文・写真:赤羽ひな(ラリーズ編集部・欧州特派員)
イギリスの左に位置する島国、アイルランド。
北海道とほぼ同じ大きさで、ほとんどの人が英語を話す。ギネスビール発祥の地で、伝統的なアイリッシュパブが街中に軒を連ねる。首都ダブリンの中心街では、お店の前にまでギネスを片手に陽気に飲んでいる人々で溢れている。
そんなパブがひしめく街・ダブリンに、卓球を愛するヨーロッパの人々が熱き闘いを繰り広げる場所がある。
今回は、毎週木曜の夜に小さなパブで行われる卓球大会に潜入した。
決戦は木曜日
決戦の地、The Back Page。
ダブリンで最も栄えた通りとして有名なオコンネル通りから徒歩15分の場所に位置する。
スポーツバーとして大画面のテレビがいくつもあり、ラグビーやサッカーの試合がある日には入りきらないほどのファンで埋め尽くされる。
毎週木曜の20時頃から卓球を目当てに訪れる人が集まり始める。
飲み物を1階で購入し、2階の卓球スペースへ向かう。アイルランドのビールだけでも7種類あり、価格も良心的でパブとしても良質だ。
私物のラケットを持ってきていない場合は、お酒を頼むときにディポジットを支払ってお店のラケットを借りる。お店のラケットは簡易的だが、陽気で親切なお客さんが皆こぞって自慢のラケットを貸してくれる。
ヨーロッパでは日本メーカー製品は価格が高いようで、ほとんどの人がヨーロッパ製の用具を使っていた。
取材時の大会参加者は14人。そのうち女性参加者は2人で、多くの女性たちはワインとともに名物のピザを食べながら旦那さんの勇姿を眺めている。
大会に参加せずに練習だけする人も15人程度おり、1台の卓球台を大勢でシェアしている。
年齢層は20代から60代までと幅広く、ダブリンに住むヨーロッパ各国の人が参加する。ドイツ・ルーマニア・ハンガリー・ポーランドなど多国籍で、もはや「小さなヨーロッパ選手権」と言っても過言ではない。
いざ、試合
1時間ほど練習している間にリーグ表が作成され、21時頃からトーナメントが始まる。3人か4人のブロックで、予選で負けても少なくとも2回は試合ができる。
参加者はまったくの初心者はほぼおらず、日本の公共体育館にもよくいる手強いおじさんたちが熟練の技を披露している。
予選が終わると準々決勝で、すでに時刻は23時半を回っている。。試合を待つ間にお酒が進み、決勝トーナメントは酔いとの闘いか?と思いきや、彼らは卓球だけでなくお酒にも強い。
0時をとうにまわった頃に始まる決勝戦は、一本ごとに歓声があがるほどの盛り上がり。晴れて優勝した人は壁に名前と日付を書く。
試合後は、直前まで闘っていた人同士でダブルスを組んだり、試合で負けた人がリベンジを申し込んだり、木曜日にも関わらず夜は長いようだ。
誰もがすぐに打ち解け、友人かどうかは関係なく全員で練習して、誰かがいいプレーをすると全員が盛り上がって乾杯する。
この卓球大会に参加するためだけに長期休暇の度にダブリンを訪れる外国人もいるといい、アイリッシュパブ特有の陽気な雰囲気の中で行われる卓球大会は、ヨーロッパ各国にかけがえのない卓球仲間が作れる。
卓球の腕に自信のある方は、旅行の記念にダブリンの地にを訪れてみてはいかがだろうか。
お店情報
The Back Page
住所:199 Phibsborough Road, Dublin 7, Ireland
連絡先:+353 89 238 2343
http://the-back-page.com/
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