ロンドン五輪団体銀メダル、リオ五輪団体銅メダルを獲得し、2020年1月に3大会連続の五輪代表に内定した日本女子の大黒柱、石川佳純選手を紹介します。プロフィール、使用用具、プレースタイルなどの基本的な情報から、国際大会での戦績についても触れていきます。
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石川佳純とは?
石川佳純は、現在Tリーグの木下アビエル神奈川でプレーしており、全日本選手権シングルス計4度の優勝を誇る、日本の卓球選手です。
今年に入って、3大会連続の五輪代表に内定し、全日本選手権では決勝で早田ひな(日本生命)に敗れたものの準優勝を果たしました。
また、吉村真晴(名古屋ダイハツ)と組むミックスダブルスでは、2015年銀、2017年金、2019年銀と3大会連続でメダルを獲得しおり、シングルス、ダブルス、団体戦すべてで活躍を見せる屈指のオールラウンダーでもあります。
プロフィール
石川佳純は1993年2月23日生まれの27歳。山口県出身で、両親ともに元卓球選手という環境で育ち、小学1年生で卓球を始めました。
小学6年生で初参戦した全日本選手権で3回戦に進出し、メディアからの注目を集めます。四天王寺高校に進学し、インターハイ女子シングルス3連覇を達成しました。また、全日本選手権ジュニアの部では、史上初の4連覇を果たし、2011年には全日本選手権女子シングルスを初制覇。22大会ぶり4人目の高校生女王に輝きました。
2012年にはロンドン五輪に出場し、シングルスでは4位、団体戦では日本卓球史上初の銀メダルを獲得。2014年の世界選手権東京大会では、福原愛が欠場する中エースとしてチームを引っ張り、31年ぶりの決勝進出を果たし、さらにその年のワールドツアーグランドファイナルでは日本女子初の優勝を飾るなど、次々と記録を塗り替えました。
2015年の世界選手権蘇州大会では、吉村真晴と組んだミックスダブルスで38年ぶりの銀メダルを獲得し、仙台で開催された女子ワールドカップでは、これまた日本人女子初の準優勝を果たしました。
2016年にはリオ五輪に出場。第4シードとして、日本卓球界初のシングルスのメダルを狙うものの、初戦となる3回戦で北朝鮮のカットマン、キム・ソンイとの試合中に足がつり、無念の敗退。しかし、続く団体戦では全勝する大活躍を見せ、銅メダル獲得に貢献しました。
2017年の世界選手権ドイツ大会ではミックスダブルスで48年ぶりの金メダルを獲得。2年後の世界選手権ハンガリー大会でも銀メダルを獲得しました。
2019年は、平野美宇(日本生命)と過酷な東京五輪シングルス代表枠を最後の最後まで争った末、ノースアメリカンOPで優勝し、逆転で代表に内定。
今年に入っても、全日本選手権女子シングルスで準優勝、ワールドツアーハンガリーOPで平野美宇と組む女子ダブルスで優勝を果たすなど、安定した成績を残しています。
伊藤美誠(スターツ)、平野美宇、早田ひな(日本生命)ら、若手の台頭の中でも代表の座を譲ることなく、日本女子の大黒柱として活躍を続けています。
プレースタイル
石川佳純の戦型は、左シェーク裏裏ドライブ型。「世界で最も美しい」と言われるフォームから放たれるドライブを武器とする正統派攻撃プレイヤーです。
変化の激しい投げ上げサーブや巻き込みサーブから甘いレシーブを誘い、得意の上回転ラリーに持ち込むという理想的なプレーで得点を積み重ねます。しかし、そのボールの軌道美しさゆえに、「やりづらさ」を感じる相手選手は少なく、ラリー戦での真っ向勝負で相手を打ち負かします。
福原愛はバック表ソフトの変化とピッチで、伊藤美誠はスマッシュと変幻自在のプレーで、平野美宇は中国選手をも上回る超高速バックカウンターとプレーの緩急でというように、他の日本選手が中国選手にない特徴的な武器を磨き卓球帝国と対峙する一方で、石川佳純のオーソドックスなスタイルは、見方を変えれば「中国的」とも言えます。
