【卓求人】「現場から卓球を盛り上げる」。卓球事業の〈何でも屋〉が見据える未来 | PINGPONG SPOT(ピンスポ)-全国2000ヶ所以上の卓球場・卓球ができるスポットを掲載-
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【卓求人】「現場から卓球を盛り上げる」。卓球事業の〈何でも屋〉が見据える未来

“渋谷のT4”、今や卓球ファンの間ではおなじみのスポットだ。2017年の6月のオープンから1年が経過した。入り口に大きく掲げられた「T4」のサインをくぐると待っているのは小洒落たカフェバーだ。ホールに置かれた卓球台が名物で、ひそかに卓球を愛する有名人たちが訪れる。

このT4プロジェクトを主導してきたのがT4 TOKYOの代表取締役社長の山下亮氏だ。山下氏はこう語る。「これからの卓球業界には、大きなチャンスがある。新しく立ち上げるべき事業もある。足りないのは、熱意を持って飛び込んでくる“人”だけ」。今、渋谷のど真ん中で卓球がアツく盛り上がっている。この熱をさらに大きくできる人材を、卓球界は求めている。

T4を拠点に仕掛ける「卓球ビジネス」の全貌

金曜日の夜、満席の店内では、お酒を片手に会話に華が咲く。すると一人の女性客が「打ってもいい?」とスタッフに声をかける。やがて女性客4人でラリーが始まる。フォームや打球から初心者であることがわかるが、これぞ「エンジョイピンポン」の魅力。他のお客さんも混ざってワイワイと卓球に興じる。みんな楽しげだ。「T4」の入り口にはVICTASのウエアがずらりと並ぶが、敷居が高いわけではない。T4では、誰でも気軽にいつでも卓球と出会える。山下氏の描く卓球の未来のカタチの一端だ。

TABLE FOR PLAY——。山下がT4を運営する上で掲げるコンセプトだ。「卓球台を広げたいという思いが一番強い。卓球は見るよりもやった方が魅力がわかるスポーツ。卓球台が広がることが一番手っ取り早いと思っています。卓球に親しみを持ってもらうために、私達はボトムアップで貢献したい」。

その“発信源”がT4だ。現在月間4000人ほどが訪れるが、オープン当初よりも客足は増えている。「面白いのは卓球未経験者の割合が増えているんです。日本人選手の活躍を受けて、卓球を知らない人たちにもじわじわと卓球熱が伝わっているのを感じます」。その“熱”をさらに盛り上げるために山下氏は次々とビジネスを仕掛けていく。発想は「地方」から「テクノロジー」にまで多岐にわたる。その幅の広さはもはや〈何でも屋〉と言ってもいいほどだ。

「T4のブランドを各都市へと展開したい。他には近い将来大阪に大きな拠点を作ろうと思っています。スポーツ系の企業が集まるビルなんて理想です。IT系のサービスで言えば、スヴェンソングループのメンバーが主体となり卓球大会を網羅して、ウェブ上から申し込みと決済までできる『T-Plus』というサービスもローンチさせます。これだけではありません。7月にはNEWPEACEというチームと組み、新たなコンセプトで卓球台の開発・販売を行います。『PONG!PONG!』というプロジェクションマッピングを活用した卓球ゲームも広めていきます」。“卓球をより親しみやすいものにするために”次々と異業種との交流を強め事業を立ち上げていく。

新規事業レベルを一任。立ち上げ責任者を募集

そのビジネスを実行するのに必要なのが人材だ。具体的にはT4のブランディング戦略を考案し、SNSの運用などT4の認知拡大に向けた様々な施策を実行できる人材だ。「もちろんそれだけにとどまりません」と山下氏。「スタートアップのように、立ち上げたい新規事業がたくさんあり、スタッフからもどんどんアイデアが出てくる。その立ち上げから運営まで任せられる人材が必須」だという。

すでにT4には有名スタートアップからの即戦力となる転職者も加わっている。「何よりも必要なのは“やりきる力”です。私達が挑戦しているのはまったく新しい分野です。新事業立ち上げにはピボットは頻繁に起きます。そこで柔軟に対応し、やり抜く力をぜひ発揮してほしい」と必要なスキルについて指摘する。なお、「卓球経験者じゃなくてもいい」とのこと。なにせ山下氏自身が卓球未経験で現職に就いたのだ。

スヴェンソンスポーツマーケティング代表取締役の山下亮氏
撮影:伊藤圭

未経験の山下氏だからこそ、感じたことがある。「僕たちが考えているよりも卓球の市場は大きい。経験者だとついつい現役プレーヤーに目が向いてしまう。でも注目するのはそこじゃない。“その前”の数字です」。いったいどういうことか。

山下氏によると、実は卓球は中学生にとってはサッカーや野球と並ぶ人気スポーツだ。中学生の25万人ほどが卓球部に所属しているが、高校生になると8万人以下にまで減少してしまう。「3分の1しか残らない。同程度の規模のバトミントンでは、高校になっても微減にとどまっているのとは大きな差です」。一見すると悲観的なデータだが、山下氏は逆にチャンスだと目をつけている。「3分の2の人はまた卓球を始める可能性があるんです。なぜか元卓球部だった人って卓球部だったって言いたがらないんですよね(笑)そういう“隠れ卓球部”も含めれば市場はさらに広がる」。なぜ“隠れ”ているかはわからないが、彼らが一気に競技を再開すればその熱はぐっと高まるだろう。過去に少しでも経験したスポーツであれば再開は容易だ。それに卓球は台とラケットと球さえあれば始めることができるのだから。

「卓球場には大きなビジネスチャンスがある。一気に火がつく “一歩手前”の印象を受けています」

確かに山下氏の言うとおりだろう。かつて日本のサッカーは実業団リーグしかなく、人気も野球に比べれば著しく低かった。だがJリーグの開幕、スター選手の登場、W杯出場などで一気に一大産業へと成長していった。そういう意味では今の卓球界は「1993年のサッカー界」と似ているかもしれない。今秋にはTリーグが幕を開け、2020年が待っている。1つのスポーツ産業が芽生え、花開いていく――。その様子を最前列で目撃したくはないだろうか。

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