卓球部エース×法人営業マン Tリーガー含む"四足のわらじ"を履く有延大夢 | 卓球メディア|Rallys(ラリーズ)

写真:有延大夢(リコー)/提供:リコー

卓球×インタビュー 卓球部エース×法人営業マン Tリーガー含む“四足のわらじ”を履く有延大夢

2020.09.14 取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)

「リコーのエースは有延」。監督、チームメート全員が口を揃えてこう語る。

2017年入社の有延大夢(ありのぶたいむ・26歳)は、2年目の2018年前期日本リーグで単複合わせて9勝の活躍を見せ、創部初の優勝に大きく貢献した。その後も勝ち星を積み重ね、実力者揃いの日本卓球リーグ1部で、シングルス通算31勝9敗と高い勝率を誇る。


写真:2018年ファイナル4での有延大夢/撮影:ラリーズ編集部

リコーでは営業マンとして働く傍ら、卓球部ではエースとして活躍する。琉球アスティーダからTリーグにも参戦し、さらにはポーランドリーグでもプレーする。“四足のわらじ”を履きプレーする日々を有延に尋ねた。

>>前回のインタビューはこちら RICOHの営業マン・有延大夢がTリーグへ参戦、ジャイアントキリングなるか

リコーの営業マン・有延大夢

――Tリーグ開幕直前のRallysのインタビューの際は社会人2年目でした。4年目になった今も仕事面では変わらずですか?
有延大夢(以下、有延):
部署自体全く変わらず、WS事業本部 日本販売本部 MA事業部 官庁第二営業部 第三担当室という部署で大手企業の法人向け営業活動を行っています。

前回インタビューを受けたときは、社会人になって環境が変わって、何が何だかわかんない状況でした。今は落ち着いて慣れてきた感じはありますね。

――「仕事と卓球の両立」という面ではどうですか?
有延:
僕の場合はリコー卓球部では珍しいパターンで、卓球での目標が高くなっています

なので工藤監督や直属の上司に「卓球で成績を収めたいので」と話をして、僕だけ少し卓球部としてのウェイトを高めてもらってます。


写真:2018年ファイナル4での有延大夢/撮影:ラリーズ編集部

――具体的にはどういう配分なのでしょうか?
有延:
会社に出勤する時はみんなと同じく9時から17時半で働きます。

それ以外の部分で、例えばTリーグの試合やナショナルチームの合宿でお休みいただくのが他の選手より多いです。

普通のときは、みんなと一緒で仕事終わってから練習しています。

リコーのエースとしての経験

――業務をこなしながらも2019年は後期日本リーグシングルス7戦全勝と成績を残されています。
有延:
実力は上がっていると思います。社会人になってから団体戦で試合数をかなりこなせているのが大きいです。

学生時代(野田学園高校→明治大学)は、他の部員がエース級の選手ばかりで出番が少なかった。出場機会があってもほとんど勝負が決まってることが多かったんですよね。

社会人になってリコー卓球部でエースとして勝負を左右する場面で試合をすることが多くなりました。そういう試合をこなしていった成果とTリーグの経験がプラスして良い形でできていると思っています。


写真:2020年全日本での有延大夢/撮影:ラリーズ編集部

――野田学園では吉村真晴選手、明治大学では丹羽孝希選手がいた。リコーでエースとして出る経験が成長に繋がったんですね。
有延:
変な話、学生時代は金星あげたら良いよという立ち位置でした。

リコーに入って、エースとしてシングルスとダブルスで2点絶対取らないといけない立ち位置を経験して、大きく成長できてる実感がありますね。

Tリーグ史上最高のゲーム、最終戦の裏側

――リコーだとエースポジション。一方、Tリーグの琉球アスティーダだとどうですか?
有延:
学生時代と似て、金星を挙げればいいような立場です。僕が格下だから思い切ってやるんだという感じで、Tリーグは試合してますね。