持って生まれた左右のバランスがとれた身体と抜群の運動神経に支えられた反応、移動、スイングの速さ、そして巧みなコース取りでラリー戦を次々と制す石川の卓球は、かつて大満貫を達成した中国の張怡寧(ジャン・イーニン)を彷彿とさせます。彼女は、中国選手と同じ土俵でがっぷり組んで勝負し、帝国越えを目指すという極めて困難な道を歩み続けているのです。
ブロック中心だったバックハンドも、近年攻撃力が上昇し、よりスキのないスタイルになっています。
先日行われたカタールOPの2回戦で中国の王芸迪と対戦した際には、台上でのチキータ、そしてバックハンドカウンターなど進化したバックハンドで攻撃的なプレーを貫きました。さらに、逆チキータや、その美しいフォームを崩しながらの回り込みフォアドライブなど、「意外性」のあるプレーも披露し、最後は相手のパワーボールの前に敗れたものの、東京五輪に向けて新たな卓球スタイルを伺わせました。
使用用具
石川佳純の使用ラケットは、バタフライのビスカリアで、ラバーはフォア面にキョウヒョウNEO 3、バック面にテナジー64を使用しているようです。
世界ランキング
石川佳純は、2009年〜2010年にかけ、世界ランクをぐんぐん上昇させました。2011年1月に11位を記録し、そこから2020年3月まで常に11位以内をキープするという、驚異的な安定感を誇ります。これは長年彼女が世界の第一線で戦ってきたことを表しています。
2019年1月には自身最高タイとなる3位を記録しました。現在の世界ランクは9位で、日本選手2番手に位置しています。
主な成績(国内大会)
2008年 | 全国高等学校総合体育大会 | 女子シングルス優勝 |
2009年 | 全国高等学校総合体育大会 | 女子シングルス優勝 |
2010年 | 全国高等学校総合体育大会 | 女子シングルス優勝 |
2011年 | 全日本選手権 | 女子シングルス優勝 |
2014年 | 全日本選手権 | 女子シングルス、女子ダブルス優勝 |
2015年 | 全日本選手権 | 女子シングルス、女子ダブルス、混合ダブルス優勝 |
2016年 | 全日本選手権 | 女子シングルス優勝 |
主な成績(国際大会)
2009年 | 世界選手権横浜大会 | 女子シングルスベスト8 |
2010年 | 世界ジュニア選手権 | 女子団体優勝 |
モロッコオープン | 女子シングルス優勝 | |
2011年 | グランドファイナル | U21 女子シングルス優勝 |
2012年 | ロンドン五輪 | 女子シングルス4位 女子団体銀メダル |
グランドファイナル | U21 女子シングルス優勝 | |
2014年 | 世界選手権団体戦東京大会 | 女子団体準優勝 |
グランドファイナル | 女子シングルス優勝 | |
世界選手権蘇州大会 | ミックスダブルス準優勝 | |
女子ワールドカップ | 女子シングルス準優勝 | |
世界選手権団体戦マレーシア大会 | 女子団体準優勝 | |
リオ五輪 | 女子団体銅メダル | |
2017年 | 世界選手権ドイツ大会 | ミックスダブルス優勝 |
2018年 | ドイツオープン | 女子シングルス優勝 |
世界選手権団体戦スウェーデン大会 | 女子団体準優勝 | |
2019年 | 世界選手権ハンガリー大会 | ミックスダブルス準優勝 |
まとめ
今回は、2大会連続の五輪メダリストで、現在木下アビエル神奈川でプレーする石川佳純選手を紹介しました。2020年3月現在の世界ランキングは9位と、東京五輪シングルスでも第4シード獲得が十分狙える位置にいます。ホームの観客を前に、進化した卓球スタイルを存分に発揮してくれるでしょう。中国越えに挑み続ける彼女の活躍にこれからも目が離せません。