7月1日、東京都品川区コナミスポーツクラブ本店アリーナで、「コナミスポーツクラブ 卓球スクール」の開講記念イベントが開催された。スポーツクラブを全国で展開するコナミスポーツクラブと卓球スクールを展開するタクティブが業務提携し、スクールを開くこととなる。当日の会見はスウェーデンで開催された世界卓球報告会も兼ねており、会見の現場には張本智和と長崎美柚(ともにJOCエリートアカデミー所属)も登場した。
会見の冒頭でコナミスポーツクラブの落合昭代表取締役社長が登壇しタクティブとコナミの卓球スクールの概要について説明した。7月から品川の本店と府中で展開するとし、旗艦店である府中には卓球専用のスペースも設けられ、6台の卓球台でのびのびと練習に打ち込むことができる。総合型スポーツクラブとしては初となる卓球専用スペースを持つ。なお2019年4月までに全国で順次展開を進め、合計20施設を設立予定だという。
続いて、業務提携を結んだタクティブを保有するスヴェンソングループの兒玉義則社長が登壇した。スヴェンソングループは東京五輪で団体戦金メダルを獲得した場合、1億円の報奨金を拠出することを明らかにしている。タクティブとしては経験豊かなインストラクターを施設に派遣し、実際の指導にあたることで運営のソフト面を担う。「健康増進、卓球の普及に貢献していきたい」とコメントした。
コナミとタクティブが手を組むこと卓球指導施設が一気広がるのは間違いなさそうだが、インパクトはそれだけではない。実際に卓球の指導方法にも変化があるという。会見の席上でコナミスポーツクラブスポーツ競技本部運動塾スクール推進部長の佐野仁氏は「過去40年間培ってきたノウハウがある。コナミでは技術の習得の順序が規定されている」と語った。タクティブが得意としているコーチの経験による指導に加えて、コナミが得意とする段階的な技術指導を合わせた新たな指導方法を導入する。
佐野氏は「卓球には特徴としてラケットの種類、ラバーの種類があり、様々な戦型がある。ただ、基本となる技術習得の段階に差はない。フォアハンドの基礎ができない人がスマッシュを打つことはできない。一定の指導順序と方法を定義できる。レベルに応じたレッスンプログラムの確立を目指す。新しい卓球プログラムの実用化にチャレンジしたい」と意欲を見せる。新しいスクールでは初級者から上級者までの技術習得の過程を25段階に細分化し、段階ごとに目標を設定、着実なステップアップを図る。
会見の席上、具体例を示すべく張本智和と長崎美柚が登場し、初級の基礎練習から“実演”した。テレビ東京の中川聡アナウンサーと宮崎義仁氏の「世界卓球解説コンビ」も登場しながら「世界レベル」のプレーを実演することに。これには会場に詰めかけた100人以上の親子も大興奮の様子だった。
宮崎氏が最初に「大事」と解説したのがグリップと「ツッツキ」(台上でバックスピンをかけて返球する技術)だ。「親指と人差指の形で握っただけでバックが得意かフォアが得意かがわかる。フォアとバックを両方鍛えることが大事」と解説。次はボールを「ツッツく」技術だ。足を止めたままフォアとバックを交互に返球していくのは「簡単なようで難しい」と宮崎氏。
次はフォアの打ち合いとバックの打ち合いを進めていく。「音でいうとピン…ポン…ピン…ポン…と一定のリズムで打つこと。それを何本も続けられること。それができると強くなる。ラリーが続かない練習は強くならない」と宮崎氏。だが。このタイミングで張本が意外なミス。宮崎さんから「頼みますよ!」と言われる一幕も。慣れない環境で少し緊張気味のようだった。
「中級者向け」の練習であるフォアドライブでも張本はまさかの2連続の空振り。これには解説の宮崎氏も「台が新しくて、球が新しいと全然違う。全日本選手権の1回戦、空振りばっかりでしょ(笑)」と意外な裏側を解説し、笑いを誘った。
最終関門は「上級者向け」の「チキータ」だ。長崎の出したフォア前へのサーブをバックハンドで打つチキータを打ち込んでいく。「ポイントは手首をしっかり使い、台上でドライブをかけることを意識すること。横でも下でもトップ回転でもいい」と解説。次々とチキータを打ち込んでいく張本に歓声があがる。さらに張本と長崎のドライブ対ドライブの打ち合いでは「パワーが必要、足腰を使ったパワーが必要。段階的トレーニングを着実に積み上げないとできない」と解説。宮崎氏は基礎の大切さについて「基礎ができてないうちは、朝1万本ラリーから始める。基礎を根気強くやると必ず強くなる。ナショナルチームのトップ選手は特別な練習をしているわけではない。全ては基礎練習と、その応用」と説明した。
観客の前でのデモンストレーションを終えた張本は「9割くらいは基礎練でした」と幼少期の練習メニューを振り返った。長崎も「小さい頃は基礎ばっかりやっていたので小さい頃を思い出す」と感想を語った。100人以上の観客も基本の大切さを噛み締めながら、次々と繰り出される世界クラスの美技に酔いしれた。