写真:琉球アスティーダでの有延大夢/撮影:伊藤圭

――Tリーグ最終戦は有延選手の勝利でチームが逆転し2位に。琉球アスティーダの張一博監督は「吉村真晴選手の提言があって有延選手を最終戦起用した」とおっしゃってました。オーダーはどのように決まったのでしょうか?
有延:
仙台での岡山リベッツ戦に負けたあと、新幹線でオーダーの話になりました。

いつも僕は張監督に「調子どう?」と聞かれると「ちょっとわからないですね」などと回答してました。トップ選手の中で安定感が足りないと自分で思っているので、自信がなくて「勝てます」などは言わないんです。

でも最終戦の前は「どうなの?」と聞かれたときに「明日僕頑張ります。やらせてください」と。吉村さんも「有延いけるでしょ、明日」と話してくださって、「頑張りましょう」と張監督と握手してからは心臓バクバクでした(笑)。


写真:有延大夢/撮影:伊藤圭

――どうしてそのときは「やらせてください」というマインドになれたんですか?
有延:
チームとしてファイナルに行くという目標があった。チーム関係者の人にも「今年はファイナルに」と話してましたし、僕もそこに対して貢献したいと話をしてたんで、「自分がやります」とあのときは答えてましたね。


写真:最終戦、トップダブルス、2番シングルスが敗れ、有延は後のない場面で試合に臨んだ/提供:©T.LEAGUE

――当日はオーダー交換でピッチフォード選手と当たりました。実際戦ったときの心境は?
有延:
僕の想定では1-1で回ってくるのかなと勝手に思ってて、ダブルス取ったら2-0でいけるっしょみたいな軽い感じでした。

実際は0-2で僕が負けたら終わりという立場で回ってきて、不安な気持ちが多かったですね。

ピッチフォード選手は非常に得点能力が高い。あまり点数取れるビジョンが浮かんでなかったです。

――そんな中、最後マッチポイントを握られながらもフルゲームで勝利を収めました。
有延:
マッチポイント取られたときは終わった…って思ってましたけどね。でもバックを振らせたくなかったんで、ダメだったらもういいやくらいの気持ちで思いっきり下を切ったサーブをミドルに出したら点数が取れて、何とか逆転できました。

勝った瞬間は一気に気持ちが楽になって、重圧から解放されましたね。

結果的には、新幹線の中で「自分がやるんだ」と認識して、絶対チームのために貢献するという感情になってたのが大きかったです。試合会場行って「今日お前行くよ」と言われたら絶対無理でした。


写真:有延大夢/撮影:伊藤圭

――3rdシーズンに向けての意気込みはどうですか?
有延:
選手層が厚くなって、出場機会がどうなるかわからないですけど、試合に出る出ないは別にして「アイツがいて良かったな」と評価されるような行動をしていきたいですね。もちろん試合でも活躍したいです。

“四足のわらじ”を履く有延大夢

――リコーで仕事と卓球、Tリーグでの試合、ポーランドリーグにも参戦と負荷も大きいとは思いますが?
有延:
卓球と仕事の部分は想定しているものなのでやっていけています。

ポーランドへの移動だったりコミュニケーションの仕方だったりは変わるんですけど、楽しくはやれてるなといいう感じですね。


写真:2020年全日本での有延大夢/撮影:ラリーズ編集部

――卓球一本でやってみたい、という気持ちにはならないですか?
有延:
それもあります。でも難しい所ですよね。

卓球一本でやっていきたい気持ちと先見据えた時にどうなんだという部分で葛藤はあります。

リコーの団体戦で出場する経験は自分の中で良い経験になっている。それに日常的な部分は結構疎かにしがちで、未熟だなと思うことも多いので、仕事も含めて人と接する機会の多い方が僕は良いかなと思ってます。


写真:有延大夢(リコー)/提供:リコー

学生時代、吉村真晴や丹羽孝希らの影を歩いてきた男に、リコーでエースの自覚が芽生えた。今や有延は、日本リーグやTリーグでスポットライトを浴びる側の選手となった。

「仕事と卓球を両立」する環境の中で、卓球面、そして人間面で成長を見せる有延の今後の活躍に注目だ。

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写真:リコー卓球部/撮影:ラリーズ編集部

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