卓球人のこだわりグッズを紹介する「俺の卓球ギア」。
第85回となる今回は、珍しい左利きカットマンである青陰祐太郎(近大福山高校3年)の卓球ギアを紹介する。
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青陰祐太郎の卓球ギア
戦型
左シェーク裏粒 カット主戦型
ラケット
剛力(FL・Nittaku)
ラバー
フォア:テナジー05ハード(特厚・バタフライ)
バック:CURL P-4(特薄・TSP)
ユニフォーム
近大福山高のユニフォーム
こだわりのもの
アクセフ
卓球シューズ
※ギアは2020年9月時点のもの
ターニングポイントは全中出場
岡山県井原市、山間の小さな町で育った青陰は、小学校ではテニスプレーヤーだった。しかし、中学にはテニス部がなく「ラケット競技が好き」という理由で卓球を始めた。中学校の顧問の先生が熱心な指導者で、中学校始めの生徒たちだけで全国中学校卓球大会の団体戦に出場できたという。
写真:左カットの青陰祐太郎(近大福山)/撮影:ラリーズ編集部
青陰自身も卓球人生のターニングポイントとして、全中出場をあげる。「全中出場があったからこそ高校でも卓球を頑張りたい、もっと上のレベルに行きたいと思いました」と原動力となっていると明かす。
写真:青陰祐太郎(近大福山)/撮影:ラリーズ編集部
「部員のほぼ全員が中学始めで、みんなで掲げていた目標を達成することができて涙が出るくらい嬉しかったのを覚えています。努力することの大切さ、スポーツの楽しさ、喜びを教えて下さった中学校の先生、コーチ、チームメイトには本当に感謝しています」と思い出の大会を感謝とともに振り返った。
努力が報われたインターハイ
高校は近大福山高に進学する。青陰を勧誘した近大福山卓球部の福場亮博監督は、中学時代の青陰の印象をこう語る。
「プレー面では、カットマンなのに特徴がないなと。攻撃を無理にして自滅していた展開が多かった。左のカットだからこそ、特徴的な武器があれば活躍できると考え、進学を考えて欲しいと声をかけました。プレー以上に団体の中で試合中のガッツや、ベンチにおいても他人の試合を同じぐらいのガッツで全力で応援している姿が印象的でした」。
写真:左カットの青陰祐太郎(近大福山)/撮影:ラリーズ編集部
近大福山で青陰は「全国初勝利」を目標に、日々努力を積み重ねた。「1日1日の練習を全力で取り組み、とにかくがむしゃらに球を追いかけて1本でも多く返せるように多球練習や課題練習を考えていました」。
写真:青陰祐太郎(近大福山)/撮影:ラリーズ編集部
福場監督も青陰の姿勢に目を細める。
「全国デビューは高校1年の冬。本人は高校で全国を知る事ができたと思います。全国を知ることができたからこそ、その後の意識が変わりました。意識が変わると、本人の目が一番変わりました。後輩たちを引き連れランニングをしに行ったり、トレーニングをしたり、練習場をどんな時でも一番最後に出て行くようになりました」。
写真:左カットの青陰祐太郎(近大福山)/撮影:ラリーズ編集部
そして努力は高校2年の夏に報われる。
「一番思い出に残っている」という2019年インターハイ団体戦の富田高校戦で、青陰は4番で出場し、全国大会初勝利をあげた。「全中に出場した時から全国大会で1勝を目標にしていたので、時間はかかったけれど努力が報われてすごく楽しい試合でした」と満足そうに振り返った。
珍しい左利きカットマン
全国でも珍しい左利きカットマンである青陰の使用用具は、剛力(FL)にフォア・テナジー05ハード(特厚)、バック・CURL P-4(特薄)だ。
写真:青陰祐太郎(近大福山)のラケット/提供:本人
自身の用具については「カットと攻撃のバランスを考えて、試合で思い切って振っていける飛びすぎない用具を選んでいます」と語った。
写真:左カットの青陰祐太郎(近大福山)/撮影:ラリーズ編集部
また、アクセフと卓球シューズにもこだわりがあるという。
「もっとフィジカルが強くなりたいと思いアクセフを選びました。プレーの安定感が増した気がしますし、デザインが好きなので気に入っています。卓球シューズは履いた感じが素足みたいに軽くて履きやすく、卓球を始めた時からずっと同じ種類の靴を履いています。廃盤になったので親に頼んで5足ほど買いだめしてもらっています」。
次のステージでの活躍誓う
高2で全国初勝利をあげ、さらに上を目指し努力を重ねていたところに、新型コロナウイルスパンデミックが直撃。夏のインターハイは史上初の中止が決まった。
だが、青陰はすでに気持ちを切り替え、大学卓球界での活躍を誓う。
「今年のインハイに懸けていたのでその分も取り返せるように、インカレに個人、団体で出場し個人ではランク入り、団体では表彰台に上がれるように頑張りたいです」。
写真:青陰祐太郎(近大福山)/撮影:ラリーズ編集部
そんな教え子に福場監督もエールを送る。
「インターハイが中止となり、自分の大会がなくなってからも変わらず、努力する姿は変わっていません。高2のインターハイで全国初勝利を掴み、そこから自信がついてきました。自分の可能性を信じて、どんな時でも挑戦してほしい。そして経験を積み重ね、その経験を自信にしていければもっと可能性が高まるのではないかと考えています」。
無限の可能性を秘めた左利きカットマンが、大学卓球の舞台で躍動する日が楽しみだ。