会 | 男子シングルス:準優勝 |
2023年 | 全日本選手権 | 男子ダブルス:準優勝(ペア:松島輝空) |
2024年 | 全日本選手権 | 男子ダブルス:3位(ペア:松島輝空) |
及川瑞基の国際大会での戦績
2015年 | ベラルーシオープン | 男子シングルス:ベスト4 |
オマーンオープン | 男子ダブルス:ベスト4 | |
タイオープン | 男子ダブルス:ベスト4 | |
2021年 | WTTスターコンテンダードーハ | 男子ダブルス:ベスト4(ペア:宇田幸矢) |
2022年 | WTTフィーダーフリーモント | 男子シングルス:ベスト4 |
WTTフィーダーウェストチェスター | 男子シングルス:ベスト8 | |
世界選手権成都大会 | 男子団体:銅メダル | |
WTTコンテンダーノヴァゴリツァ | 男子シングルス:ベスト4 | |
2023年 | WTTコンテンダーチュニス | 男子シングルス:ベスト8 |
WTTスターコンテンダーゴア | 男子ダブルス:ベスト4(ペア:木造勇人) | |
WTTコンテンダーリマ | 男子ダブルス:優勝(ペア:松島輝空) | |
WTTフィーダーバンコク | 男子シングルス:ベスト4、男子ダブルス:準優勝(ペア:吉村和弘) | |
2024年 | WTTフィーダーバンコク | 男子シングルス:ベスト4 |
まとめ
学生時代から常に同世代のトップクラスの選手として活躍してきた及川瑞基。近年ではTリーグのMVP受賞や全日本選手権での優勝など、さらに活躍の場を広げている彼の今後に注目です。
及川瑞基インタビュー(2021年2月公開)
写真:及川瑞基(木下グループ)/撮影:田口沙織
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