リコー卓球部に新戦力が加わった。髙取侑史(たかとりゆきふみ・22歳)だ。
リオ五輪銀メダリスト吉村真晴を輩出した野田学園高校出身の髙取は、高校時代インターハイ団体戦で準優勝を果たしている。卒業後は法政大学に進み、関東学生リーグ1部で主将として活躍し、特別賞(1部で17勝、2部で10勝)を受賞した。
新型コロナウイルスパンデミックの中、社会人1年目を迎えた髙取に話を聞いた。(取材・6月)
入社直後に自粛 焦りの社会人1年目
――リコーに入社直後に新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言がありました。
髙取侑史(以下、髙取):一日だけ出社して研修をしましたが、あとはずっと在宅です。社会人になった実感がまだ湧いていないです。
――リコーでの部署は決まりましたか?
髙取:最初の1ヵ月目は社会人としての心得やマナーを学んでいましたが、5月からはオフィスプロダクツ事業本部 OC事業センター OC事業戦略室 OC事業戦略グループという部署に配属されました。
分析ツールを使用して各国で販売されている自他社複合機の売り上げと機能内容を調べ、今後の売り上げの予測や自社に足りない機能の提案・戦略を立てる部署です。
現在は、今はその部署がどういうことを行っているかや、会社のツール、リコーの複合機についての勉強などを研修で行ってます。
写真:髙取侑史(リコー)/提供:リコー
――練習はできていない状況ですか?
髙取:3月の終わりに練習参加はしていたんですけど、入社してからは一度もできていなくて、4月から2ヵ月はしていないです。
――社会人1年目でこれからというときに2ヵ月間卓球できないのはきついですね。
髙取:練習しないと勝てないと思っているので、焦りはかなりありますね。
――「仕事と卓球の両立」という面はいかがですか?
髙取:今はまだその生活になっていないんですけど、そちらも結構不安です。
仕事をフルタイムでやってから練習する。練習終わって帰って来てから自炊してご飯食べてる。そうなると12時は越えてしまうと思うので、寝てまた朝から仕事となると、不安で仕方ないです。
――自炊もされるんですね。
髙取:今までも自炊したことがなかったんですけど。住んでる場所の近くにコンビニしかなくて、自炊しようと思っています。大学時代はアパートに3人でシェアハウスしていたので、社会人で初の一人暮らしなのでそこもシビアです…。
進路が同じ 頼れる先輩・鹿屋良平
――髙取選手がリコーに入ったきっかけは?
髙取:これまで長く卓球をやってきたので、大学入ったときには実業団で卓球を続けていきたいと思ってました。
最初は、仕事がしっかりできてなおかつチームとして強いという部分で実業団を見ていました。卓球を辞めた後にそのまま仕事をずっと続けられるのかも考えて、リコーはフルタイムで働いて、なおかつ強い先輩方もいらっしゃるので憧れていました。
野田学園の先輩(鹿屋良平、有延大夢)がいることも選ぶ理由にはなりました。
写真:髙取侑史(リコー)/提供:リコー
――リコー最年長の鹿屋選手は野田学園高校→法政大と同じ進路を歩んでいます。鹿屋選手も髙取選手を「サポートしてあげたい」とおっしゃってました。
髙取:鹿屋さんは、めちゃくちゃ頼りがいがあって信頼しています。なので、かなりお世話になると思います(笑)。
名門校での学生時代
――学生時代の話も聞かせてください。名門校・野田学園にはいつから?
髙取:中学から入りました。環境はめちゃくちゃ良かったです。中学生高校生関係なく、強い人同士で練習ができる環境でした。
――実力主義なんですね。中高6年間はどうでしたか?
髙取:中1で一時期ホームシックになったんですけど途中からは慣れました。
ただ、高校は楽しいか苦しいかで言ったら苦しかったです。結果がとにかく残せなかった。中学では全国でも上位にいってたのに、高校から結果が出せなくて辛い時期でした。
でも高3で僕が主将のときのインターハイで団体準優勝できた。最後の青森山田と試合ができたし、愛工大名電にも(準決勝で)勝てたし、そこは印象深いですね。
――法政大学での4年間はいかがでしたか?学生リーグ特別賞(1部で17勝、2部で10勝)も受賞されてました。
髙取:大学入ってから、なぜ高校時代結果を残せなかったんだろうと考えました。
今までは卓球について考えて行動してなかったと気づきました。例えば、戦術だったり、努力するときの過程だったりを全く考えてなくて、ただぼんやりやってただけだった。
そこはかなり悔いが残るんですけど、逆に大学入ってからは考えるようになって、そこから変われて特別賞も取れました。
初任給で恩師と両親へ恩返し
――話を変えて、社会人初の給料は何に使われましたか?
髙取:外に出られない状況だったんで、自分には家具を買うくらいにしか使いませんでした。
あとは橋津先生(野田学園高校卓球部監督)と両親にちょっとしたプレゼントを贈りました。
――高校時代の監督と両親への恩返し、良いですね。何を贈ったんですか?
髙取:タンブラーです。先生はお酒飲まれるので、小さいタンブラーを贈って、両親には名前入りのタンブラーを贈りました。
――橋津監督もご両親も嬉しいでしょうね。最後にリコーで今後思い描いているビジョンや目標があれば教えて下さい。
髙取:一番は、自分がレギュラーとして活躍して日本一になることです。
高校時代、一度選抜で優勝してるんですけどほんとに活躍できなかったのが悔しかった。リコーでは日本一になりたいです。
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写真:リコー卓球部/撮影:ラリーズ編集部
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